東京国際マラソン and etc...

今週の私はまさに、森進一だった。
そして今日の私はまるで『バベル』の菊池凛子
 
咽を壊してしまったのだ。
今朝、さすがにヤバいと思い、耳鼻咽喉科に行くと、
おじいちゃん先生に「こんな真っ赤に腫れ上がった咽は初めて見た」
と驚かれてしまった。
 
「絶対にしゃべってはいけません」
「この状態でしゃべり続けたら、炎症が治まっても
声は一生、森進一のようになってしまいますよ」
「絶対にしゃべってはいけません」
「でもしゃべるでしょう、筆談にしなさい」
 
だって。
まさか、森進一の名前が先生の口から出るとは思わなかったので
つい笑ってしまったが、
予想以上に深刻だったのでこれから先が不安になった。
一生、この声だったらどうなるか...
味のある歌手にはなれるけど、普通の会社に勤めるには難しいんじゃないか
とか、
それならいっそ、歌手になろうか。
とか、
バカなことを考えたりもした。
いや、でもこれがきっかけで歌手になれるのならなりたいかも。
 
それくらい強烈な個性を放つ声なのだ。
いやになるほど。
 
午後からは昨日が誕生日の父とランチをした。
事前にメールで咽の事情を伝えていたので
父はなんと紙とペンを持ってきてくれていた。
治すには徹底してしゃべらないようにしなきゃ、と
筆談セットを用意してくれたというのだ。
さっそく筆談してみたが、
始めのうちは笑ってしまったり、うっかり声を出してしまったりと
うまくいかない。
私につられて父も声をひそめてしまったり、
おかしなコミュニケーションだった。
当然のごとく、周辺の客たちは私たちに視線を向ける。
隣の席の人は私のメモを覗く始末。
 
声を出さないと自然とジェスチャーが大きくなる。
顔の表情を使ったり、腕や頭を動かしたり。
そんなことを続けていると、
自分が『バベル』の菊池凛子のように思えてきた。
 
あぁ、しゃべられないのは辛い。
早くしゃべりたい。
 
しゃべりたい人がいっぱいいるのに。
しゃべりたいことがいっぱいあるのに。
  
しばらくは声のない私を楽しむしかないのかな。
 
 
【東京国際マラソン当日:2月18日】

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