Hatena::ブログ(Diary)

聴く耳を持たない(片方しか)

2009-12-17 善意であれ事実であれチェーンメールはダメゼッタイという話

先日TwitterでAB型Rh-の血液が足りないので、適合する人を募集しています。といった投稿が非公式Retweetされ話題になりました。

【戒め】RH-デマの流れと気になったPOST - Togetterまとめ

実際にはそうした事実はなく(追記あり:実際に事故に遭われた方がいるそうです)、またこれは古くからチェーンメールの文面に似ており、伝播するのも早かったのですが、デマと判断して指摘されて収束するのも思いのほか早かったです。

献血のチェーンメールみたいなRTで、ネット上の情報は信頼できることがわかった話 - 快適な生活

今回のチェンメでも、「それデマだよRT」が速攻で広まったし、その速度はデマRTの広まり方より速い。ていうかそもそもおれなんかデマを見る前に運良く「デマじゃね?」ってpostを見てたのでもう完全なるネタバレだったのです。

間違った情報よりも正しい情報の方が速く広まるのです。

間違った情報を流してしまった人が正しい情報を持つと、罪悪感からすぐに正しい情報を流して訂正したくなるのは自然です。たとえ間違った情報を流していなくても、「いやこれ間違ってんじゃね?」って感想を流してくれます。

ネットで遊んでる人がみんな悪意しかもってないんならともかく、基本的にみんな善意で動いてる。

Web上では、善意が悪意に勝つ。

http://d.hatena.ne.jp/kaiteki61/20091216/1260976015

だから、ネットでは、Twitterでは間違った情報よりも正しい情報の方がすぐに流れるし、訂正されるから心配ないよ……というのは早計です。


上記のエントリーのコメント欄にも書きましたが、中越地震での事例を話します。

2004年10月23日、新潟県中越地震が発生しました。川口町で震度7の揺れを確認し、多くの住宅が壊れ避難した住民は最大10万人を超えました。この地震で避難所に被災者が集まったわけですが、各避難所では毛布や食料、日用品は備蓄しているもののその数や品目にも限りがあります。

そうした状況でこのようなメールが広まりました。

現地では今、「大人用の紙おむつ」が不足しています。「赤ちゃん用おの紙おむつ」は足りています。あとは、トイレが使えなかったり、下着を替えられなかったりする ので「パンティライナー」があると重宝しますが、こちらではもう品切れで手に入りません。

P&G 、花王、ネピアなどの紙おむつメーカーに電話をして、現状を伝えてください。

夜の寒さが厳しいです。お年寄りは使い捨てカイロをもむことすらできないの、「貼るカイロ」が必要です。

(一部を引用)

参考リンク

ページが見つかりません - エキサイト

ページ移転のお知らせ


この内容、献血を募集する内容とは異なり、一部は事実でしょう。

確かに災害発生直後は物資が不足して、不便な思いをした事例はありました。*1こうしたメールは(少なくとも一部は)事実で、また善意で広まっていきました。


しかし、物資の不足は比較的早く解消されます。テレビの報道などではすごい大変な場所で、毎日不便な生活しているっていうところばかりを狙って取材しているのですが、道路の補修などはホント自衛隊やら関係各所が奮闘して物資の輸送は割と早く復旧して*2、必要な物資の確保はそれなりにカバーされていきました。


ですが、伝播していったメールは止めることが出来ません。

現地で物資が十分に行き届いたとしても、メールは次々に「善意」で広め続けて、全国から「善意」の必要以上の救援物資が次々に送られ続けるようになりました。使いきれないほどの「善意」の物資。

私自身、当時ボランティアで避難所に行き色々と作業していましたが、被災者にはそれらが提供されるんですけれども、各避難所で使われず山のように積まれてそのままの物資も多かったです。やがて復旧の目処が立って、避難所を後にして自宅や親戚の家に帰るようになっても使われずに残った物資は、無論「善意」ですから無下に廃棄することなどできません。地元自治体が倉庫を借りて保管することになりました。

その後、他の地域で災害があったとき、そうした物資を拠出していたりはしてたと思うのですが、確か数年に渡って倉庫に保管し続け、数百万から数千万円の費用が計上されたのではなかったかな。*3



……で、現在ではこれ以降、新潟県は災害時であっても原則個人からの救援物資は受け付けない方針にしました。2007年に起きた中越沖地震ではそうした対応だったと記憶しています。



話を戻しますが、ではこの事例をTwitterに当てはめたとき、どうでしょうか?

