100分de名著 般若心経

般若心経に何が書いてあるか、というよりも、もともとの「釈迦の仏教」(そこから上座部仏教に向かう流れ)と大乗仏教の違いがよく分かった。上座部仏教は自己救済、大乗仏教は周りの人(他人)の救済というのはなんとなく知っていた。でも、

釈迦の仏教では世の中を構成するものを分解すれば基本的な要素(十二処とか十八界)になり、それらは実在するという現代科学にも通じる考え方だったのに対して、般若心経をはじめとする大乗仏教ではそれらの要素さえも実在しないと考え、それが「色即是空」である。

という違いについては知らなかった。この考え方の違いは大きいように思うのだけど、自己救済から他人の救済に向かうときに、こんな風に世界の見方を変えるというのは面白く感じた。
筆者はもともと理系出身の人で、現代科学の考え方ともともとの釈迦の仏教の類似性、それらと大乗仏教の違いの説明がとてもクリアにしているように思う。この分野については、この人の本を何冊か読んでみたいと思う。

NHK「100分de名著」ブックス 般若心経

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