プーチン 池田元博

プーチン (新潮新書)

プーチン (新潮新書)

プーチンPutin(1952- )は3月5日に第4代ロシア連邦の大統領選挙に再選されました。この書は2004年発行なので,プーチン氏が2000-2008年の大統領の時代を日経の記者が著わしたものです。
「自ら大統領になったのではなく,大統領に仕立てられた」「全く無名な人物だった」と述べるプーチンとはどんな人物なんでしょう。プーチンの若いときの有名な話があります。中学三年生のときプーチンは国家安保委員会(KGB支部に行き,KGBに入りたいと門戸をたたいたのです。そのとき対応した人が親切でいい人?だったらしい。大学を卒業した方がいい,しかも法学部がいい。プーチンはそれを素直にうけとり難関のレニングラード大学法学部に入学した。また小さいときから格闘技がすきで,ロシアの格闘技サンボそして日本の柔道を習う。「柔道は単なるスポーツではなく哲学」という信念をもっているといいます。

エリツィンYeltsin(1931-2007)が健康上から政務をまっとうすることができない理由で,1999.12.31に後継者にプーチンを氏名する演説をします。「ロシアを自由で強く,かつ豊かな国にする」と2000.5.7に宣誓式で宣言します。「強い国家」「柔らかな独裁」の始まりでした。メディアに出る機会も大幅に増え,「行動力のある指導者」「偉大な指導者」を印象付ける。エリツィンの4倍の頻度で外国の首相と直接会談,身軽に世界を駆け巡り2000年7月には北朝鮮へ電撃訪問も成し遂げてTVに登場し続けます。

日本との外交は依然として北方領土(択捉,国後,色丹,歯舞)4島の帰属問題で平和条約が結ばれていません。2001年に二島(色丹,歯舞)先行返還論が急遽持ち上がるが,鈴木宗男が逮捕になり立ち消えとなりますが,プーチンが再選された後には新聞でこの問題が出ていました。
ロシアは原油天然ガスの豊富な埋蔵量を誇り,原油生産量では世界最大の産油国サウジアラビアにほぼ四敵する水準にあるといいます。世界の見る目が変わり,ロシアのエネルギーに注目するようになってきています。筆者は日本人の対ロシア感は冷え切っているがロシアでは対日観は悪くなく,「奇をてらわず,じっくりと腰を据えて付き合い,気長な信頼関係がひいては領土問題の解決を促す近道になる」と述べています。2012の5月に大統領に就任すると二期の2024年まで就任可能だといいます。「柔らかな独裁」がさらに強固になっていくのか目が離せないことになりました。

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