「救援物資が不足している」これは災害直後は事実でしょう、大人用オムツが足りてなかったかまでは把握していませんが、全ての物資が事足りていない状況はあったと思います。

その情報が事実かどうか検証はできるか?おそらくできません。対策本部でも災害直後では各避難所での物資の状況は把握できていないと思います。リテラシーがあっても、Twitterであっても、正しいか間違っているか判断はつかないでしょう。


しかし、状況は変化するんです。

仮に事実だとしても、善意だとしても状況は変わります。チェーンメール、非公式RTで得た情報が元々はどれくらい前のものか判断はできませんよね。



ですから私は、事実かどうか・善意かどうかではなくチェーンメール、非公式RTでの伝播が仕組み上問題だと考えています。1度広まった情報はあとから訂正が難しいです。

まぁ、チェーンメールに比べれば、非公式RTはまだ情報元に遡りやすいですが、それでも限度があります。ならば、非公式RTでなくせめて公式RTにするとか、または転載するのでなくリンクするとか、色々と情報元をはっきりとさせておく必要があるでしょう。このダイアリーでも、Twitterでも繰り返し「非公式RTは嫌いだ」「Permlinkを載せろ」と書いていますが、こうした経験があるからです。


こうしてエントリーを書いている私も非常時で情報が少ない中、必ずしも常に正しい判断が出来るとは限りません。ならば、安易な転載を行わないのが対策になるではないでしょうか。


繰り返しになりますが、善意であっても、事実であってもチェーンメールはダメゼッタイ。


関連リンク



なら、どうするべきか

安易にチェーンメール、非公式RTするのは避けるとして、では何も行動しないのか?というとそうではありません。

チェーンメール、非公式RTの問題点は一旦伝播してしまってはあとから訂正が難しい、というのが特徴です。Twitterでは投稿したエントリーを修正・追記は行えません。ならば、ブログなど後から編集できるメディアを使って報知するのはどうでしょうか。

仮に情報が間違えていたとしても、また状況が変化したとしてもそれを修正・追記できます。

無論、一度情報を伝えた人が再度そのページを見返すかは必ずしも言えませんが、ベターな手法ではないか、と考えています。Twitterで伝える場合でも、そのページにリンクを張ってもらう、という形式であれば後から読んだ人でも正しい情報を得られるでしょう。



追記(2009/12/18)

コメント欄で id:os0xid:os0xさんから情報いただいたのですが、

ページが見つかりません - 毎日新聞

事故に遭われた子は実際にいるようです。

またAB型Rh-であるようですね。ただ、こうした場合病院に直接連絡したり出向くのではなく、献血センターで提供するのがベストではないでしょうか cf. http://twitter.com/dtennou/status/6716268409

*1:私自身は被災地の住民でないので、直後の避難所の状況は伝聞でしか分かりませんが

*2:物資を載せた車が通れる程度には

*3:地元ニュースで見た憶えが

os0xos0x 2009/12/18 10:18 こんにちは。
いやー、今回の件のポイントは、チェーンRTの内容がほぼ事実であるという点だと思います。
まず、横浜市西区で小学生が事故に遭ったことはニュースになっています。
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/0912150007/
で、@dtennou という方がこの件の発信源なのですが、血液が十分ではないことは事実だったようですが、病院の名前が紛らわしかったり、献血したいひとがどうすれば良いかわからなかったため、混乱が生じてしまいました(最寄の献血センターで使途を伝えて献血することも可能だそうです http://twitter.com/dtennou/status/6716268409)。
というわけで、混乱を引き起こしてしまったのは事実ですが、手順がマニュアル化されてインフラが整えば、ちゃんと障害対応としてある程度機能しそうな期待はできそうな気もします。まー、そう簡単な話ではないですが…。

rikuorikuo 2009/12/18 13:23 id:os0xさん、こんにちわ。

なるほど、事故は事実だったのですね……。
http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20091216ddlk14040267000c.html
こちらも同じ記事でしょうか。

希少な血液型に関しては、大阪府の事例ですが
http://www.wanonaka.jp/sub6.htm
神奈川県ですと
http://www.jrcs-kanagawa.org/ketueki/blood/knowledge/type2.html
こうした登録制度を設けており、AB型Rh-の人の情報を血液センターでもある程度は把握しているかと思います。ただそれがどれくらいこうした事態に活かせているのかはちょっと分からないですね。
またドラマにあるような、献血してその場ですぐに使う、という場面は感染症のリスクがありますからそう滅多には行わないとも聞きます。
私自身は献血をよく行うのですが(A型Rh+)その際、投薬の有無、インフルエンザワクチンなどの投与の有無、海外渡航歴などの問診を受けてから採血、その後献血をします。無論採血した血液を分析して問題があれば廃棄されるわけです、そうした手順を踏んで使われるので、直接すぐに事故にあった子に使われるケースはなかなか無いでしょう。

ただTwitterで見たけた情報では、近親者でよほど緊急の場合は感染症のリスクを説明した上で、その場で献血もあるらしい……ですけれども。

なので直接病院が窓口になるケースはまずなく、献血センターに行くというのがベストでしょうか。献血センターからもよく「A型の血液が足りないのでご協力ください」とのハガキが来ますし、新潟県の場合冬場は特に(寒くて家に閉じこもるせいか)提供者が減るので、ラジオ等で呼びかけを行うことがありますから、程度は違うもののそうした対応はよく行われています。