瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

Alfred Schnittke “Adagio”(1)

 私は、子供の頃から口笛が得意なのだが、流石に人前では滅多に吹かない。ごくたまに隠し藝大会みたいな場で披露すると「いつ息継ぎしてるんですか?」と不思議がられるのだが、吹くときにも吸うときにも同じように音が出せるのである。また、そうでないと曲なんぞ吹けはしない。
 小学4年生のときに中学に入学した兄が吹奏楽部に入って、ラジカセ(当時CDはなかった)でクラシック音楽を聴き始めた。当時、兄弟で子供部屋1つで、2段ベッドの上に兄が、下に私が寝ていたのだが、私も同じ部屋で強制的に聴かされるのである。そしてそのうち、ラヴェル編曲の「展覧会の絵」や、ホルスト「惑星」のうち「木星」を口笛で吹けるようになったのである。もちろんオーケストラを口笛で吹くのだから、まぁ自己満足の範囲なのだけれども。転居を機会に部屋が別になって、以後、兄の影響を受けることはなくなった。ラジオを聴く習慣もなく、そもそもラジカセも久しく持っていなかったのだが、大学を卒業するときに北海道に就職する友人から古いCDラジカセをもらって、それ以後、いろいろと聴くようになった*1。――口笛に合わせて、なのかどうか、短い独奏曲を好むようになって来たのである。30分も掛かる曲を延々吹いているのは、結構疲れるのである。
 そもそも、口笛でなぞるために聴いているようなものだから、短い曲を何百回と繰り返し聞いて、ピアノ曲でも超絶技巧のような部分は再現出来ないから、そこは音を省いて何とか形にする。或いは演奏者を変えて同じ曲を聴いて、研究(?)に余念がないのである。
 それで先月来、次の曲を繰り返し聞いている。



 Wikipediaの「シュニトケ」項その他を見ても、この曲についてはどうもよく分からない。しかし、ロシアでは初学者向けの曲としてよく演奏されているようだ。








 ピアノ伴奏がないと物足りない。ピアノが伴奏楽器として優れていることがよく分かる。

 動画サイトにはプロの演奏が違法(?)で上がっていることが多いのだが、この曲に関しては素人の演奏ばかりで、ここには貼らなかったがプロの演奏らしきものもあるのだが、素性(演奏者)がよく分からないのである。
 なお、この曲を「死せる魂」より、とする記述がWikipedia英語版にあるが、烏鵲(1975.3生)のサイト「烏鵲の娯楽室」の「現代音楽趣味室/アリフレート・シュニトケ」の「映画音楽」を参照する*2に、1983年作曲の映画音楽“死せる魂(Dead Souls)”のうち、指揮者のGennady Rozhdestvensky(1931.5.4生)が1994年に9曲からなる組曲に編曲したうちの、VII“マニーロフの家にて(At the Manilovs)”に、この曲の一部が使用されていることが確認出来た*3。編曲者本人が指揮している動画も存するが、ここでは学生の演奏を貼って置く。

 主としてピアノがこの旋律を奏でている(18:16〜20:06、21:00〜05、12〜14、18、25〜26、31)。とにかく1983年以前に作曲されていたことになる。或いは1984年11月19日〜24日放映(全5回)のテレビ映画の中では、編曲版のようにふざけた形ではなく、美しく演奏されているのであろうか。このテレビ映画も全編、某動画サイトに上がっているのだが、曲を聴くことが目的にもせよ、分からぬロシア語のドラマを385分も視聴する余裕がないので、まだ確認出来ていない*4
 さて、この曲に嵌った理由だが、次の演技を見たことによる。本当はこれではなくて、1月末にあった大会での上手く行かなかった演技を見て以来なのだけれども、ネット上に上がっているのは恐らく違法動画ばかりなので、ここは昨年末の国内大会での演技を、番組制作局のロシアの公共スポーツチャンネル「マッチTV」が上げているのを代わりに貼って置く*5
 どうしてこれを見ることになったのか、その事情はややこしくなるので割愛する。――とにかく、東京の桜が満開になる頃、大輪の花を咲かせることを願っているのである。(以下続稿)

*1:2012年10月4日付「四代目桂文團治の録音(1)」に書いたように、ラジカセは大学入学の頃に父からもらって、落語のカセットをよく聴いていたが、音楽を聴くようになったのはCDラジカセをもらって以来で、都内の図書館がCDを貸してくれるのを大いに利用したのであった。

*2:7月12日追記】「烏鵲の娯楽室」のドメインが変更されたので、リンクを貼り直した。

*3:烏鵲氏のサイトを見ても、この「アダージョ」については分からない。

*4:4月13日追記】ロシア語が分からぬ上にまだ『死せる魂』の翻訳も読んでいないが、4月12日付(2)に、一通り視聴(と云うよりほぼ「聴取」)して、TV映画内での使用箇所について確認して置いた。

*5:5月26日追記】ここに動画()を貼付していたが「この動画は再生できません」もしくは「この動画に関連付けられていた YouTube アカウントが停止されたため、この動画は再生できません。」と表示されるようになっているので削除した。他に上がっている同じ演技を貼付したとして、番組制作局からのクレームは恐らく来ないとは思うが、しばらく控えて置く。