2012-01-28
■[Career]これが決めてだったりして。。。
まだ、行き先に迷っていたころ、近くのお気に入りの中華料理屋で、フォーチュン・クッキー(おみくじの入ったクッキー)をもらったので、クッキーをあけてみると。。。(写真)。
"You are heading for a land of sunshine."
そうか、次の行き先はSunshine state(フロリダのニックネーム)なのか〜。と思ったのだった。結局、結果的にそうなりそうという。。。そういう気がしたのでまだこのおみくじは、とってある。フォーチュン・クッキーにかいてあることなんて、たいていはどうでもいいことなんだけどなあ。結局のところ、人生の分岐点において、そのうちのどういう判断がよかったかなどということは、だれにもわからないわけで、ひいてみる気もなかったおみくじに勝手に判断されてしまったら、もうしようがないという気がする。
そういえば、中華料理屋のフォーチュン・クッキーってアメリカでしかないらしいけど、本当なのかな?と思ったらWikipediaのページによると、どうやらもともと日本人が考えたものらしい。。。
2011-12-31
■[あけましておめでとうございます]
あっという間に2011年がおわりである。。。といってもかなり盛り沢山な年だったか。とりあえず、いろいろ旅行が多かった。旅行は別に好きはないのだが。。。
私たちのラボは、論文は6報、Natureにも論文が出版され、なかなか生産的な年だった。グラントも3つめのR01がとれ、学生が二人PhD獲得。さらに、ポスドクだったHM君がPIのポジションをとり、日本で次々と大型グラントや若手賞を当てるという快挙。ぜひぜひこの調子でがんばってほしいものである。
さて、2012年は、私にとっても、来年は大きな変化がある年になりそうである。近い目標としては、すぐに出せそうな2報の論文は、ぜひともトップの科学雑誌に載せたい。そして、1つめのR01を更新しなければならない。そして、絶対にやりたいのが、シナプスの信号伝達可視化技術をスケールアップすること。In vivo イメージングなども、挑戦していきたい。ちょっと違う方向の研究も始めてみたいが、もう少し検討するとしよう。
なお、前回のブログで書いた、次の行き先に関しては、実はもう決心しているのだが、ここに書くのはもうちっと後にしようかと思う。
2011-10-31
■[Career]最近の状況
Dukeではもうみんな知っているし、まあある程度書いておいてもよいかもしれない。私が現在移籍を考えている行き先は、
- M研究所
- H研究所
という2つの東海岸にある研究所。どちらも、豊富な研究費を出してくれることが魅力。研究所としてはまだ新しいが、バックにある研究団体は長い歴史をもっている。
M研はディレクタ職で、終身雇用を約束している。研究環境に関しては申し分ない。バックの研究団体はヨーロッパが本拠地で、初のアメリカ進出の試みなので、結構面白い経験ができそう。
H研はグループリーダーで、100%の時間を研究に使える。5−6年ごとにきびしい審査があるが、これをクリアできれば最高の環境を提供してくれる。グラントを書いてはいけないところと、ラボの規模を大きくしてはいけないのが面白いところ。長期資金に関しては、H研のほうが確実だろう。
ここまで書けばたぶんどの研究所か見当はつくだろうけど。。。でも正式に決まるまでは名前は伏せておく。
もちろん、DukeはDukeでよいところがたくさんある。よい学生がいるとか、研究所とちがって幅広い人材がいるとか。いちおうテニュアをとれば、終身雇用だし。
ということで、選択は、いまのところ、この3つのうちのどれかかなあ。まだわからないけど。
Sato
もし、Duke に残る気持ちが少しでもあるなら、こういった素晴らしい他からのオファーをDukeにチラつかせて、Dukeでの自分の立場を格段に上げて貰う(給料2倍、ラボスペースを増やす、Endowed Chair ポジション、Full Professorなどなど)ということもありだと思います。
In-a-car-monday
つい最近メールさせていただいたSKです。どきどきする内容ですね!どうなるか、勝手に楽しみにしています。僕も東海岸の某研究所に行くことが正式に決まりました!何かの折にお会いできることを楽しみにしています。
ryasuda
Satoさん、Dukeからももちろん借りのリテンションオファーがでています。でも、内部での昇給、昇進はいろいろと制限があるようで、やや渋い感じです。。。しかもHHMIの雇用というところがさらにものごとを複雑にしています。
ryasuda
SKさん、先日はメールありがとうございます。その研究所は私も行く機会が結構あると思いますので、そのときにでも飲みましょうか。
In-a-car-monday
SKです、コメントありがとうございます!4月上旬に渡米しますので、その際にまたメールさせていただきます。ぜひ飲みに行きたいです!
