瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

今野圓輔『怪談』(10)

 6月7日付(08)の続きで、3章め「Ⅲ 妖 怪 変 化 百 態」の細目、今日は3節めを、現代教養文庫版を基準に、中公文庫版と対照させつつ見て置こう。要領はやはり5月23日付(06)に同じである。
「三、家や路傍の妖怪」97頁11行め〜110頁9行め
   →「Ⅲ―3 家や路傍の妖怪」101〜113頁5行め
  「路上の怪」97頁12行め〜101頁5行め → 101頁2行め〜104頁14行め
   《図版》88頁右下「アズキ洗い」
        → 102頁右上「アズキアライ」
  「すさまじき雪女郎」101頁6行め〜104頁4行め → 104頁15行め〜108頁5行め
  「狐と狸の腕自慢」104頁5行め〜110頁9行め → 108頁6行め〜113頁5行め
   《図版》105頁(キャプションなし)
        → 109頁左上「『名所江戸百景 王子装束ゑの木大/晦日の狐火』 歌川広重
   《写真》108頁上「天真ランマン,お酒に浮かれて踊り出すタヌキ(宇治)」
   《写真》109頁上「コン太夫,どうして酒の味を覚えたんだい(桐生)」
 これらキャプションの下に見開きの左右に跨ってゴシック体で「〃ボクらは人間のように化かしたりはしません〃」とある。
        → 222頁上【写真4・ボクらは人間のように化かしたりはしません
 中公文庫版ではこのキャプションに続いて、小池氏が以下のように解説している。

 本書「Ⅲ―3 家や路傍の妖怪」の「狐と狸の腕自慢」の項に掲載。/原著者の撮影によるものか出典資料があるのか確認できなかった。左/写真のキャプション―「コン太夫、どうして酒の味を覚えたんだい(桐/生)」。右写真のキャプション―「天真ランマン、お酒に浮かれて踊り出/すタヌキ(宇治)」。


 しかし、今野氏がこのような取材をして回ったとは思えないから、前回見た「赤倉山の仙人」と同じく、勤務している毎日新聞社の記事・写真から拾ったのではないか。
 中公文庫版の本文中に挿入されている図版は、2つとも差し替えられている。「路上の怪」に掲出されているものは同じ『絵本百物語(絵本怪談揃/桃山人夜話)』の「小豆あらひ」で、上部の余白に中公文庫版は題に続いて説明文があるが、現代教養文庫版には題のみで説明文がなく余白になっている。「狐と狸の腕自慢」の方は現代教養文庫版は部分拡大で原図の左と下が切れている。小池氏の指摘するように確かに現代教養文庫版は不鮮明だが明るく、差し替えた中公文庫版は小さく暗いために読み取れる情報量は大差ない。(以下続稿)