日本再生汁

今日紹介する本はブックオフ渋谷店で買った。もちろん105円。最初に『日本再生の切り札ができた!』というタイトルを見たときは、よくある政治論というか、国策本の類だと思ってスルーしてたんだ。でも、店に行くたんびにこの書名が目について、そのうち気になって気になって仕方なくなってきたので、ひょいと棚から抜き出してみたら、表紙が、こうだ。

日本再生の切り札ができた!

日本再生の切り札ができた!

例によって「あれ?」って思うわけだよ。「なんでアロワナ?」と。で、これはいったい何事かと買って帰って読んでみると、こういうことだったのだーー。
著者である坂本隆司さんは、茨城で水族館付きのレストランを経営する人物。ビジネスは順調に発展していたが、その一方で、長男が難病にかかり、奥さんがガンになり、老いた父も脳梗塞で倒れるなど、いくつもの不幸な出来事に見舞われてきた。そんな折り、坂本さんは家族の病気をきっかけにして「特製タレ」を開発することを思いつく。なんだか高級カップ麺に入ってる秘密の小袋みたいな話になってきたけど、そうじゃない。「特製タレ」というのは、生き物の生命力を強める秘伝のエキスみたいなもの、なのだそうだ。
坂本さん曰く、生き物の「いのち」を支える三要素は、

  1. 調理技術
  2. 生命水を作る技術
  3. 巨大熱帯魚の飼育技術

であるという。調理……すなわち食べ物は、たしかに生きていくうえで大切なものだ。生命水……というか、まあ水だね。これも欠かすことのできないものだろう。しかし、なんで巨大熱帯魚?
実は、坂本さんは子供の頃から動物を飼育するのが大好きだったのだ。5歳のときにはオスのニワトリを育て、鳩の飼育のために自宅の屋根に四畳ほどの鳩小屋を建て、小鳥店にいる小鳥を全部買いそろえ、セキセイインコを500羽飼い、大学ではブルドッグを10匹飼い、やがて大人になってからはアロワナだのピラルクだのといった熱帯性の巨大魚を飼育し、とにかく一人ムツゴロウ王国みたいな人生を送ってきた。で、それらを飼育するための技術を研鑽するうちに、“いのちのちから”みたいなものを学んでしまったのだ。
とにかく、これらの三大要素を総合して坂本さんは「特製タレ」の開発に着手する。それはいったいどのようなものかというと、本書の中で惜しげもなくレシピが公開されているので、ここにも書き出してみよう。

 使用材料は根菜類野菜から、海産物、キノコ類、山菜、外国産野菜、果実、果物、ハーブ類、輸入果物、そしてプロポリス・キダチアロエ・蜂蜜・沖縄産黒糖・伊勢海老のキチンキトサンなど、大自然が大地の養分を持って育んだ植物類、およそに二〇〇種類以上

おいしそうだなあ。ラーメン屋だったら原価率を割ってるね。
これらの食材を、

 浸透圧作用で抽出二〇〇種類、糖分抽出二〇〇種類、煮出し抽出二〇〇種類、合計六〇〇回の抽出を繰り返し

このあたりの行程がおれのような凡人にはよくわからないけど、こうしてできた植物エキスを、

 次に五回メッシュ濾過します。さらにネル布で濾過します。この濾過で不溶解物質を取り除きますと、口の中での異物感覚がなくなるのです。次に濾過した全ての抽出物を低温熟成します。完全に熟成するまでは数年の歳月を要します

ふむふむ、それで?

 その後微粒化、攪拌することでイオン化が実現します

すごいことをサラッと言う。
ともかく、このように複雑怪奇な手順を経て出来あがるのが「特製タレ」なのである。そして、このタレが自然環境や生物に投与するだけで信じられない効果を発揮するのだった。以下、本書に書かれている驚異の実験結果を列挙します。

  • 池の苔の色が、タレ投入後20分後に濃緑色から新緑色に変わった。
  • 5年間も花が咲かなかった古梅樹木が花を咲かせた。
  • 魚の腐敗臭がひどかった静岡県塚田川の匂いが消えた。
  • アワビに活力が出てきた。
  • 直径1メートル超の謎のキノコが生え、食べたらうまかった。
  • 中国で鳥インフルエンザにかかっていたニワトリが快方へ向かった。
  • 同じく中国で猛威をふるっていたSARSを退治した。
  • 鯉ヘルペスもばっちり。
  • タレ20リットルで霞ヶ浦のヘドロが消滅。
  • 父の脳梗塞が消えた。

すごいでしょう? これらがすべて事実なら厚生省が放っとかないと思うんだけど、こんなすごい万能薬があるなんて(この本以外では)聞いたことも見たこともない。坂本さん、何で黙ってるの?

 何千人もの人たちにこれまでお話ししてきました。もちろん科学者にも話をしましたが、専門分野での理解であり、動植物、生命、水、調理等と関連を持って広がる私の話など理解ができるわけがありません。

そんじゃ仕方ないね。負けるな、坂本さん!