Super Bowl 2013   by AK

2月といえば、アメリカではスーパーボウルのシーズン。
日曜日のキックオフに合わせて、日本でも観戦した方もいるのではないでしょうか?
毎年話題となるスーパーボウルのCMたちですが、米国メディアによれば、今年の
30秒CM1本の広告費はなんと380万ドル(3.5億円!)。昨年より30万ドルも高く、
60秒打てば紅白歌合戦1本作れてしまうというからオドロキです。
ということで今回も昨年に引き続き、ゲームの合間に流れた話題のCMの中から、
個人的に気になったものをご紹介。

まずユーモアの効いたCMとしてアメリカの各メディアでも話題となっていたのが、
NFL文化を利用したユーモアあふれるP&Gの洗剤、TideのCM。


Procter & Gamble's Tide "Miracle Stain"
Agency: Saatchi & Saatchi

試合観戦中にTシャツについたジョー・モンタナNFL選手)型のシミ。「奇跡的なシミ」
として大きな話題を呼んだのにもかかわらず、奥さん(実は対戦相手チームファン)の洗濯で
跡形もなく消えてしまった、というもの。どんなに騒ぐようなシミでもTideですっかり
きれいになりますよ、というメッセージがシンプル。

お次は個人的にも好きなタコベルのCM。


Taco Bell "Viva young"
Agency:Deutsch

老人ホームから抜け出し、プールに飛び込んだりタトゥーを入れたりクラブに出かけたりと、
若者の「夜中の遊び」を思い切り楽しむ老人たち。
メキシカン料理であるタコベルということで、昨年全米で大ヒットした曲"We Are Young"の
スペイン語バージョンにのせているとことが憎いです。

そして感動モノとして話題を呼んだのが、バドワイザーのCM。


Budweiser "Brotherhood"
Agency: Anomaly

重輓馬を育て手放した男性が、のちにその馬と街中でドラマチックな再開を
果たす、という涙もの。赤ちゃんや動物がよく使われるスーパーボウルのCMですが、
馬というのも新鮮。個人的にもビールのCMっぽくないところが好きです。

昨年取り上げたM&M'sの今年のCMはと言うと、「愛」にフォーカス。


M&M's "Love Ballad"
Agency: BBDO NY

愛のためなら何でもするけど、食べられるのだけは嫌、とバラードを歌うレッド。
twitter上では、「カワイイ!」「ウケる!」と女性を中心に話題だった模様。

さて、毎年恒例となっているソーダ系ビバレッジのCMですが、中でも今回注目したいのが、
SNSでバイラルを狙ったコカコーラのCM。


Coca-cola "Coke Chase"
Agency: Widen+Kennedy

CMのオチはオーディエンスが投票式で決めるというもので、ショーガール、カウボーイ、
バッドランダーの3チームがコーラをめぐってレースを繰り広げるというストーリー。
キックオフ前からの公開で、Youtubeの再生回数は130万回超えだとか!(2月2日時点)
オンライン上で投票するという参加型のこのCM。サイトでは自分の応援するチームを
勝利に導くため、他チームの「進行」をサボタージ(邪魔)することも可能。
より多く「サボタージ」したければSNS上でシェアしなければならない、という仕組み。

   
   ※画像は投票サイト(画像は2月1日時点)

余談になりますが、これに対抗したのがペプシ。ウェブ上でコーラCMを馬鹿にした様な
パロディを公開。これに対してコーラも冷静に対抗したムービーを公開するという事態に。
両者ともなかなかの検討ぶりだったようです。

炭酸といえば、昨年日本でも話題となった家庭用ソーダーメーカー「ソーダストリーム
もキックオフ前からコカコーラとペプシを意識したCMが話題に。当初公開していたCMが、
「両スポンサーに影響が出る」としてテレビ局から放送禁止を受け、急遽直前に内容を変更。

こちらが元々のCM。


SodaStream "Effect"
Agency: Pale Dot Voyage

こちらが当日放送のもの。


SodaStream (Unaired game day commercial)
Agency: Pale Dot Voyage

どちらも「ソーダストリームがあれば、家庭で美味しいソーダが作れて、ペットボトルの
ゴミも減らせる!(試合当日だけでも50億本ものボトルを使わずに済む)」というのが
メッセージ。前者は2大ソーダ企業をディスったかなり大胆なものですが、
Youtubeでは話題を呼び、オーディエンス受けはかなり良かったのだそう。

最後は昨年全米を始め世界中でブームを巻き起こしたあの人が登場するCM。
どこかで必ず使ってくるのでは、とは思っていましたが、こう来るとは…。


Wonderful Pistachios "Get Crackin'" 
Agency: The firestation

ピスタチオのCM用に変えられたPSY(サイ)の「ギャンナムスタイル」。
最後はクレイジーという意味も持つ「ナッツ」という言葉に掛けている、なんとも
アメリカらしいCM。

昨年に比べるとゲーム前にCMをフルで公開する企業が多く、個人的にはゲーム当日の
サプライズ感が少なかった印象ですが、今年はCMの結末を消費者に決めさせたアウディ
CMからバイラルを狙ったオレオ、昨年に引き続きストーリーを一般公募したドリトスなど、
遊び心のあるオーディエンス参加型のCMが多かった様に思います。競合を意識した
ソーダ戦争」も、アメリカならではのCMカルチャーが垣間見えて面白いなと思いました。
皆さんはどのCMが気になりましたか?