ryasuda
Satoさん、すみません。ありがたい情報なのですが、ちょっといろいろな物事に与えるインパクトを考えて一番最近のコメントを削除させていただきました。
Sato
サイエンスのこと考えたらやっぱりH研(J?)じゃないかな。。。。。でも、Kがいると、いつまでもくっついてるみたいにみられていやかもね。。。。中国でのM研展開もボツになったらしいよ。。。。日本にM研やらH研できないかな。。。。
ryasuda
Satoさん元コメントの内容に関連して、米国M研は初の試みなので、そのそもいつまで存続するのか、というリスクが伴うので、当然オファーもそれを反映し、ストップギャップが交渉の中心になるというわけです。
ryasuda
Satoさん、日本にできたら面白いですね!どちらにしろ、M,H研どちらも、一長一短があるのは確かです。
sun-and-moon
御無沙汰いたしております。yasuda さんに遅れること5−6年、ラボ立ち上げの楽しさと苦労を味わっているところですが、yasuda さんは既に次を見据えているのですね。ここを拝読していると、学生さんとの研究を楽しんでいらっしゃるように感じたのですが、研究面においては大学よりも研究所の方が魅力的なのでしょうか?
ryasuda
Polyさん、そういえば遅ればせながら、独立おめでとうございます。大学も好きですし学生も好きですが、研究に打ち込むのなら研究所もよさそうな気がします。
IS
久しぶりに元気な姿、楽しかったです。さらなる飛躍、陰ながらいつも楽しみにしています。いつも期待に答えてくれますし。
ryasuda
日本での飲み、楽しかったですね!今度こっちにきたときには、ぜひよってくださいね。
2011-10-06
■[Duke]Basic Science Day
わあ、もう2ヶ月もブログを書いていない。夏休みはウッズホールにいたし、その後も日本にいったりとか、実はネタになりそうなことはあったんだけどね。テニュア取得が近いこともあり、ほかの研究機関での機会が目にはいったりして、最近は、なんだか落ち着かない。もうちょっというと、Duke大学に6年間もお世話になり、とても楽しかったわけだが、やはり研究というのは5年程度で1つの区切りが来るわけで、どこかに移るのもよいかもしれないという気もするわけだ。いままで数年以上ひとところにいたこともないわけだし。次の5年間、どういう研究をどこでやるか、ということはまだ自分自身かなり迷っている。今はこれくらいしか書けないけれど。
それはともかく、最近の話題といえば、次の月曜日、DukeのBasic Science Dayでプレゼンをする。案内はこちら)。メディカルセンターでどんな基礎研究が行われているかを、Dukeの人たちに紹介する会だ。当然、いろいろな分野のトークが入り混じるわけで、内容も学部生がわかる程度の話にする必要がある。Cold Spring Harbor Labのときも、同じような会があったけれど、普段は交流のない学科で、どんな研究をやっているのかを知る機会にもなるし、とても刺激になるのではないかと期待している。
それにしても、会場では基本的にはMacを使わなければならないようで、しかも古いパワーポイントしか入っていないので、ファイルをいろいろ修正しあんければならず、なかなか面倒だった。。。会場でWindowsが使えないというのもめずらしいが、こんなときなので天才ジョブズさんに敬意をしめすのもよいかもしれない。昔は私もMac使いだったし。
Update:::
まちがえて、去年のを張っていた。。。
sachi
お久しぶりです、sachiでございます。
Macしか使えない、にびっくりして思わず参上してしました…
うちの修論発表では、プロジェクタ接続がうまくいかないことがたまにあるため、学生のMacユ−サを嫌う先生がおります
f^_^;
ryasuda
おひさしぶりです。私もびっくりしました。これまでではじめてです。うちの研究室もずいぶんMacが増えてきました。Mac用のソフトも買ってくれといわれてこまっています。
2011-08-11
■[Grant]グラントの書き方
さて、最近NIHからもう1つR01グラント(大型研究予算、1年あたり$150-$250の3−5年が普通か)がとおり、私がPIとなっているR01は、テクニカルには5つになった。複数PIのものが1つ、同僚から引き継いだものを含めてだが、それでもR01に関してはこれまで採択率100%を維持している。おかげで、うちのラボの直接経費予算も$1Mを超え、そのうえにHHMIからの備品予算もつく、というラボが始まった当初かすると、夢のような研究環境となった。これまで敗れたグラントもあるけれど、すべて合わせても80%以上の採択率を維持している。テニュアのほうも問題なさそう。
もちろん、まだR01の審査(Study sectionとよばれる)もやっていないわけで(Tenure前ということで、勘弁してもらっている)、たった4つ5つ連続してとれたからといって(まだ再提出もやったことがない)「勝利の方程式」が見えたわけではないとは思うけど、それでもいろいろな先輩からアドバイスされ、大事だと思う項目を整理しておいてもよいだろう。
1.グラントセミナーにでる
ゲームのルールを知らなければグラントはとれない。一度でもでると、書き方のコツがわかる。
2.いいアイディアがある。
プロジェクトが成功してHigh impactな原著論文が次の5年間に4−5報でる、ということを審査員に納得してもらう、というのが最終的に大事なのだと思う。そういうアイディアが出るまで考えるべし。
3.大きな論文を書く直前が最高のタイミング!
