- 作者: 原りょう
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2018/02/28
- メディア: 単行本
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なんだか今になってもなお、作者にはチャンドラーの亡霊がつきまとっているのだなあ、とPR文をみて切なくなった。寡作なだけに、作風のバリエーションを拡げられなかった憾みがあるのだが、でもとっくに、エピゴーネンの閾からは遠く脱してるのに。本作も、ある意味、長いお別れ、よりも韜晦と齟齬に満ちた苦い後味を残す物語で、それは幕切れの時間軸設定がいちばん象徴的だが、チャンドラーとはまた違ったメランコリックなニュアンスは、われわれだけが感受しうるバナキュラーなものなのだろう。作者には、「それからの昨日」というタイトルをかぶせたくなる続編を期待したいが。