これは三連休かけて読み込まねば(中編)

昨日に引き続き堀氏の新刊を読んでいるわけだが、大きく引っかかるのは以下の二点。

  • 厚生年金の空洞化の否認

堀氏は収納率の高さをもって、厚生年金の空洞化を否定しているわけだが、これは??である。
上の線が雇用保険加入事業所数、下の線が厚生年金加入事業所数。縦軸が事業所数(単位:万)、横軸が年度(平成)。

年金逃れに関する、火曜日の毎日新聞掲載記事:
http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2005/02/08/20050208ddm008040071000c.html
試しにこの記事に出てくる、ハローワークで公開されている保険未加入の違法求人について検索してみた。自分の月給と年齢を入れて広島県内で検索したところ、社会保険を条件に入れないと3998件、条件に入れると3408件が検索された。15%近くが年金逃れをした上で、求人している可能性が高いということになる。

  • バランスシートの否定

年金の掛金を制度維持に必要なだけ上げられるとは限らないわけだし、賦課制度と言っても巨額の積立金を持っているわけで、バランスシートを書く意義はある。ここで堀氏が批判対象としているのは 信頼と安心の年金改革 だが、何もバランスシートは高山氏の専売特許というわけではない。 公的年金改革―仕組みと改革の方向性 でもバランスシートについては触れている。
もともと公的セクタは、バランスシートに対する認識が低かった。日本の国のバランスシートが初めて公開されたのは、わずか五年前のことである。
http://www.mof.go.jp/kaiken/jimu/jim032.htm
ここらへんは堀氏の認識不足ではないかなと思う。