『宮澤賢治怪異小品集 可愛い黒い幽霊』著/宮澤賢治・編纂監修/東雅夫(平凡社)

賢治作品の童話や詩の中から、とりわけ興趣深い物語の数々を選んで編む。『おばけずき』『百鬼園百物語』の続編となる第3弾。 宮沢賢治の“常識”を覆す、幻視と恐怖と強迫観念に満ちた文豪小品シリーズ、第三弾。 (「BOOK」データより)

そうか、宮澤賢治という人をこういうふうにくくってみれば、なんと、これまで見えなかったものが視えてくる気がしました。
賢治の作品に触れると、紡ぎだされる世界の澄み切った透明感や、夜や闇の深さにも圧倒されます。詩人だからこその、繊細な感受性のなせるわざかと思ってきましたが、そうだったのか!
賢治は視える人だったのだ!……と、気づかされました。
怖いけれど、可愛い幽霊なんて、なんて、賢治にぴったりの世界でしょうか。賢治ファンならずとも、一読の価値あり!の一冊です。