歯磨きに関して伝えたいことがある

まわりの友人に「歯磨きはなぜするの?」と聞くと、みなさんまだ20代、30代なので今のところ歯に関して大きなトラブルを抱えておらず、だいたい「は?虫歯予防のためでしょ?」と答えるのですが、認識不足も甚だしいので私の現時点での歯磨きに関する知識と歯の磨き方についてぜひシェアしたいと思います。

そもそもなぜ私がこんなに歯磨きに関する知識の伝道に静かな情熱を燃やしているかというと、20代中ごろに、正しい歯磨きの知識がなく歯肉炎が進行して歯茎の細胞が死んでしまい、一部歯と歯の間に大きな隙間ができてしまったためです。みなさんにこのような肉体の一部が欠損するという絶望を味わってほしくない(大げさ)。私の場合は運よく母親から歯周病の可能性を指摘され(歯周病特有のにおいがある。カビのような匂い。)、歯医者で歯石を徹底的に取ってもらい(真っ黒な歯石がごろごろ出てきた)、ブラッシングの指導を受け、「歯磨きは何のためにするのか」という教えを受けたため、歯槽膿漏や歯茎のうっ血による生臭い口臭まで進展するような事態には今のところなってはおりません(と信じたい)。しかし知識なく普通に生活していると気が付かないうちに進行する恐ろしい出来事なので、ぜひこの文章を読んで、できることなら定期的に歯石を取りに歯医者に行き、また、ブラッシングの指導を受けてほしいと思う次第です。

というわけで、「歯磨きはなぜするのか」という問いに対する回答はもう書いてしまったのだけれど、以下の2つになります。口臭を防ぐとかはまあ付加的な効果なので割愛します。

(a)虫歯予防
(b)歯茎が壊死することを防ぐ

ここで「(b)歯茎が壊死することを防ぐ」ということに関しては意外と盲点になっているのではないでしょうか。何が問題かというと、歯茎が壊死するとその過程で歯茎が炎症を起こし口臭・歯槽膿漏の原因となるほか、進行すると歯茎がなくなるので歯が抜け始めます。あなたのおばあちゃんが入れ歯を使っているのはそのせいです。今回伝えたいことは主にこの知識と対策です。小学校とかで「虫歯になるから歯を磨きなさい!」と口を酸っぱくして言われますが、「歯茎が壊死して将来歯が抜けるから歯磨きしなさい!」と言われた覚えは僕にはありません。日本歯科医師会と厚生省も8020運動とかいう啓蒙活動を行っているようなのですが、そんなことより学校の保健の授業で歯茎が壊死するメカニズムとその対策をきっちり教えてくれ。。。

8020運動
http://ja.wikipedia.org/wiki/8020%E9%81%8B%E5%8B%95

「(b)歯茎が壊死することを防ぐ」歯の磨き方を行うと、「(a)虫歯予防」も同時に行うことになります。ではどのような方針で歯磨きをすればよいのかというと、物理的にキチンと口の中のゴミ(歯垢)を取り除く、ということです。物理的に!歯磨き時間の長さには意味がありません。とは言えきちんと磨くと10分くらいかかりますが。。。それではここで歯茎が壊死するメカニズムおよび私の行っている歯磨きのプロセスを紹介していきます。

(0)歯茎が壊死するメカニズムについて
歯と歯の間やポケット(歯と歯茎の間にある隙間)に、除去されない歯垢が長期間残存すると石灰化して固い歯石というものになります。この歯石が歯茎の血液の流れを止めてしまい、歯茎の細胞に酸素と栄養が行かなくなり、歯茎が壊死する、というプロセスです。

(1)1日1回でいいので、寝る前に必ず磨く
睡眠中は唾液の分泌が抑えられ、細菌が繁殖しやすい環境になります。就寝前に歯磨きをしましょう。

(2)Y字型フロスを使う
歯と歯の間やポケットには歯ブラシが届きにくいです。フロスを使って物理的に歯垢を取り出しましょう。F字型フロスは奥歯に使用するのがとても困難ですし、糸フロスはいちいち糸を切り出すのがめんどうくさいので、Y字型フロスがベストと考えます。



