天使ちゃんの音無勧誘大作戦!〜なぜ音無は天使に刺されたのか?(Angel Beats! 考察)

 他所では哲学とかなんか凄い考察が繰り広げられてるみたいですが、こちらはマイペースでやっていきますw
 
 さて表題の件ですが、当時からしてもいきなり刺されたことには違和感があったのですが、今になって考えてみると、更におかしいことと、その真意が何であるかがわかってくるんじゃないかと思います。ので、あの時の天使や音無、ゆりっぺの言動と行動、そして最新話で振り返っているところとを色々と合わせて考えてみたいと思います。
 
 音無が天使に刺された場面を振り返ってみましょう。
 音無はこの世界に生まれ、ゆりっぺの勧誘を断って天使に話しかけに行きます。そしてこの世界は死んだから来れる世界だと言うことと病むことはないことを説明し、音無が死なないことを証明してくれと言うと、天使はハンドソニックでぶっ刺してしまいます。
 これだけを見ていると、音無の自業自得にしか思えないのですが、結果として音無はSSS(戦線)メンバーとなってゆりたちと行動を共にすることを選び、結果、天使に銃を放ち、天使とは敵同士になるという道を選ぶわけです。つまりは、当初ゆりっぺが目指した音無勧誘が、結果的には上手くいったことになるわけです。
 そうなると、実は音無がゆりっぺたちのメンバーに入ることを目指した、天使やゆりっぺの一連の行動だったのではないかという考えはどうでしょうか?

 天使の音無に対する行動を見ながら、そのシーンを考えてみましょう。
 天使は冒頭のシーンで音無を刺します。その後、音無は天使と敵対の立場を取りますが、更にオペレーション・トルネードの際には、逆に音無が天使のお腹に弾を撃ち込んだりしています。この流れって天使の思惑通りに思えてならないんですよね。
 と言うのは、天使としては自分と敵対して、戦線メンバーになることを望んでいるような節があるように思うのです。冒頭で音無をいきなり刺したのは、音無の求めに応じた意味もあるでしょうが、むしろゆりっぺの説明を信じようとしなかった音無の言動に、六話で「あなたがおかしなことを言うから」となって刺したと考えられます。何せ天使は、自衛のため以外ではガードスキルを発動させてなかったわけですからね。無抵抗で危険性の無い人間を刺すなんてことは今まで無かったはずで。それだけ音無の言動が信じられなかったと言うことでしょうし、戦線に入れようと、自分の味方になど間違ってもならないようにと行動したのでしょう。そしてその後のオペレーション・トルネードの際、音無が天使を撃ったことで、少なくとも自分を敵だと認識してると言う事を確認したものと思われます。そもそも天使がわざわざ音無の前に現れたのもわざとで、音無が自分のことを敵だと認識するかどうかを試したんでしょうね。天使はお腹を、音無に撃たれたことを確認してからガードスキルを発動させてジリジリと近づいては行きましたが、本気で反撃する雰囲気もありませんでしたしね。
 ゆりっぺの言動も気になりますよね。いきなり勧誘に失敗して天使に刺される現場を見ているわけですが、その後も一貫してゆりは音無をメンバーに引き入れようとしてますし、成功もしています。しかも天使に刺されたことを音無に聞かれて「当然でしょう」と一蹴してるわけですが、違和感ありませんか?
 そう考えていくと、天使ちゃんとゆりっぺは音無への対応で口裏でも合わせていたんじゃないかという疑惑が出てきます。何せ、天使もゆりも、音無を戦線に入れる方向では同じ動きをしているんですよね。まあ五話や六話を見ている限りでは、ゆりっぺと天使が口裏を合わせてるようには見えないのですけども……。
 
 それでは、天使が音無を戦線メンバーに入れようとしていると仮定して二話以降を見てみましょう。
 二話では、ギルド降下作戦で、戦線メンバーは対天使用トラップに苦しめられるわけですが、これは戦線メンバーの成長度合いをゆりっぺが試した、と言う側面もありそうですが、天使も、音無を戦線の一員として共に行動させるために敢えて動いた、という見方も出来ると思います。それに天使VSゆり・音無となった際にも、ゆりを仕留める時に音無がタックルかましますが、これも天使が敢えて隙を見せたと言うか、音無がゆりを助けるかどうかを試したような気もしますし、音無がゆりを助けることになれば、ゆりの中での音無への評価が高まりますのでそれを狙った可能性もあるでしょう。
 四話では音無のチームと決勝で対戦させようとしています。以前の考察記事では、日向昇天フラグがどうのこうのと書きましたが、天使が音無を戦線メンバーとして活躍させるために、敢えて決勝で対戦するように仕向けた可能性もありそうです。音無が活躍することによって、他の戦線メンバーに認めさせることも出来ますしね。
 五話では、音無に名前を教えてしまうということをキッカケに、天使は生徒会長を追われることになってしまいます。が、これも天使が音無を戦線メンバーに入れるための一連の行動だとしたらどうでしょう? 天使は音無に名前を教えることで、音無の手柄を増やし、そして戦線の中での音無の地位を更に高めようと努めた……とはならないでしょうか? 音無は天使追い落とし作戦で大きな手柄をあげ、戦線内……特にゆりっぺの中での評価を確定させるほどになったわけですから。
 そして六話ですが、天使は音無が戦線のみんなを助けたいという願いを、ハッキリ言うのを確認した後になって、天使は音無に対して協力することになりますし、音無の言う事をほぼ聞いてくれるようになるわけです。これまで音無は、この世界からさっさと消えたいとか、自分の記憶が戻るまでの時間稼ぎだとか、とりあえずの居場所だ、みたいなことしか戦線に対しては言ってませんでした。それが音無自身から「頼む!みんなが待ってるんだ!」と言うような言葉が出てきたのですから、天使としても、一連の音無の戦線への勧誘作戦が成功したと見たのかもしれません。
 
