読書感想「夢・出逢い・魔性」・・・
君だけが 君だけが そばにいないよ
昨日まで すぐそばで 僕をみてたよ
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/07/15
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 21回
- この商品を含むブログ (98件) を見る
「夢・出逢い・魔性」
「You May Die in My Show」
「夢で逢いましょう」
それぞれ読んでみるとしっかりと意味をなしているからすごい。
さらに各章でのタイトルが「○○は△△、△△は□□」の形式になっており、
ラストまでしっかりと各章での意味づけがなされている。
今までの作品の多くは愛知県が舞台になってるが、今回は東京にあるNテレビ局。
女子高生クイズ大会に参加する紫子・練無・紅子+保呂草の面々。
ってかもうすでに、女子じゃない奴と大学生じゃないのが混じってるぞ!!
ミステリーについてはそこまですごいと感じる点は少ない。
だが、このシリーズ最大の売りであるキャラクターのやり取りが素敵。
東京ということで林や七夏が出てこないのが残念。
紅子と七夏のやり取りはかなり好きなんだが。
保呂草は相変わらずようわからない人設定で突き進んでいる。
怪盗ルパンのようだ。
今回の一番の面白いところは保呂草の知り合いの探偵:稲沢真澄。
みんなクライマックスで「な、なんだってー!!」って叫んだんだろうなぁ。
物語の会話シーンは誰が主語なのかをしっかり読み込んでいないとまず間違える。
こういった書き方は本当にうまいというしかないな。
テーマとして人は何かをかぶって人生を生きているということ。
あなたは普段どんな仮面をかぶっていますか?
それを外したあなたをどれだけの人が知っていますか?
なぜあなたはそれをかぶるんですか?
さまざまな疑問をぶつけられているような作品だった。
お気に入りの台詞
紅「何でも一方向から捉える、というのがカメラだもの」
紅「報道というのは、私たちの目や耳を補強してくれている、と思うでしょう?
そうではなくて、足と頭を動かないようにしているだけなのよ」
練「どうして泣いていたのかな」
紫「さあ……」
練「しこさんが大きいから、恐かったんじゃない?」
紫「どんだけでかい?私」
保「これだけ大勢の人間を集めているんだからね。
簡単に中止したら、大損害だ。
スタッフが一人死んだくらいで中止にするはずがないよ」
紫「プロデューサでも?」
保「組織というのはね、上ほど交換が簡単なんだ」
右手があると思うから、左手が弱い。
味方がいる方が弱い。
人は、そういうふうにできている。
今日の独り言
「いつまでも 覚えてる この街が 変わっても
どれだけの 悲しみと 出会うことになっても
見せてやる 本当は強かった時のこと
さぁ行くよ 歩きだす坂の道を」