黙然日記(廃墟)

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古森義久氏、平和を考える。

平和とはなにかーー平和の内容や質を考えよう。-ステージ風発:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/264964

 “平和”についての、古森氏の意思表明というかエッセイというか、そんな感じの文章です。
 んー。突っ込みづらいというか、突っ込む必要がないというか。わたしが古森氏をウォッチしているのは、「事実を伝える」というジャーナリストとしての資質に問題があるのではないか、と思うからで、こういう思想的なところに反論するつもりはないし、その必要もない。この文章は彼お得意のアジテーションの一種ではあるのですが、事実を歪曲したり公正な報道からはみ出すようなことがなければ、どんな文章を発表しようとクレームをつけることもないし。もちろんわたしの“平和”に対する認識とは異なるのですが、そういう議論をしたいわけでもありません。
 ここまで言ったので、いちおうわたし個人として“平和”に対する認識を述べておくと、それは「戦争は嫌だ」という感情と表裏一体をなすものです。これが「甘っちょろいサヨクの空想平和主義」と批判されることは承知ですが、「死にたくない、殺したくない」という“感情”もしくは“観念”があることは否定されないはずです。理詰めで戦争を肯定されても、この“感情”は消えません。これだけを訴えても議論のテーブルには乗らないのですが、「戦争の主体になる『公権力』と“感情”を持つ『個人』のどちらが重要なのか」という命題に置き換えてみれば、議論として詰めることはできそうな気がします。
 それから、古森氏は「“平和”と“自由”のどちらが重要なのか」という命題も提起されていますが、これはこれでまた別の議論ではないかと思われます。わたしは「どっちも重要だが“自由”の方がより重要」ぐらいのことしか言えないのですが、この点では特に古森氏とは対立しませんね。「平和が好き、戦争は嫌い」と言える“自由”こそが重要ではないか、と指摘できるぐらいです。

古森義久氏の名著を復刊希望。

 コメント代わりにTBを送るのが目的のエントリです、すみません。先ほどのエントリで引用した http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/264964 のコメント欄で、古森氏は「自著の『ベトナム報道1300日』を読んでから発言してくれ」と繰り返しおっしゃっています。実はわたしも、古森さんについていろいろ調べるようになってから、この本は是非読んでおきたいなあ、と思っているのですが、筑摩書房版はもちろん、講談社文庫版も絶版扱いになっているようなのですね。

 さらに、今わたしが住んでいるところ(いちおう百万都市なのですが)の図書館にも、一冊も蔵書がありません。あとは古書で探すしかなさそうなのですが、プレミアがついているようで、ちょっと手を出しにくい状況です。講談社出版賞ノンフィクション賞を受賞した*1名著ですし、手軽に読める環境を作れないものでしょうか。著者から出版社に対して復刊(絶版扱いの取り消し)を求められるものかどうかわかりませんが、講談社文庫以外でも扶桑社なり産経新聞出版なりから、再刊される予定などはないのでしょうか。扶桑社文庫は翻訳ミステリ専門だし扶桑社新書とは毛色が違うし、いろいろ面倒なところもあるかもしれませんが。

*1:講談社ノンフィクション賞ではありませんが。