全員、狂人。

キアロスタミの『ライク・サムワン・イン・ラブ』をDVDで観たが、僕が間違っていなければこの映画はサイコホラーだ。元大学教授の老人も女子大生もその彼氏の加瀬亮も、登場人物の皆が皆、多かれ少なかれ狂っていて、観ている側は誰一人信用できない。極めつけは最後の方に出てくる隣人のババア。こいつには心底戦慄を覚えた。救いのないラストに至るまで終始不安な気分にさせられたが、まだまだこういう挑発的な作品が撮れるキアロスタミの感性を喜ぶべきなんかな、とか思ったり思わなかったり。

日本の青春

DVDで『横道世之介』鑑賞。
先に読んだシナリオも面白かったけど、映画もとても良かった。
2時間40分という長尺ながら、世之介という天真爛漫な人物にいつの間にか惹かれてしまう。
高良健吾は「性格の悪いイケメン」というのがはまり役だと思っていたけど、こういう無垢なキャラクターもなかなかいいです。
考えてみれば、『苦役列車』、『桐島、部活やめるってよ』、『ふがいない僕は空を見た』と、去年から今年の初めに掛けて青春映画が豊作だった。
……と思ったら、すべて小説が原作なんだなあ。
こういうきっちりとしたストーリーの日本映画を見たいと思う一方、シナリオを書く身としてはなんか複雑な気分。

校了

前述のシナリオ、第一稿校了
日付を見るとちょうど二ヶ月くらいで書いたことになる。過去最速かもしれない。
最後の方、終わりそうで終わらなくて苦心したけど、こんなに書いてて楽しかったのは久しぶり。
今週土曜は講座の勉強会があり、早速そこで講評を受けます。
ここからは色んな人に読んでもらい、意見を聞きながら手を加えていくという作業。
その一方で新しい話を考えつつ……。

ドラマ24

テレ東のドラマ24でやっていた『まほろ駅前番外地』。
最後の三回くらい見逃したけど、結構面白かったなあ。
映画の『まほろ駅前多田便利軒』が好きだったのでドラマの方も見てたんだけど、なかなかどうして大根仁の演出もユルくて良かったと思う。
特に(どうでもいいところなんだけど)すごいなと思ったのが、多田(瑛太)の持ってるiPhoneのディスプレイがバッキバキに割れてて、劇中で多田がそれを普通に使ってるところ。
画面割れてても操作に支障がないからって使い続けてる人たまにいるけど、多田もそういうのをあまり気にしない大雑把なキャラクターなんだな、っていうのがこれだけで伝わるという。
小道具として意図的にそうしたのか、監督がスタッフか誰かの私物を見て「お、いいじゃん、それ使おうぜ!」ってなったのかは分からないけど(もしくは原作がそうなのかも)、台詞とか直接的な部分じゃなく、こういう細かい描写で人物の性格を表現するのって、簡単なようでとても難しい気がする。ストーリーとは関係ないけど、すごく印象に残った箇所だった。

で、同じ枠で最近始まった『みんな!エスパーだよ!』(園子温)。初回見たけど、これは正直よく分からんかったです。漫画は面白かったのにな……。

まあ、気が向いたら見よう。