神経学科の学部長ジムからのアドバイス。論文のねたを「予備データ」として使い、そこから派生する問題をグラントにする。すべての技術的なブレークスルーは、グラントを書く段階で解決している必要があるので、どうしても論文が近い状況になる。
4.仮説、または目標は、1文で、明確に。
グラントセミナーより。グラントセミナーは、Specific Aimsの書き方が50%を占める。それだけ大事なセクションなのだけど、そこで1文でかける「Central hypothesis」というものを書く。これだけでProposalらしくなる。この仮説は、「正しくなければいけない」という恐ろしい宿命があり、予備データをたくさん用意して「たぶん正しい」ということを書く。
5.Specific Aimsは3つがいいかな?
グラントセミナーより。Central hypothesisを証明するための3つの実験目標を書く。ここで重要なのは、たとえばSpecific Aim 2をやるために、Specific Aim1の成功が必要であることが、ないようにするのがよい。この「前Aim依存性」は、避けられない場合は、Specific Aim1に関しては、「まず100%成功する」と思わせるだけの予備データを取る必要がある。
6.KISS(Keep it simple, stupid!)の原理
カレルからのアドバイス。何十個ものアプリケーションを読むがわからすれば、複雑なロジックなどもってのほか。簡単に、素人でもわかるように。私自身は、条件分岐はなるべく避けるようにしている。もし必要な場合は、ほとんど、かたほうの分岐のみを考えればいいほど、予備データをためておく。
7.図表を使う。
複数の人より。。1つの図は100行の文章よりも効果的なことがある。表は、個人的には、すべての項目を網羅している雰囲気を出すのに使っている。
8.すべての可能性を考えつくしている、という雰囲気を作る。
グラントセミナーより。仮説が正しい場合とそうでない場合の、「予想される結果」というのはきちんと書いておく。ポジティブ、ネガティブコントロールも大事かな。
9.1月前には書き終え、人にみせる。
当然。グラントセミナーより。
こんなもんかな?Study sectionに言ったことある人の意見があれば、ぜひ聞きたいものです。コメント欄に!
Sato
RO1の Renewal の時の審査では、ひとつひとつのSpecific Aim がきちんと遂行されて、それらが成果に結びついたか、Central Hypothesisの検証は達成されたか、ということが、かなり具体的に厳しく審査されます。 また、Renewal のプロポーザルでは、新たなFirst Proposalの続きというよりは、First Proposalで得られた結果に基づいて、さらなるブレークスルーにつながる飛躍的な結果につながるプロポーザルである必要があります。 Renewalの前に一回か、二回、自分のプロポーザルが審査されるStudy Section にAd hoc の審査委員として参加するのは、とてもためになります。 自分のプロポーザルが審査されるStudy Section の雰囲気、傾向がわかるというのは、かなり有利です。 Study Section ごとで、かなり性質、傾向は違うので。。。。また、Standing Member の人たちとのコネクションも有利に働きます。 所詮、人間の審査するものですから。。。。RFAでとったRO1はRenewal 出来ないと思ってほぼ間違いないと思います。 また、 RO1を沢山維持していくのには限りがあるので、ここらへんでPPGに加わっておくと、後々助かると思います。
僕は、日本に来て2年になり、いくつか大型グラントをとりましたが、Ryoheiさんがいっているようなことは、日本のグラントを書くときもほぼ同じです。 アメリカでのグラントライティングの経験はとても役にたってます。日本の研究者の多くは、Central Hypothesisをたてて、論理的なプロポーザルを書く訓練を受けていない人達が多いので、かなりアドバンティジになります。 ただ、日本のグラントは数ページなので、短くまとめるのがとても大変です。また、日本語は英語より、文字が混雑する傾向にあるので、読み易く(見易く?)書くのが大変です。
ryasuda
なるほど。Renewal前に、Ad Hocとして参加しておいたほうがよかったもしれませんね。。。日本のグラント書きに、アメリカでの経験が役に立った、という話も、時がきたときに日本に帰れるかも、というはげみになります。
2011-07-10
■[Misc]なんで、Woods holeに来るのか?
