中山康雄『科学哲学』

「ブックガイドシリーズ基本の30冊」というシリーズの中の一冊。
その名の通り、30冊の本についての紹介がなされている。
1つの本につき大体6ページくらいなので、それぞれにつきそれほど詳細に論じられているわけではないけれど、要約に終わらず、著者によって科学哲学にとってどういう意義のある本であるか、または著者の立場から見てどうか、というところまで触れられているのが面白い。
前半について言うと、科学哲学の本当に基本のあたりで、科学哲学の入門書であれば大抵載ってあるような話が多いので(とはいえ、第一章は科学哲学前史としてアリストテレスガリレイ、カント、マッハの4冊をチョイスしているのはそれなりに著者の個性が出ているように思う)、お勉強的なところもあるけれど、後半になるにつれて、著者による評価が結構出てくるのが面白い。
あと、各本ごとに参考・関連文献も提示されているのだが、大抵の場合、著者の本もそこに混ざっていて、著者の本が次第に読みたくなってくる不思議w


中山康雄によるこの本や『科学哲学入門』があって、八木沢敬による『分析哲学入門』があって、今、青山拓央がやはり分析哲学の入門書を書いているところらしい。形而上学関連の仕事やってる人が、分析哲学の入門書を書くようになってきたのかなあと思う。
分析哲学というと、やはり今でも論理実証主義とか言語哲学とかのイメージが強い人も多いと思うので、いいことなんじゃないかなあと。


個々の本についてのことまで一つ一つは書かないけど
ヘンペルの奴って、今までDN説明(演繹的説明)のことしか知らなかったのだけど、IS説明(帰納的説明)とかもあったのね
あと、チャーチランドの消去主義というのは、彼の実在論と密接に結びついていて、消去主義に論駁するのであればその実在論的立場から論駁する必要があると論じられていたのも、今まで知らなかった。

科学哲学 (ブックガイドシリーズ基本の30冊)

科学哲学 (ブックガイドシリーズ基本の30冊)