シリコンバレー・スピリッツ

シリコンバレー・スピリッツ―起業ゲームの勝利者たち

シリコンバレー・スピリッツ―起業ゲームの勝利者たち

 そこにカネがある。これは、シリコンバレーの成立から、ネットスケープが、ナビゲーターのシェアがマイクロソフトエクスプローラーに食われ、没落する頃までを描いている。
 どこという特徴のない、サンフランシスコ郊外の土地に、人が集まり企業を興し、ある者は成功し、ある者は消え去る。そんな興亡の様子が淡々と描かれる。ここでは強烈な個性を持ったものがのし上がる。わずか数十年のあいだにかれらは生きた伝説となった。インテルヒューレット・パッカードネットスケープ、サン。ただコンピュータのOSの話ではなく、もっと シリコンバレー自身の成り立ちと大立者の姿が余すところなく描かれる。かれらの思ったことのひとつひとつが今も世界の流れを決めていると言っても良いだろう。どう考えても日本人には真似できないシリコンバレー人種の生き方とマネーゲームが虚飾を剥ぎとられて見ることができる。非常にまっとうなノンフィクションである。ビジネス書ではない。