瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

伊藤左千夫『野菊の墓』(3)

・角川文庫1227(1)
【五版】昭和四十一年三月二十日初版發行・昭和四十一年十二月三十日五版發行・定價百圓・199頁
【改版二十九版】昭和四十一年三月二十日初版発行・昭和四十二年十月二十日八版発行・昭和五十七年十月三十日改版二十九版発行・定価300円・240頁
【改版三十二版】昭和四十一年三月二十日初版発行・昭和四十二年十月二十日八版発行・昭和六十年十月三十日改版三十二版発行・定価260円・240頁*1
【改版三十四版】昭和四十一年三月二十日初版発行・昭和四十二年十月二十日八版発行・昭和六十一年十月十日改版三十四版発行・定価300円・240頁
【改版三十六版】昭和四十一年三月二十日初版発行・昭和四十二年十月二十日八版発行・昭和六十三年五月三十日改版三十六版発行・定価301円・246頁
【改版三十七版】昭和四十一年三月二十日初版発行・昭和四十二年十月二十日八版発行・平成元年四月三十日改版三十七版発行・定価301円・246頁*2
 今のところ、199頁・240頁・246頁の3つの版を確認している。
 まず、表紙から確認して置く。
・199頁
 カバーはない。本体の表紙、上部に「角 川 文 庫―1227―野菊の墓・隣の嫁伊藤左千夫」下部に「角 川 書 店」。
 背表紙、上部に「野菊の墓・隣の嫁 伊藤左千夫」下部に分類票貼付のため右が上に横転した数字の下1桁「7」が見えるのみ。
 裏表紙は紫陽花。
・240頁
 本体は扉・奥付とも「野菊の墓・隣の嫁」と題しているのに、カバーは全て(表紙・背表紙・表紙折返し)「野菊の墓」となっている。
 改版三十四版はカバー折返しが切除されているが、残存している部分は改版二十九版に一致する。
 カバー表紙、緑がかった鶯色の背景に、若い女性の左向きの横顔(左半面)が色鉛筆で素描される。文字は横組み明朝体で、上部に大きく「野菊の墓 伊藤左千夫」右下に小さく「角川文庫」とある*3

 カバー背表紙は上部に大きく「野菊の墓」、中央やや下に著者名が明朝体で入り、下部にゴシック体で「角川文庫 緑 二一 1 300」とある。
 カバー裏表紙、白地で上部に「ISBN4-04-102101-4 C0193 \300E 定価300円」とある。
 カバー表紙折返しは上部に「野菊の墓」と題して、明朝体10行(1行17字)の紹介文、2段落(6行+4行)で段落の頭は1字下げ。下部は「月刊カドカワ」の広告。最下部右寄りに「カバー 松田 譲」。
 カバー裏表紙折返しは左下に小さく「カバー 暁美術印刷」、右下にKBマーク。
・246頁
 私の見たのは改版三十六版で、カバー折返しが切除されている。 カバー表紙はAmazon詳細ページの書影に同じ絵柄だが、標題が異なる。すなわち改版三十六版は左上に斜体の明朝体縦組みで背景に紛れるような橙色で「野菊の墓」とあり、下は耳にかかるくらい。Amazon詳細ページの書影では紺色の短冊形に同じ字体の白抜きで「野菊の墓・隣の嫁」とあり、改版三十六版では見えている女性の耳が隠れている。
 カバー背表紙は白地で、上部に「い|2-1」すぐ下の標題は秀英初号明朝で「野菊の墓・隣の嫁」中央やや下にやはり秀英初号明朝で「伊藤左千夫」すぐ下にゴシック体で小さく「21-1」下部にゴシック体で「角川文庫●310」●に白抜き「P」。
 カバー裏表紙は白地で上部に「ISBN4-04-102101-4 C0193 P310E 定価310円」定価の下に小さく「(本体301円)」とある。
 なか見!検索は画像の一部を消去してあって、完全な形で閲覧出来るのはカバー表紙とカバー裏表紙(定価:本体300円(税別))のみ、奥付の発行日も部分的に消去されている(平成十六年、改版四十■版)ので参考には出来なかった。ただ、気になった点のいくつかをここで指摘して置く。
 まず、カバー裏表紙中央にゴシック体縦組み14行(1行14字)の紹介文があるが、このうち7〜14行めは改版二十九版のカバー表紙折返しにあった紹介文を書き換えたものである。7行めの途中まで、政夫と民子の年齢と出会った事情、舞台となった土地の紹介は、改版二十九版にはない。改版二十九版の冒頭、1〜2行め「 世間体ばかり気に病む親達のためへ/だてられたいとこ同士の恋は、‥‥」は7〜9行め「‥‥清純な恋は、世間体を/気にする大人たちによって隔て/られ、‥‥」と改められている。以下、改版二十九版2〜5行め「‥‥、余儀な/い結婚ののちに病をえた民子の死によ/って悲恋に終る。思い出のため墓辺に/植えられた野菊の花…。‥‥」は9〜12行め「‥‥、心ならずも嫁に行った民/子の病死で悲恋に終わる。野菊/の好きだった民子のため、墓辺/一面に植えられた野菊の花……。/」、改版二十九版5〜6行め「‥‥一世の歌人左/千夫が憧憬の思いをこめた純愛物語。」が「/歌人左千夫が憧憬の思いをこめ/て描く純愛物語*4。他四編。」で、ここで終わっている。改版二十九版はここまでは1段落めで、段落を改めて7〜10行め「 他に例年の水害に苦しみながら、実/生活に文学に力を傾けた作者の面影を/伝える「水害雑録」、および「奈々子」/「隣の嫁」「春の潮」を収む。」と他の作品にも触れていた。
 それからカバー表紙折返しの下部に「カハー ヘーター佐藤」とあるのは、イラストレーターのペーター佐藤(1945.11.5〜1994.6.23)。(以下続稿)

*1:2016年10月4日追加。

*2:2022年8月13日追加。

*3:2019年3月31日追記】書影を補った。

*4:ルビ「どうけい」。