夏になると、毎年短いときで3週間、最近は夏休みの間中、Woods holeですごす。私がアメリカでポスドクを始める前、神経科学をはじめるときに、9週間のNeurobiology courseをとったのがはじめ。もう11年前にもなる。その後、Dukeでポジションをとったのを機に、毎年コースで教え始めて、その後Lismanと共同で夏季限定ラボを夏の間運営するようになった。
Woods holeのラボではもちろん研究もするのだけど、細切れの時間ではなかなか研究はすすまない。ラボから離れるのには、大きなデメリットがあるし、連れて行った学生はその分仕事が遅れる。。。いちおうMBLのグラントをとってはいるものの、それなりにコストもかかるし。。。3週間くらいは家族も連れてくるのだけど、離れている時間が増えるので、これも???というところもある。MBLのコテージはシンプルで、住みやすいとはいえないし。。。。
ということで、デメリットが大きいので、たまに自分でも「なんでこんなことをやっているのだろう?」と感じることもある。でも、夏には、ものすごく多くの神経科学者がやってくるので、ここはいろいろな意味で刺激的である。Collaborationの可能性を議論したり、普段はできないようなアイディアの交換ができる。
それになんといっても。。。美しい海、空、クーラーのいらない涼しさが、なんといっても魅力なんだろう。夜、海で泳ぐと、夜光虫かくらげかしらないけれど、きらきらと光るのが見える。。。Giant Axonや、GFPの発見など、ノーベル賞をとった研究が多く行われたのも偶然ではない。ここは、神経科学者の聖地?なのかも。
なんか、ここに来るようになってから、研究っていうのは、コミュニティ全体としての努力であって、一つのラボでやるもんじゃないよなあ、と感じるようにもなった。
写真は、コーヒーオブセッションの中。グラントや論文を書くときに来る。
2011-06-16
■[Lab]また別れ。
ポスドクのHくんが日本で准教授としてPIの職を得たので、いよいよラボを離れることになった。彼が着てから5年、本当に素晴らしいデータを出してくれたし、ラボみんなの手本として、ラボのレベルを上げるのに貢献してくれた。Dukeでラボをはじめて、すぐに彼のような人材を得られたのは、本当にラッキーだったと思う。今までのうちのラボの成功は、彼の力によるところが大きい。
ということで、Hくんは、みんなに惜しまれながら、ラボを去る。この前は、うちでさよならパーティーをした。うちのラボも10人以上になり、それぞれが家族をつれてきてくれたので、なかなか盛大なものになった。ラボにとっても、初めてPIを送り出すイベントなわけで、みんなもいろいろと盛り上げてくれた。
実は、パーティーは違う場所をとってあったのだが、直前にお酒が飲めないことがわかり、急遽うちでやることになったのだ。3日前に小さいホームパーティーをひらいていたので、たまたま家がきれいになっていた(というか、多分他の家の「普通」レベルかもしれんが)ので、なんとかなった。ほ。。。
これからのHくんの活躍を祈って。。。写真はみんなからのカードを渡しているところ。これからもがんばってね〜。
ラボからどれだけPIを送り出したか、というのは、もちろん、ラボの成功の大事な指標になる。願わくば、これからも、PIになる人が、どんどん出てきてくれるとよいが。次のPIは。。。順番的にはEさんかな?
