asahi.com(朝日新聞社):「取って」と「撮って」勘違い 素手で高圧電流架線触る - 社会

突っ込みどころ満載だなぁ。

高圧電流が流れる、はマスコミ言葉でよく聞くし、まぁ言いたいことは判らなくもないんだけど、電気屋さんからすると違和感のある言葉。
高圧電流架線もおかしくて、鉄道会社は高圧架線としか言わないはず。

 JR東海道線の車掌が7月、高圧電流が流れる架線に絡まったビニールを素手で取り除いていたことがわかった。

架線には高圧が掛かっているけれども、電車が来ないかぎり電流は流れていない。という物理を理解しれいれば、こういう不思議な日本語にはならないと思うんだ。「高圧が掛かる架線」でいい。

 指令は「写メ(写メール)で撮って送ってくれますか」と指示。車掌は「取り除け」と聞き間違え、車両から降りて、垂れ下がったビニールをつかんで取り除いた。架線には1500ボルトの電流が流れており、本来は電流を切った上で、専門の作業員が絶縁の手袋を使用して取り除く決まりになっているという。

1500ボルトの電流が流れて

キタコレ。重症です。小学校からやり直しレベルの間違いなんだけど、これもマスコミ方面では良く聞く。物理が判ってないのか日本語が判ってないのか心配されるレベルのまちがいで、オイラの現場にこんなこと言う奴が居たら間違いなく判ってないぞ!と要注意人物としてマークされる。これが記者だけでなく、校閲もパスして掲載される事実に驚く。
1500ボルトは電圧の単位なのですから、1500ボルトの電圧が掛かって、としてくれなければ困る。

次の文の、「電流を切った上で」もおかしい。電流は切れないだろ。「電源接続を切る」というべき。オイラの感覚だと、電流を切ると言われると、短絡事故電流の遮断のことを想像する。今回の記事の内容とはぜんぜん違うよね。


電圧は高い⇔低い、電流は大きい⇔小さいで表現します。
電圧は掛かるもので、電流は流れるものなのです。



高圧電流
http://homepage2.nifty.com/GANSO_hirokun/tawagoto0504.html
ここのまとめが良かったなぁ。

でも、JR東海の事故報告がいつもえらいと思うのは、

同社は、無線での指示を「撮影して」と改めるなど再発防止に取り組んでいる。

この部分をちゃんとアナウンスして、アナウンスするからには社内で実際に行っているだろう点。JR西日本からの同様の情報には、いつもこの点が欠落している気がする。誰が悪いとかじゃなくて、どうしたら再発させないで無理なく運用できるか。JR西の安全対策は、結局のところ面倒で守れない約束やしくみを大量に作って自らの首を絞めているように見える。JR東海のこういう地味な取り組みや、京急の無茶な運用を安全に実施している仕組みをもっと参考にするべきだと思う。マスコミもJR西を叩くだけじゃなくて、もっと勉強して、そいう地味だけど立派な取り組みをたくさん紹介して欲しい。日本人は謙虚だから、そいう前向きな取り組みをなかなか表立って自慢しないので、マスコミ力が問われるし、そういう記事は読者が喜ばなくて読まれない、というジレンマも解らなくはないのだけれども。JR西のニュースなんか特に、それで当面の予防策はどのようにしているのですか? の一言を聞いてきて記事にしてもらえるだけで、ぜんぜん違うと思うんだよなぁ。安全に関わる部分だったら正式の決定とは別に、とりあえずの現場対応が必ずあるはずなのだから。