読書感想「夢・出逢い・魔性」・・・

君だけが 君だけが そばにいないよ
昨日まで すぐそばで 僕をみてたよ



夢・出逢い・魔性 (講談社文庫)

夢・出逢い・魔性 (講談社文庫)

今回はS&Mシリーズの「封印再度」同様、タイトルが日本語・英語、さらにキーワードともに同音。
夢・出逢い・魔性
「You May Die in My Show」
夢で逢いましょう
それぞれ読んでみるとしっかりと意味をなしているからすごい。
さらに各章でのタイトルが「○○は△△、△△は□□」の形式になっており、
ラストまでしっかりと各章での意味づけがなされている。


今までの作品の多くは愛知県が舞台になってるが、今回は東京にあるNテレビ局。
女子高生クイズ大会に参加する紫子・練無・紅子+保呂草の面々。
ってかもうすでに、女子じゃない奴と大学生じゃないのが混じってるぞ!!
ミステリーについてはそこまですごいと感じる点は少ない。
だが、このシリーズ最大の売りであるキャラクターのやり取りが素敵。
東京ということで林や七夏が出てこないのが残念。
紅子と七夏のやり取りはかなり好きなんだが。
保呂草は相変わらずようわからない人設定で突き進んでいる。
怪盗ルパンのようだ。
今回の一番の面白いところは保呂草の知り合いの探偵:稲沢真澄。
みんなクライマックスで「な、なんだってー!!」って叫んだんだろうなぁ。
物語の会話シーンは誰が主語なのかをしっかり読み込んでいないとまず間違える。
こういった書き方は本当にうまいというしかないな。


テーマとして人は何かをかぶって人生を生きているということ。
あなたは普段どんな仮面をかぶっていますか?
それを外したあなたをどれだけの人が知っていますか?
なぜあなたはそれをかぶるんですか?
さまざまな疑問をぶつけられているような作品だった。


お気に入りの台詞
紅「何でも一方向から捉える、というのがカメラだもの」
紅「報道というのは、私たちの目や耳を補強してくれている、と思うでしょう?
  そうではなくて、足と頭を動かないようにしているだけなのよ


練「どうして泣いていたのかな」
紫「さあ……」
練「しこさんが大きいから、恐かったんじゃない?」
紫「どんだけでかい?私」


保「これだけ大勢の人間を集めているんだからね。
  簡単に中止したら、大損害だ。
  スタッフが一人死んだくらいで中止にするはずがないよ」
紫「プロデューサでも?」
保「組織というのはね、上ほど交換が簡単なんだ」


右手があると思うから、左手が弱い。
味方がいる方が弱い。
人は、そういうふうにできている。



今日の独り言
「いつまでも 覚えてる この街が 変わっても
 どれだけの 悲しみと 出会うことになっても
 見せてやる 本当は強かった時のこと
 さぁ行くよ 歩きだす坂の道を」