2011-05-11
■[Meeting]学会発表の基本とか
今、上海の近くにあるSuzhouというところにある、コールドスプリングハーバー、アジアという学会にきている。本家のロングアイランドの学会と違って、ホテルも学会室も豪華でなかなかよろしい。
さてさて、Vikingさんのところに英語発表の基本について書かれていたので、それにInspireされて、少し学会発表について書いてみようか。Dukeで大学院生たちに「学会発表のしかた」を議論するクラスを受け持っているわけだし(教えているとはさすがにいえないが)。
まず、学会発表のさいに、絶対に忘れていはいけないんだけど、おもわず忘れてしまうのは、
「相手は私の研究の内容に関して、素人である」
「相手は私の研究に興味を持っているわけではない」
という事実。発表のさいに、当然、自分の研究について一番自分が知っているし、自分が一番面白いと思っている。ということで、イントロでは「なんでその研究が重要なの?」ということをきちんと説明する必要があるし、グラフなどは、きちんと読み方を教えてくれないと相手はついてこれない。データの解釈も、自明であるような気がしても、ばか丁寧なくらいに説明する。業界用語や略期は避けるのは当然。しかし、それと同時に、やや矛盾するようだが、
「相手を侮ってはいけない」
というのもあってロジックの飛躍や説明のうそはには注意しなければならない。相手は、私の研究に関してはよく知らないかもしないが、サイエンスのプロでもある。
さてさて、実践的なスライドの作り方として、Dukeのクラスで使っているのは、このスライド。一通り読むだけでとてもよくなるとは思うが、いくつかポイントを。
1. Start broad, get specific, and end broad. (下の絵のように)
イントロでは、聴衆のほとんどの人が理解できる一般的な話、たとえば分野の大きな目標のようなもの、から初める。そして、順次話しをSpecificにしていき、自分の研究の話題にもっていく。こうすることで、「なんでそんな研究やってるの?」という話が明確になる。そして、最後も同様、自分のやった研究からもういちど大きな話に戻すとよい最後にもう一度一般的な話しにもってくると、聴衆は「この結果はなんで大事だったんだっけ?」というのを思い出すことができる。10分のショートトークでも、サマリーのあとに一言でもBig pictureをみせると、かっこいいかもしれない。
2. トークをいくつかのエピソードにわける。
相手は、長い話をフォローするのは無理。ということで、短いエピソードをつなげ合わせることによって、相手のアテンションが維持できるようにする。特に30分以上のトークでは大事。
3. ホームスライドを使ってエピソードをつなげる。
Home slideとは、それ一枚でトークのすべてを網羅するようなスライドで、エピソードの間に同じスライドに戻ってくるようにして話の流れを明確にするために使う。Home slideの大切さは、クラスでもよく議論するが、実際に上手なものを作るのはなかなか難しい。それに、これは上手なトークをするための唯一の方法ではない。効果的なHome slideを作ると、トークの流れがとてもよくなる。たまに、目次をHome slideに使う人もいるが、これはあまり意味がない。お勧めは、中心となる仮説か結論を絵で表したスライド。
基本的には、イントロダクションの後にHome slideが来て、ここで「今日は、この仮説を証明するための、こういう実験の結果を報告します。」。。みたいなかんじで全体の流れを説明する。このときにすでに結論までの道筋を相手が見えるようにしておくと、相手がついてくる確率が高くなる。たいていの場合は複数の実験結果があるだろうから、それぞれの実験がその仮説の中で何を証明していたのか、次にどの部分の証明が必要なのかを、そのたびにHome slideを使って説明する。結論でもHome slideを使い、「これらの実験で、この仮説のこの部分が証明できました。」というかんじ。「将来はこの辺をつめる必要がある。」という感じのことをいってもいいかもしれない。
発表の途中に大事なのは、
1.Eye contact -- 聴衆のほうを向く。会場の後ろまで声が届いているか確認しながら。
2.レーザーポインター -- 複数のパネルがあるような図をさけ、できるだけ使わなくてもよいようなスライドを作るのが基本だけど、必要なときは使う。必要ないときには消しておく。震える人は、両手でもつようにするとよい。眠っている人がいたらこれを武器にして戦う(うそ)。
3.しゃべりかた −− 相手に伝わるよう、ゆっくりと。スライドの切れ目では、ちょっとポーズをいれると同時に、何かつなぎの言葉をいれる。大事なところは、一瞬間をおいて強めに話すなど、少しトーンを変える。
さて、私の今回のトークは。。。まあまあだったかなあ。25分のトークで最後に時間の計算を2−3分間違えて、スキップしたスライドがあるのが悔やまれる。こういうことをやるのはプロフェッショナルではないよね。
Susan McConnell, From "Giving an effective presentation:Using Powerpoint and structuring a scientific talk".