図1 - 赤丸のところの歯垢が物理的に処理しにくい


私はライオンのDENT.EXウルトラフロスのSサイズを使っています。歯茎の状態によりますが、20代30代のうちは糸のサイズの細いSサイズで十分でしょう。

DENT.EXウルトラフロス
http://www.lion-dent.com/client/products/basic/ultrafloss.htm

Y字型デンタルフロスの使い方とポイント
http://kaiteki.lion.co.jp/meister/post/oral201403_1/

(3)ヘッドの小さい、毛先の細い歯ブラシを使い、縦磨きをする。
無駄に歯ブラシのヘッドの大きいものやブラシの形状が複雑なものを使う必要はありません。あくまでも物理的に歯の間やポケットから歯垢を取り出せればいいわけです。なので適した形はヘッドが小さく口の奥にも歯ブラシが届きやすく、歯と歯の間やポケットの中に毛先が届きやすい細いもの、ということになります。物理的に考えよう。
そして大きなポイントとして、縦磨きをする、ということです。人によっては縦磨きをおこなっている人もいると思いますが、少数派だと感じています。ではなぜ縦磨きか、というと、もちろん物理的にきちんと歯垢を除去できるからです。物理的に!



図2 – 横みがきでは歯の間やポケットから歯垢を取り出しにくい




図3 – 縦みがきの方が歯の間やポケットから歯垢を取り出しやすい


図3に示すように、2方向に歯の間およびポケットから歯垢を掻き出すイメージで、歯茎が痛みを感じない程度の力で縦方向に歯ブラシを上下させて磨きましょう。歯茎にブラシが当たってもかまいません。むしろマッサージ効果で血行が良くなるとのこと。奥歯はこの方法だと磨きにくいのですが、ブラシを横にして、軸方向に回すように磨くことにより対応できます。ここまでやると口の中の爽快感が病みつきになります。

歯ブラシですが、私はライオンのDENT.EX systemaの44Mサイズを使っています。ヘッドがコンパクトサイズで奥歯が磨きやすく、毛が柔らかめで歯茎を傷つける可能性が低いためです。

DENT.EX systema
http://www.lion-dent.com/client/products/basic/systema.htm

縦磨き【Youtube
http://www.youtube.com/watch?v=PpU5Ff8VK2o

(4)歯茎の炎症を抑える成分の入った歯磨き粉を使う
少し値段が高めになりますが、歯周病対策用の歯磨き粉を使いましょう。エスエス製薬のラカルトニュー5がいろいろ調べた限り良さそうです。容量があまり大きいと使い切るのに時間がかかるので、私は110gのものを購入しています。飛行機に乗る場合は100g以上の容器は没収されるので、旅行用に70gを買ってもいいかもしれません。口コミを見ると人によっては渋みを感じるようですが、少量でも効果は実感しているので、あまり使う必要はないと思います。また、この歯磨き粉のよいところはホワイトニングの効果もあるというところです。

ラカルトニュー5
http://www.ssp.co.jp/product/all/lacn5/

(5)定期的に歯医者で歯石を取る
と、ここまでやってもやはりすべての歯垢を取りきることはできません。ブラッシングとフロスをあわせても20%程度は歯垢が残ってしまうようです。ですから半年に一回程度、歯石を取りに歯医者に行きましょう。あわせて歯のクリーニングをしてもらえば歯も白くなります。



図4 - 歯垢除去率(日歯保存誌、48、272、2005年)
(出典)デンタルフロス/歯間ブラシの使い方
http://jp.sunstar.com/useful/usage/interdentalbrush/


以上、歯磨きに関して伝えたいことでした。
rintanは日本歯科医師協会と厚生省を応援しています。

※追記
さらに一段上の対策として、口腔水圧洗浄機というものがあります。
「ドルツのジェットウォッシャーが最強過ぎる件」
http://www.kyoji-kuzunoha.com/2013/02/doltz-jetwasher.html