スポーツ世界のブラックボックス

 もともと運動部向きではなかったが、中学校のころはサッカーをしていた。していた、と胸を張っていえるほど没頭していたわけでも上手なわけでもなかった、と一応正直に述べる。
 サッカーは好きだったけれど、「帰宅部」は肩身がせまいうえ、へたをするとイジメの理由になりかねないので、サッカーを隠れ蓑にしていたのである。しかし、どうも体育会系のふんいきは苦手だった。
 僕がいたころのサッカー部は指導教員が熱心ではなく、そのぶん先輩たちや能力の高い連中がハバをきかせていた。そんな部内部の、力関係による窮屈なふんいきは十分あったが、暴力などの問題はなかった。
 わりとゆるい風土だったのかもしれない。しかし他の部に目を向ければ、熱血指導教員はあちこちで活躍し、怒号や体罰に近い練習風景は日常茶飯事だった。
 学校体育だけのふんいきではないと思うが、日本の一部のスポーツ界は軍隊である。軍隊を正確には知らないので、軍隊のような、といい変えたほうがいいかもしれないがーー。
 いずれにしても、緊張を強いられるふんいきにはまちがいないだろう。
 そんななかでの今回の柔道日本女子グループの内部告発には、やっぱりな、という感じをうける。
 さらに、組織がもみ消しに動いたところは、まさに組織の行動原理どおりである。日本の正しい組織の姿である。
 ーーなどと、そこを賞賛してはいけない。たぶん問題の根は深い。明日やあさってに、解決に向けて好転することなどぜったいない。
 さらに違和感を感じるのは、これだけ社会問題となりながら、スポーツ界出身の国会議員の声が聞こえないのである。すばやく動いた、という噂もない。
 彼らは、スポーツ振興のために尽力したい、などといって当選したのではないのか? やっぱり、ただの数合わせだったのか? 柔道界出身の金メダリストもいるはずだがな。
 まあ、中学部活から問題はあると思うが、それはそれとして、運動部でガンガンやった連中はその後体が丈夫である。
 しかし、そんな統計を見たわけでもなく、それはあくまで個人的な見解だが、僕ももう少し真剣にグランドを駆けまわっておけばよかった。
 とはいえ、もう一度やり直したところで、結果は同じのような気はする。(-。-;)
(photo:ヘルシンキのトラム駅にて)