2011-04-25
■[Misc]すごいな〜
中等部のころの友人たちがやっている気仙沼への物資運搬支援の写真。すでに3往復したようだ。なんと行動力のあるやつらだ。。。同窓の仲間だったことを誇りに思う。
そういえば、ノースカロライナの誇る日本人報道カメラマンIさんもいち早く現地にいって、こちらの新聞にレポートしている。うーん、これもかっこいい。
非常時に、自ら考え行動できる人たちというのは、やっぱりすごいと思う。
■[Papers]時間をかけて、High impact journalをめざすべきか?
上記タイトルに関して、ちょっとしたストーリーがこちらのブログに。若手プロフェッサー用の助言。
まだ予備データの段階で論文を出そうとすると、いわゆる「インパクトファクター」の低い雑誌に出すことになる。仮説をサポートするデータをためて、全体で大きなストーリーを形成できれば、出せる雑誌の格はあげることはできるが、そこまでするには、大変な時間がかかる。そしてレビューワーとの戦いの時間も何倍も長くなる。どこで妥協するのが最適なのか、という質問だ。
もちろんこれは場合によるんだけど、「独立の証明」として、最初の論文は早めにだしたほうがよいという考えがのっている。たしかに、ラボが立ち上がっていて、結果がでてきていることを証明するには、やはり小さい論文でも出しておくと違うだろう。もっとも、大きなストーリーになりそうなときに、小出しにするのは悔しいし、そこは難しいところだ。
うちのラボの場合は、最初の原著論文は立ち上げ3年目のBrain Cell Biology。自分がGuest Editorということもあって、サイドでやっていた結果をとりあえず載せた。内容的にはがんばれば高い雑誌を目指せたかもしれないが、他のプロジェクトに力を注ぎたかったため、論文にするためのデータをちょこっとだけ加えて提出した。多分ここで出さなかったらこのデータはお蔵入りだったかもしれない。しかし、この論文のおかげで、あるグラントのレビューで、「PIとしても論文がではじめている」というコメントをもらったことがある気がする。
2報目の2009年のNatureは、メインの結果そのものは2007ごろにはでていたが、データをためてためて大きな論文にした。4報目の2011のNatureもそういう感じだ。やはりこの辺の雑誌にだそうとすると、かかる時間もとても長くなるし、実験するポスドクや学生にも耐久力が必要となる。よく人から、これらの論文は2報にわけられるよね、といわれる。
さて、最近になって出てきた問題としては、プロジェクト途中で学生が卒業してしまったりなどで、断片的なデータがあちこちにある。これらを論文にするのかほっておくのかも考えどころ。がんばれば仕上げられるのはわかっているのだが、サイドのプロジェクトとしてやると、意外とまとまらないという中途半端な状況だ。
2011-04-17
■[Award]思考停止状態をぬけて。
海外にいる多くの日本人が地震以来思考停止状態なのではないかと思う。先月もいろいろなことがあったが、なかなか日記を書く気にもなれなかったし。昔の仲間たちが東北で支援をしているのを聞いたりすると、何にもしていないでよいのだろうか、と思ったりして。
そんな中で、自分自身にとって、よいニュースがいくつかあった。まずは、Duke大学からThe Ruth and A. Morris Williams Faculty Research Prizeの受賞決定。そして、Human Frontier Science Programからも国際共同研究グラント(金沢大のTAさんと)の獲得が決定した。
論文の審査など、どうもやる気がおきず、たまってしまっているけれど、息をすって、できることをやるしかないね。
2011-03-21
■[Paper]論文がOn lineに。
私たちの論文がOn lineに出版された(リンク)。今回は、Dukeのプレスリリースがあったせいか、あちこちのメディアで取り上げられた。たとえば、こちらでは、画像つきのやつで、"Major clue in long-term making. You may remember the color of your loved one's eyes for years. But how?"という見出し。みたいなかんじ。さすがにこういう文章は、慣れている人が上手だね。
論文の内容は、シナプスの長期増強というシナプスでの記憶の過程において、1つのシナプスの内部における、RhoとCdc42という信号分子の活性を測定した、というもの。これまで、シナプスにおいて、たった0.1秒しか続かないカルシウム上昇がどのようにして長期に持続するシナプスの記憶を作るのかは謎であった。今回の論文では、カルシウム上昇によってこれらの信号分子が活性化され、その活性が長く持続することによって、シナプスが記憶を保持することを助けていることを示した。これで、シナプス内部での分子の化学過程がシナプスの記憶を作りえることを、いちおうは証明したといえる。。。かな?

