矢島洋子・武石恵美子・佐藤博樹『仕事と子育ての両立』

 矢島洋子先生・武石恵美子先生・佐藤博樹先生から、ご共著『仕事と子育ての両立』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

 中央経済社から刊行の「シリーズダイバーシティ経営」の1冊で、これで全6巻が完結となったとのことです。4年弱にわたる長期プロジェクトであり関係者の皆様には敬意を表したいと思います。過去ごらんのとおりの5冊が刊行されており、なるほど最後のピースという感じがします。

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馬越恵美子・内田康郎・異文化経営学会『生まれ変わる日本』

 桜美林大学馬越恵美子先生から、ご共著『生まれ変わる日本ー多様性が活きる社会へ』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

 馬越先生が心血を注がれた異文化経営学会の20周年記念事業としての出版ということで、最後に学会小史が付されています。最初に日立製作所の矢野和男さんの幸福論が序説のように置かれ、そのあとは学会周年事業らしく学界展望があり、さらに様々な著者による様々な論考が続いています。実践事例がふんだんに紹介されていてそれ自体が面白く、分野も手法も多岐にわたっていかにも「異文化経営学会」の名にふさわしい、いい意味で雑多な楽しい本になっています。『生まれ変わる日本』という書名ほどに大上段な感じはまったくなく、なにより読んでいて明るい気持ちが開けるいい本だと思います。

日本労働研究雑誌5月号

 (独)労働政策研究・研修機構様から、『日本労働研究雑誌』5月号(通巻766号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 今号の特集は「ジェンダー平等における「公正」と「経済合理性」」ということで関連の論文が集められており、興味深い知見も多く勉強になりますが、(こんなこと言うと怒られそうではありますが正直な感想として)自由と多様性が好きな私には少々つらい部分もなくはないかなという感じです。

ビジネスガイド6月号

 (株)日本法令様から、『ビジネスガイド』6月号(通巻946号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 今号の特集は「改正雇用保険法と実務」「無期転換前後の実務対応」の2本です。雇用保険法の改正は短時間労働者への適用拡大がメインですがこれは施行はかなり先になります。まあ実務的な影響は大きいので早期に準備する必要があるということでしょうか(まあそのために施行を遅らせているわけだが)。リスキリングすれば待期期間がなくなるというのは来年施行だったと思いますがこちらは企業実務の対応はたぶんない、はず(違うかな)。
 八代尚宏先生の連載「経済学で考える人事労務社会保障」は今回は先般の「こども未来戦略」が取り上げられ、共働き世帯が増加・一般化しているにもかかわらず共働きに不利な制度や慣行が多々放置されていることを指摘して「本来の少子化対策とはいえません」と厳しい評価を下しておられます。さらに財源のあり方についても問題点を指摘したうえで、保育政策の在り方についても持論を述べておられます。大内伸哉先生のロングラン連載「キーワードからみた労働法」は「中立保持義務」が取り上げられています。結論としては少数労組に対しても丁寧な説明が必要とのことで現行制度下においてはそのとおりなのですが、私としては(大内先生も書いてはおられないものの同様ではないかと推測)わが国では少数労組の権利が強すぎるという感想は従来から持っており、大内先生がコラムで紹介されている排他的交渉代表制(確かにご指摘のような技術的課題はありますが)、唯一交渉団体約款を真剣に検討すべきではないかと前々から思っている(
連合総研「イニシアチブ2009研究委員会」ディスカッションペーパー(1 - 労務屋ブログ(旧「吐息の日々」))ところです。
 なお特集以外の記事も悩ましいものが多く、いや本当にいまの人事担当者は大変ですね…。

滝原啓允『欧米のハラスメント法制度』

 大東文化大の滝原啓允先生から、『欧米のハラスメント法制度』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

 滝原先生がJILPT時代にまとめられた「労働政策研究報告書No.216 諸外国におけるハラスメントに係る法制」を基にした本で、イギリス・アメリカ・ドイツ・フランス・EUのハラスメント関連法制が紹介されています。EUについてはわれらがhamachan先生こと濱口桂一郎先生が登場されていますね。
 終章ではこれら諸国(除EU)の法制の横断的比較と我が国法制への示唆がまとめられ、最後に修復的正義(restorative justice)に関する解説と労働法との接点についての補章が置かれています。
 修復的正義(司法)については私の認識は教育関係者が学校のいじめ問題との関連で取り組んでいるものという程度にとどまっており、まあ少年なので応報的司法との相性はあまりよくなかろうからオルタナティブとしてはあるのでしょうがそうそう上手くいくとも思えないなと懐疑的に感じていたわけですが、なるほどハラスメントも職場におけるいじめという側面はあるわけで、応用可能性はあるのかもしれません。勉強してみたいと思います。
www.jil.go.jp

ビジネスガイド5月号

 (株)日本法令様から、『ビジネスガイド』5月号(通巻945号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 今号の特集は「パワハラ対応事案」「令和5年度重要労働裁判例」「賃上げ促進税制の活用ポイント」の3本となっています。重要裁判例は例年同様千葉大の皆川宏之先生が担当され、経産省事件やアメックス事件などの注目事件も含めコンパクトに解説されています。八代尚宏先生の連載「経済学で考える人事労務社会保険」は今回は「賃金上昇の要件」が取り上げられ、助成金や税制による政策の限界と、生産性向上につながる制度改革の必要性が指摘されています。大内伸哉先生のロングラン連載「キーワードからみた労働法」は、本年の労基則改正を受けて「労働条件明示義務」が取り上げられて広範に解説されています。

菅野和夫・山川隆一『労働法第13版』

 菅野和夫先生・山川隆一先生から、『労働法第13版』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

 菅野先生が東大法学部長を務められた時期の第6版以降、お弟子さんである山川先生と、やはりお弟子さんの同大の土田道夫先生が改訂を補佐されていたことは各版のはしがきに記されていますが、今回から山川先生との共著ということになったようです。
 この間の労働法の複雑化を反映して、第12版で1,200頁を上回ったぺージ数が第13版には1,500頁に迫る内容の充実ぶりです。構成的には、非正規労働者関係が節から章に格上げされ、個別的労働関係の最後に回っているのが目をひきます。引き続き座右に置いて参照させていただきたいと思います。