ご奉仕はメイド喫茶までにしとけ

 昨日はバレンタイン*1ということで、高江では米軍ヘリッパド建設に反対する住民や支援者の女性陣から沖縄(住民から米軍基地を)防衛局の職員や作業員(どちらも全員男性)にチョコが送られた。

 休憩中、バレンタインデーなので住民・支援者の女性たちから防衛局員と作業員に手書きのメッセージを添えたチョコレートが送られた。防衛局員は受け取らなかったが、作業員たちは喜んで受け取っていた。人に馴れたイノシシも出てきて、しばし和やかな雰囲気になった。
http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/ccc9a4c1a6c33548cb2e363217dbdc23

 昨日チョコをもらえなかった男性諸氏は高江にくれば良かったのに、という話。
 ちなみにイノシシは二頭いてまだ小さい頃からこの近辺に出没しており、一匹はブースケ、もう一匹はブー子と呼ばれている・・・・・・申し訳ないが私はブースケはまだしも人前でイノシシをブー子と呼ぶことはいまだにできないでいる・・・・・・。
 ところでこのイノシシは人の言葉がわかるらしく、誰かが冗談で(冗談だよね?)「そろそろ食べごろかな?」とか「これはおいしそう」とか言うと、それまで平気で近づいてきたのが「脱兎のごとく」林の中に逃げ込んでしまう。

 まあ、ジェンダー的問題はあるにしても、女性陣はバレンタインには作業員らにチョコを送るだろう、と思っていた。普段から作業中は厳しく抗議するが、一日の作業時間を終えて山から出てきた作業員にはたんかんをあげたり、「お疲れ様です」と声をかけるようにヘリパッド建設反対の住民も支援者も極力心がけている。
 もちろん毅然とした対応が必要な時にはそういう対応を取るし、座り込みなどをして工事を進めさせないよう手段を尽くすが、基本的には立場が弱い作業員と敵対することはない、というのが大半の認識だ。
 座り込みで膠着状態になった時には、ちょっとお年をめした気さくな女性らが手持ち無沙汰にしている作業員の若者たちと円陣を組んでなにやら話しをしている光景が見られることもある。工事のこと、やんばるのこと、世間話、彼らの将来について・・・などを話しているようだ。

 琉球新報も昨日のバレンタインの作業員らの反応をこう報じている。

受け取った人は「ありがとう」「来月お礼を持ってきます」などと話していた。

 ・・・・・・や、来月も来られちゃ困るんだが・・・・・・




 それにつけても沖縄防衛局員である。
 
 もちろん作業員は工事現場に向かおうとするが、その際数名の防衛局職員も付き添う。
 住民らがゲート前で座り込んでいるので、大きく迂回して山中からヘリパッド建設現場を目指す。
 その途中で、投げ込まれた土嚢*2を建設地までかついで運ぶ。トラックに満載されえいた無数の土嚢を何往復もして、あるいはバケツリレー式に運ぶのである。
 これを作業員だけでなく、防衛局職員もやる。


 他の局員は知らないが、その作業に従事する一人は確実に課長クラスであった。
 高江には毎日100人以上、多くて200人ほどの職員・作業員が来るが(・・・ってどんだけ人件費使っているんだよ。この国には防衛関係だけに使える打ち出の小槌でもあるの? ・・・あ、うちらの税金か)実際に山中から現場に入るのは作業員20人ほど、職員数名であり、残りの作業員は土嚢投げ込みなどをやっているが、大半の防衛局職員は住民・支援者を牽制するために突っ立っている(・・・・・・税金が)。
 課長が山中で肉体労働に従事している時に、それより下の職員が数十人もボッーと突っ立っている光景はなかなか異様なものがある。・・・・・・いったい何の集団上司イジメだ、これは?


 で、投げ込まれた土嚢だが、一袋20キロ前後あるらしい。よく知らんが、防衛省出先機関である沖縄防衛局の課長ともなれば、それなりのエリートであろう。それが若々しい金髪のにーにーらに混じって、重い土嚢をせっせと運ぶのである。

 すでにその光景を想像するだけで、その「一生懸命」ぶりは、雇われ厳しい監督下で作業をやっている作業員とは明らかに一線を画するものがある。
 かつて給料泥棒であった私などから見れば、もう「無私」の精神で職務を忠実にこなす人と言ってしまえるレベルである。その「情熱」はどこから出てくるのか実に不思議だ。
 
 自ら滑りやすい山中の藪の中にわけ入り、「無私」の精神で若者たちに混じって20キロもある土嚢をかついで山道を何往復もする中年の課長。


 実にゾッとする光景である。


 彼はそんなに「一生懸命」働いて何を作っているのか?
 米軍の戦争のための施設を作っているのである。

 彼はその「無私」の精神で何に奉仕しているのか?
 やんばるの森と高江住民の安全で平穏な暮らしを破壊することに奉仕しているのである。もちろん米軍にも。

 
 それを思うと憤り以前に、何か心臓が冷え冷えとするような一種の恐怖のようなものを感じるし、人間というものについて泣きたい気分にもなる。


 まあ、防衛局の課長クラスともなれば、立場も面子もあるだろうとは思う*3(それで平穏な生活が壊される住民はたまったものではないけど)。少なくとも「滅私奉公(この場合「滅沖奉米」か)」の精神で基地建設に邁進されるよりは理解できそうだ、賛同はできんが。


 いっそのこと、実は土嚢を一生懸命運んでいるのは住民・支援者が見ている時だけで、後は作業員に押し付けているのであれば、まだしも「健全」なのだけどね? ○○課長?



追記
 
 あと、工事現場に入った防衛局員は、帰りも山道を迂回してダムの方から出ているらしいが、道に迷って北部訓練場の米兵にテロリストと間違えられて撃たれないか、ちと心配。
 
 

*1:バレンタインなんてものは私の中ではとうに同人誌の中にだけ存在する行事で男同士でチョコをあげあうイベントだが

*2:土嚢の投げ込みについてはhttp://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/b08361d6e252a3555af10d76d52368e5http://www.qab.co.jp/news/2011021425854.html参照

*3:立場と給料を守りつつ給料泥棒する術をその年まで身につけられなかったのが致命的だが。その給料も税金だけど、毎日100人動員するのに湯水のように使われる税金に比べればかわいいものだし、それでヘリパッドが完成できなくなれば安いものである