D.C.Girl's Symphony 感想

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 当方男ですのでひとつよろしく。


 題名が示すとおり舞台は初音島であり、D.C.2と時間軸を同じにしています。


 主人公は史桜という少女であり、ぼんやりとしていて平凡で鈍感だけれど、素直で笑顔が素敵という設定。徹頭徹尾、その可愛い女の子っぷりはぶれないために、変な言い方ですが、幸せになって欲しいと思わせる人徳が生まれています。加えて無自覚に相手にチャームをかける所があり、相手の初心な反応と合わせて、和みました。そこらへんはカマトト上等――お話の中ぐらい全く醜い思考がない人間がいて欲しいじゃないですか。
 ……これ以上続けると、恥ずかしい台詞禁止条約に引っ掛かりそうなので止めますが、そういう訳で主人公の性格付けは成功していると取りました。


 で、史桜を視点人物として攻略するのが四之宮4兄弟と兄役で同居している古城孝明、記憶消失中に拾うことになる龍之介の6人です。
 基本は普通の恋愛物なのですが、わざわざ初音島を舞台にするのですから、当然桜の奇跡が関係してきます。しかし活かされているのはメインヒーロー(妙な言葉ですが)たる稜平ぐらい。他のルートでは整合性の方が気になります。
 推奨攻略順は蒼→渓→孝明→航平→稜平(龍之介は好みでどうぞ)。
 

 絵は標準以上、個人的には史桜の造形は可愛くて良し。
 声は作り過ぎで、男の身としては気に障りました。ただしこれらの声が女の方の官能を刺激すると言われれば、はいそーですかと肯くのもやぶさかではありません。
 歌も同様で、型が合わず拒否反応が出ました。結局は好みの世界に集約するでしょう。


 ちなみにD.C.本編のキャラクタで出演しているのはななか、杉並、朝倉某。名前だけだと小恋、板橋、さくらなどに触れられています。


 では個別シナリオについて少々述べて終わりにします。


 龍之介。D.C.シリーズ伝統の動物○○化物。伏字が隠してませんが、立ち絵の髪型・首輪を見た時点で誰しもがわかるでしょう。筋もまあ想像どおりです。


 古城孝明。外では堅物教師だけれど、家では大甘お兄ちゃんという性格付けはOK。庭で煙草を吸っているシーンは時間の流れなどを感じさせ、本編屈指の良シーンでした(本編以外の視点で評価してしまうと煙草wwwなのですが)。ただ後半の問題発起から解決までの流れはマッハで心理的についていけませんでした。


 四之宮蒼。自由奔放で女たらしに見えるけど実は……。ありていに言えば陳腐な○○物の筋書きだけなぞったために壊滅的に陳腐になっています。シナリオ上語らなくてもいいことはブラックボックスに放り込むべきなのですが、今時○○物でやっちゃうと薄っぺら極まりなくて、誰も冷笑さえしないでしょう。CLANNADの椋のようなリテラシーを望みます。まあ色々と考えは違うでしょうし、突っ込む所ではないのかもしれませんが。
 とりあえずシナリオはダメなのは確実なのですが。


 四之宮渓。冷徹眼鏡がデレる、とだけ伝えれば大体解るかと。


 四之宮航平。容姿端麗で人当たりが良いため人気者ではあるけれど、平凡な少年が平凡な少女に恋をしたというお話。付き合う前のもどかしさというか、史桜の鈍感さが愛い。


 四之宮稜平。態度は一見粗野だけれど、他人に気遣いができ、文武両道、家事も出来るというモテ要素の羅列となっています。ただし恋愛描写は一番しっかりしていて、稜平と史桜両方の魅力を上げる作用を果たしています。それこそが恋愛ADVの真髄だと思うのですが、なかなかそういうシナリオがないんですよねー。
 兎も角、最も悶えた引用で締めましょう。

「……俺は?」
「……はい?」
「だから、俺は?」
「え、あの?」
「す、好き……です、けど……?」

 えいくそ。幸せになってしまえ。


 以上。D.C.シリーズのご多分にもれずキャラクタは良く出来ているものの、動かす論理が錆びついているので、ストーリーを見ると微妙〜面白くなくなります。
 男性だとD.C.ファン以外が手を出すのはお薦めしません。……男性ならばD.C.ファン以外は手を出す訳がない、という説もありますが。

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