昨日の補足など

 ええと、大澤とこさんの掲示板のほうに氏の太平道まわりに対する考え方が載ってます。コアな三国志ファン必読。俺自身はそれにコメントできるほど太平道のバックボーンについて調べているわけではないから反論とか詳しいコメントとかしないけど。太平道関連としては、「清流派知識人」と太平道の連関を論じた川勝義雄*1の論考と、それに対する松崎つね子らの反論が参考になるかもしれないので、未読ならぜひ>大澤さん。
 俺が大澤さんに期待しているのは「史資料」という制約に縛られた史学者とは一線を画した自由な三国志世界像なので、ホントにがんばってほしい。個人的にはいつかオモロな三国志小説を書いてほしいんだけど、こればっかりは・・・『累卵の朱』面白かったんだけど*2
 で、こっちの話は終わり。うん。
 で、ああいう本が出たあとに俺が危惧することは、あの本を読んだ人間が「三国志」を自分の言葉で語らずに、たとえば大澤さんの言葉で語りだすことなんだよね。あの本をハナから鵜呑みにするのは勝手なんだけども、他人の三国志観でしか「三国志」を語れないと、三国志の魅力はかなり減る。*3吉川英治柴田錬三郎横山光輝北方謙三王欣太と、支持されている三国志モノ作品ってのは、やっぱり「俺三国志」の部分が強い。コアな三国志ファンからあれこれいわれている「龍狼伝」の山原義人だって、自分の内なる三国志ワールドを持っているからあれだけ連載続けてられるとおもうし(いや、最近読んでないからわからんけど)。江森備とか清水清とかもそうなのかな。
 つーわけで、こんなサイトを三国志初心者が見てるかどうかわからないけど一応いってみる。三国志の本やサイトは、自分の三国志観の形成の「助け」とすべきである、と。*4

*1:谷川道雄とのコンビで共同体理論の研究で有名な史学者。独特の切り口から読んで面白い論文を書く。故人。

*2:ISBN:4592850068 三国志のエッセンスが生かされてるファンタジーノベル。まだ手に入ります

*3:ただし、世の中には「俺三国志」を他の人に押し付けてしまい浮いちゃうやつがいるので注意だ。俺はリアルではそういう痛い人間なので、ネットではなるべく自分の三国志観を押し付けない文章の書き方に気をつけているつもりだ。三国志を語るもの、やはりこの辺のバランス感覚はちゃんと持っておきたい。

*4:最後まで書いて思った。やっぱり俺自分の三国志観を思いっきり押し付けてるじゃんか。ダメだわ俺ホントにえらそーなことをいっちゃって。