 ただし他方では、天使の作戦は失敗したようにも見えてしまいます。
 それは、戦線に入ると言うことはつまり、リーダーであるゆりっぺに従う、あるいは心酔するということとイコールであるので、音無がゆりに従う、あるいはゆりをリスペクトさえさせられたら、自然と戦線メンバーに入るはずなのです。しかしながら、それは全く成功しませんでした。そこが「失敗」という言葉が当てはまるのかと考えています
 天使は冒頭で音無を刺すことで、自らが敵であることを身を持って教えました。これは、天使は別に「敵」ではないのですが、ゆりにとっては敵役ですし、ゆりたちと仲間にならないからといって天使の側に音無が来ることは、おそらくはあり得ないことだったんだろうと思います。それに、音無をゆりの方向に持っていくためには、少なくとも天使の側には来れないようにしてゆりが音無を助けるようにすれば、音無はゆりっぺの側に行くであろう、と踏んだのでしょう。実際に音無は戦線には入りますが、その後のゆりっぺへの音無の感情は最悪なものでした。
 二話では、音無はゆりに助けられますし、ゆりを伝って上るところでは「何でこいつこんないい匂いがするんだ」とか、一見肯定的な反応を示しているようにも見えますが、戦線メンバーを次々と見殺しにしていく姿には違和感しか感じてませんでした。
 三話では、天使の部屋突入作戦で、もちろん音無は猛反発したわけです。
 そして五話。音無は天使の名前を聞きに行くという命令をゆりっぺにされたわけですが、あまりにすんなりと名前を言ってしまう天使に対して音無は罪悪感に苛まれます。結果として天使は生徒会長を降ろされるわけですが、オペレーション・トルネードで巻き上げられた天使のマーボー豆腐を食べながら、天使のことの想像する音無が、この作戦を敢行したゆりに対して良い感情なんて持っているはずがありません。
 決定的だったのが六話です。音無は、ゆりの「好き勝手に授業を受ける」と言う命令? に対して音無は苛立ちを隠せず、KEYコーヒーの空き缶を思いっきり投げ入れて八つ当たりをしています。そして反省室に閉じ込められた後、ゆりから渡されたトランシーバで通信が出来ないことを知ると「ガラクタ押し付けやがって!!」と憤って投げつけてしまいます。これってもはや、ゆりへの信頼も何も完全に失墜してるってことを示してると思いませんか?
 そもそも音無は、ゆり発案の作戦への疑問を常々口にしていますよね? 戦線メンバーは基本、ゆりに心酔しているか、ゆりの恐怖政治に従わされているかでイエスマンばかりですから、音無のこの姿勢というのは目立つし、ゆりへの反発とも取れるわけです。まあ音無にしてみれば、それが普通の感覚じゃね? だと思いますけども。
 ……と考えると、天使が音無を、ゆりに心酔させることで、あるいはゆりに信頼を置かせることで戦線メンバーとしての自覚を植えつける、という作戦は全く失敗していることになりますよね。
 音無はよりによって、女性キャラ的にはゆりではなく天使を選んでしまいます。敵対しているときは上手く行っていたかにも見えましたが、今度は男性キャラである日向を追ってしまいます。そしてその後は再び天使を追うようになり……。何時まで経ってもゆりを選ぶという流れにはなっていかないようなのです。
 
 ちなみに日向は、天使の思惑通りの行動をしていると思います。冒頭で音無がゆりたちの側につかなかった原因はこいつなのですが、その後の行動は、例えば音無に最初に話しかけたり、音無をかばったり、音無を真っ先に野球のメンバーに入れたり……と、全てに置いて音無優先です。天使を仲間に入れたいと言って反発を買った音無に対しても、やんわりと受け入れられないことを言うに留めてますし、「コレなのか」どうかはさておき、日向は戦線内において、音無がいやすいような環境づくりに腐心しており、実際に音無は居場所を作れたとも言えると思います。……が、六話での反応を見ている限り、日向も音無に最初に助けられる存在となることは望んでいないみたいではありますね。どうして最初に助けるのが(ゆりじゃなく)俺なんだと言ってますし。その辺にも、天使と日向の、音無をゆりっぺの方向へ向かせようと言う思いが感じられます。
 
 
 天使や日向がどういう意向で音無を、戦線に勧誘していたのかはよくわかりません。以前の考察でやったような、パワーバランスや世界の維持のためのモノである可能性は高いとは思いますが……。
 ただ天使がずっと、音無を戦線メンバーになるように誘導したり、戦線メンバーとしての居場所を作ったりしていたことはおそらくは間違いないでしょう。
 そしてそれがAB!の第6話までのテーマだったかと思われます。7話以降は大きく変わっていくのはその辺が影響しているのかもしれません。


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