スラッシュドット・ジャパン | パーキンソン病の脳ペースメーカー手術に思わぬ落とし穴

 タレコミにせよそれを採用して部門名を付けた編集者にせよ、実に良く訓練されたゼロリスク教徒ぶりだな。脳ペースメーカーで体が自由に動かせるようになって、自分がパーキンソン病であることを忘れてしまい、自宅の屋根の修理中に転落し、両足を骨折したのが重大な副作用で、振戦が完全に無くなるのでなければ問題がある、と。タレコミ人も編集者も、仮に自分が重篤で生活に多大な支障の出る病気になったとき、「症状を大幅に軽減する手段はある」「100%安全で100%完全に直る治療法はない」と言われたら、無処置を選ぶんだろうか。
 だいたいその転落のエピソードって、元文献を読んでないから知らんけど、ひょっとして「こんな勘違いがあるほど劇的に効く治療法なんです」という意味で紹介されてたりするんじゃねえの?

水鏡希人『静野さんとこの蒼緋(ふたご)』(電撃文庫)

 『君のための物語』での「ぬはぁ!」なデビューからほぼ一年、満を持しての新作? もちろん、世界観も雰囲気もお話も独自で特異な作品を書いた人が、次作では一転してあえて良くあるパターンに挑むってのはそれはそれでそれ自体は良いとも悪いとも決めつけられるもんじゃないし、その良くあるパターンが「学園でラブコメ、異能風味」なのも、こんだけラノベを読んできといていまさら驚くようなことでもない、んだが……
 て、我ながら妙に辛いな。こういう作品自体は嫌いじゃないし、ダブルパンチなんかも良い味を出してるんだが。うーん、目次ページのイラストでいきなりオチをバラしてんのが悪印象なのかも。ま、イラストがなくってもp.31の時点でバレバレっちゃあバレバレではあるんだけど、しかし本文であればそれは「分かり易すぎる伏線」だが、目次のイラストでは「早すぎるネタバラし」だよなぁ。

静野さんとこの蒼緋(ふたご) (電撃文庫)

静野さんとこの蒼緋(ふたご) (電撃文庫)