kt
遅くなりましたが、おめでとうございます!
まだ詳細に読んだわけではないのですが、非常に面白そうな論文ですので、じっくり拝読したいと思います。
こちら(http://blog.livedoor.jp/physiology2/archives/1844170.html)やこちら(http://viking-neurosci.sakura.ne.jp/blog-wp/?p=5610)で散々だまされましたので、疑心暗鬼になっているところです。
ryasuda
ktさん、ありがとうございます。ご紹介のエイプリルフールのサイト、なかなかよいですねえ。
2011-03-12
■[Misc]大地震!
昨日の朝、ノースカロライナではなんともない普通の朝だったけれど、Twitterを見て日本の大地震を知る。CNNでもニュース番組は日本の自身一色。そして、明らかになった被災地域の大きさと、津波の画像の恐怖に唖然。遠くにいてみているだけのことに歯がゆさを感じる。Dukeや昔のCSHLの同僚から、家族は大丈夫か、などというメールが次々と届き、心遣いに感謝する。
空前の震災と津波の規模で、被害を最小限にとどめた日本の防災技術と行動の規律はテレビでもとても評価されていた。日本以外ではとてもできないだろう、と。しかし、余震の続く中に避難地での生活は想像を絶するつらさであろう。こんなことをブログで書いてもしかたがないが、一人でも多く助かるよう祈るしかない。
こちらのニュース番組は、日本の地震の関係がほとんどをしめている。また、合間にはこの地震が世界の経済に与える影響などの分析もされていた。リビア内戦のニュースなどは、忘れされれてしまったかのようだ。震災の唖然とするような規模のせいもあるだろうが、それと同時に、日本の危機はアメリカにも非常に大きな影響を与えるものなので、多くの人々の関心事なのだ、ということを認識させられる。
なお、今日(3月12日)は日本語補習校卒業式(幼稚園から高校まで)だったが、その中で高校生たちが被災地への募金を呼びかけていた。ボランティアのみで成り立っているこの学校の高校生たちは、自分たちの学校のリーダーとしての役割をよく心得ている。その気持ちだけでも、すばらしいと思う。
sochimichi
日本国内でも救援の環が広がっている。米国をはじめ世界中からも支援を受けている。この大災害が、人間への信頼の復活に繋がる機会になって欲しい。それが被害者への慰めにもなると思う。
Koji
Ryoheiさん、東北の復興と原発が今後どうなるのか、大前研一さんの大変冷静な分析をYoutubeに見つけました。少し長い講義ですが、一見の価値ありです。
Koji
URLはこちらです。http://www.youtube.com/watch?v=8GqwgVy9iN0&feature=feedlik
ryasuda
大前さん、って、本当にビジョンのある人ですね。日本にいたころ、都知事選に出馬したとき、彼に投票したのですが、残念ながらダメでしたが。。。
2011-03-07
■[Science] コミュニティを広げる。
2光子蛍光寿命顕微鏡を使ったスパインのイメージング、これだけうちのラボから論文を出しているし、この技術について、かなりの数の講義をあちらこちらでしているのに、なかなか使うラボが増えない。別にものすごく難しいというほどの技術でもない。競争相手がいないのは、非常に楽なことであり、時間をあまり気にせずにデータを全部きっちりとってから出せるので、いい論文になりやすい。そういう意味では、私のラボを立ち上げる大きな武器になったわけだが、最近、分野を大きくすることも考えたほうがよいもしれない、と思い始めた。そのほうが全体としては進みは速くなるし、自分たちがすべてをできるわけではないからだ。
ということで最近は、多少の努力をすることにしてみた。たとえば、顕微鏡を動かすためのソフトウェかアを頼まれたら提供する(といっても、コメントもほとんどはいっていないコードなので、役に立つかわからないが)。質問にも、できるだけ丁寧な答えを提供する。Woods holeの神経科学コースで顕微鏡を組み立てるところを見せる。Woodsholeには、夏の間、ず〜っと顕微鏡をおいてあるので、その間共同研究を積極的にする。などなど。最近、共同研究者の一人には、顕微鏡のセットアップを手伝ったが、これはさすがにもう2度とやりたくないくらい疲れた。
まあ、実際のところ、多大な時間を使うわけにはいかないし、当然自分の研究が優先だけれども、こういうこともきっと大事なんだと思う。
2011-02-24
■[Misc]いろいろあった一週間。
先週の後半はフロリダのマックスプランクで講演。その後いろいろあった一週間だなあ。まだ終わっていないけど。
まずは、1週間のうちに2報論文がアクセプト。両方とも総説論文だけど、これはさすがにめったにない。しかも、そのうちの一報は論文提出から2日でアクセプトという超速(Current Opinion in Neurobiology)。
今週仕上げた仕事も沢山。。。論文提出1つ(上のやつ)、論文審査2つ、グラント提出1つ、グラントのプログレスレポート2つ、学会用アブストラクト提出。さすがにこれだけいろいろある週はめずらしい。R01のRenewalを延期してよかった。あと、ついでにティラノの伴奏の本番。
そして、そんななかで、コミッティミーティングを1つさぼってしまった私。。。いかんなあ。
それにしても、今年はすでに論文が4報アクセプト(共著論文もあわせてだが)。。もう1つ共著論文が、おそらくすぐにアクセプトになりそうな雰囲気。ということで、なかなかよいペースな気がする。
[2/25 追記]上の共著論文は、やはりPNASにアクセプトされた模様。ということで、1週間のうちに3報がアクセプトという、まずめったになさそうな事態となった。
そして、すでにアクセプトされていたNatureのプルーフがやってきたので、今週の「いろいろあった感」がさらに増強した。
2011-02-14
■[Web]猫はどうやって回転するのか?
