FlashでのiPhoneアプリ開発が、ソーシャルアプリに与える影響について
mixi meetup 2010で盛り上がった9/10、アメリカ西海岸でとんでもないニュースが発表されていましたね。
- アップルが iOS 開発者規約を変更、開発ツール制限を緩和。審査ガイドラインも公開
- iPhoneアプリ審査での111の禁止項目(意訳)
- Appleが発表したApp Storeの審査ガイドラインについて知っておくべき点
Adobeさんにお怒りだったはずジョブズ閣下が、「Objectev-C以外でも開発してもいいよん、別にー」と言ったものだからさぁ大変。AdobeはPackager for iPhoneの開発を再開し、Adobeの株価は12.1%も上がったり大騒ぎでした。
ま、正直「Objecteve-C今から導入するのも手間だし、HTML5で行こうぜ!俺の時代だぜ!」と会社に大見得切っていた僕としてはかなり涙目な状況なのですが、ここは冷静に「FlashでiPhoneアプリが作れるようになると、ソーシャルアプリにはどういう影響を与えるか」を考察してみます。
まず、今の現状のiPhoneでのソーシャルアプリのまとめ。
今は選択肢が少ないため、公開されたばかりのmixiアプリ スマートフォン版(仕様書の段階では「mixiアプリ for Touch」だったのに、、ブログの名前どうしてくれんだよ。。ちょい変更しました)と、iPhoneのネイティブアプリでfacebook connect使用しているもの(iPhone版のFarmVille by Zyngaなど)を比較してみます。
Webアプリ | ネイティブアプリ | |
---|---|---|
公開場所 | mixi touch | Apple App Store |
ソーシャル性 | mixi上 | facebook connectを利用 |
アプリへの誘導 | mixi新着アプリ おすすめアプリ |
App Storeランキング おすすめ |
開発言語 | html/css/Javascript | html/css/Javascript Objective-c |
開発工数 | 少 | 大 |
実行速度 | 中 | 速 |
とにかく今までは比較するにも「Flashは使えない」くらいしか共通項はありません。
またAppleのApp Storeは「売れるアプリだけ売れればいい」というステキ仕様のために、まず普通のアプリは露出されることがありません。つまり新規の流入が極端に少ない。SEOなどのも無いため、モバイルの勝手サイトよりもお寒いツライ現状。
正直mixi/gree/モバゲーでソーシャルアプリ作っているSAPには、選択肢としてmixiアプリ スマートフォン版しかない"はず"でした。
ここから本題。
9/10に発表された3つの事柄により、実は大きく今後が変わってきます。
- 前述のPackager for iPhoneによる、Flashからネイティブアプリ制作が可能になった
- mixi meetup 2010で発表されたmixi Graph APIにより、mixiのソーシャルグラフを外部サービスから取得可能になった
- さらっと発表されましたが
今後は、Webブラウザベースのゲームだけでなく、スマートフォン用アプリにも対応させていく計画だ。
ということで、今年中に"mixiアプリ"がiPhoneのネイティブアプリとしてリリースできるようなる
「mixiアプリ」がスマートフォンにも 「世界初、3デバイス対応」
この3項目を視野に入れると、先程の表は大きく変わってきます。
ってことでまとめなおし。
mixiアプリ (Web) |
ネイティブアプリ (mixi Graph API) |
mixiアプリ (ネイティブアプリ) |
|
---|---|---|---|
公開場所 | mixi touch | App Store | mixi touch App Store |
ソーシャル性 | mixi上 | mixi Graph APIを利用 | mixi上 |
アプリへの誘導 | mixi新着アプリ おすすめアプリ |
App Storeランキング おすすめ |
mixi新着アプリ おすすめアプリ App Storeランキング |
開発言語 | html/css/Javascript | html/css/Javascript Objective-c Flash 他 |
html/css/Javascript Objective-c Flash 他 |
開発工数 | 少 | ? | ? |
実行速度 | 中 | 速 | 速 |
この表題だけ見ると、mixiアプリ(ネイティブアプリ)サイコーじゃーん!となりますね。むしろmixiアプリ(Web)はFlashが使えない分不利に思えるくらい。うん、サイコーです。工数/予算気にしなければ。
とはいえ、技術的な面で障害と考えていたものに関して朗報であることには変わりません。
すでにFlashで組んでいるPCアプリが存在しその移植をしたいという会社さんには非常に魅力的な話ですね。
ただ、まだPackager for iPhoneを利用していないので憶測ですが、PCのFlashをそのまま移植してネイティブアプリ簡単に作れるーとは思わない方が良いでしょう。もちろん細かな制約はあるとしてそれ以上に考えられるのがiPhoneのスペックに対する負荷対策。当然PCでもファンをうぃんうぃん唸らせながら動いているFlashアプリたちが、そのままiPhoneで動くはずがありません。
よい例としてZyngaのFarmVilleは本家facebook版とiPhone版では機能やアニメーションが大きく削減されています。見た目以上におそらくかなり細かい部分で容量削減/動作改善をしていることでしょう。
ですから「Packager for iPhoneを利用すれば、一から作るよりは速いよね」くらいな気持ちでいましょう。このあたりはFlashエンジニアの腕にかかってます。
また、モバイルで利用したFlash liteなどは、正直Packager for iPhoneを使って変換するよりも、一からつくり直してHTML5を使ったほうが実行速度/開発工数共に速いと思います。表現力や技術がかなり限られているものですから、本来Flashで表現するほどでは無いものばかりですからね。
つまり今回のまとめでいうと(かなり偏った私見)
- PC版アプリの移植:Packager for iPhoneを利用してネイティブアプリへの移植もアリ
- モバイル版アプリの移植:HTML5でWebベース開発。ネイティブアプリへ変換してもいいけど、特に意味無いかも?
- 新規アプリ:表現力に合わせて選択。余裕があればPackager for iPhoneで作ったほうが技術制限受けず表現力豊か
まだまだ未知の領域の事柄も多いため、今後も目が離せません。