思い出し読書感想文 / 舞城王太郎『好き好き大好き超愛してる。』

好き好き大好き超愛してる。

好き好き大好き超愛してる。

 面白かった、というのは前提として。
 途中、『メタ化された友達』というワードが出てくるんだけど、その意味するところはこの文字列だけで十分理解できると思うのです。100%とは言わないけど、まあ、十分な程度には。だから、これ以上のことは語らなくて良い。言葉を重ねなくても良い。はずなんだけど、ここで舞城さんはさらに二、三行を費やして、丁寧に丁寧に説明を加えてくれる。わかりやすく。
 こういったわかりやすさを、僕はちょっと下品だと感じてしまうのだけれども、しかし、こういう局面で下品になることを厭わない、そこが舞城王太郎の偉いところなんだろうなあ、とも思う。まあ、トレードオフだ。お好みでバランスを取るしかない。
 
 評価:【A】

古川日出男『gift』読了

gift

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 十九の幻想小説からなる掌編集。一作目からして『妖精が足跡を残す瞬間を観るために庭にカメラを仕掛ける男の話』であり、当たりを引いたことを確信する。これだよ! 古川日出男さんに今僕が一番期待してたのはこういうのだよ! ほとばしる最高純度のポエム力に始終どきどき。ああ、先生……!
 ベスト5ってこともないけど、特に素敵だった作品を選ぶとなると、
 『ラブ1からラブ3』
 『台場国、建つ』
 『低い世界』
 『鳥男の恐怖』
 『アルパカ計画』
 ってとこかな。順不同。これ以上の内容紹介なんて、とてもじゃないけど野暮が過ぎてできっこない。困ったもんだ。
 
 評価:【A】