SJLとMPのお別れパーティーで話題になった、猫がどうやって落ちるときに下向きになれるのか、という話題。物理的に不可能?ぐーぐるさんに聞いたところ、猫の回転のゲージ理論という論文があることをW発見。論文中のこの漫画に大笑い。。。いや、ちょっと無理がありすぎ、というか。。。内容はよくわからんが。。。
2011-02-07
■[Duke]二人目のPhD!
優秀な人ほど早く去っていくものである。うちらのラボの、いってみればスター的存在だったかもしれないSJLが今日、無事にPhDとなった。大学院に入って3.5年目でのPhDはおそらく近年ではDukeでも最速であろう。
彼には、Creativity, Hard working, Enthusiasm, Intelligence, Luckとすべてがそろっていた、と思う。そうでなければ、こうはトントンと物事は進まない。それとともに、安田ラボの立ち上げには最も貢献した人の1人でもあろう。
大学生のときに、まだ始まったばかりだった、まだ小さいうちのラボに来て、やり始めたプロジェクトがすぐに動き始め、大学4年のときにはすでにNatureの論文となったほとんどのデータをとり、大学院に入ったら、あとはまとめるだけ。Prelim examの前にNatureのAriticleを出し、Prelimでは苦しんだものの、その後Review論文を一報1人でまとめて、無事にPhDとなった。博士論文もなかなかどうどうとしたものである。彼のような人間をたった3.5年で失うのはつらいが、ぜひとも次の目標に向けて全力でがんばってほしいと思う。
彼は、去年の暮れにPhDをとって、ちょっとだけラボでポスドクをしているPMとともに、まもなく二人新しい船出を迎える。もうラボが始まって5年。無事に巣立っていく大学院生たちがラボを出始めるのは本当にうれしいけれども、やっぱりちょっとさびしいな。
一読者
はじめまして。r-yasudaさんにお聞きします。論文を指導する時に、例えば自分の院生のイントロなどを見ているとき、私ならこう書くと思うと彼らのワードファイルをもらって直接打ち込んで直してしまいます。時には大部分をなおしてしまって、それはもはや院生の論文とは言えなくなってしまうときもあります。確かに私が直した方が経験の差もあり良くなっているとは思いますが、そのままの状態でもきっとそれが原因で却下されることはないでしょう。その程度のレベルではあります。そして、もし私がその院生なら、それは自分の論文では無いと思ってしまうでしょう(つまりやる気Down)。r-yasudaさんの様なトップサイエンスで活躍されている方でも同じような状況なのでしょうか??変な質問で申し訳ありません。
ryasuda
論文は、First draftのまえにあらすじを議論してからポスドクか院生が書きいて、その後私が手をいれます。自分ではあまり手を入れていないつもりでしたが、今見直してみたら、結構真っ赤になるまで手を入れていますね。他人の文章を、必要最小の直しで仕上げるのは難しい事ですから、全部書き直す感じになってしまうんでしょう。でも大枠は保存されているんではないかなあ。。。



Kkitamuraさん、結局そっちにしました。そうかおみくじせんべいがあったか。そうか、本厄か〜。気をつけなければ〜。