パンフより紹介(4)武藤将吾さん。。



武藤将吾さん。。「シュアリー・サムデイ」の脚本家。。

あの頃僕は20代だった。若者による若者のための映画。たとえ上の世代から蒼いと言われようが、実際の高校生や自分と同世代に響けばいい。そんなコンセプトで第一稿を書いた。

今読むと。。恥ずかしい部分。物足りない構成。多すぎる台詞などが気になる。

でも小栗君は「無駄と思えるところを削ぎ落としたくない。暑苦しかったり。。クサかったりする部分を表現したくて、この映画を大事にしてきた。」と言った。
野暮ったさの中に伝えたいことがある。」と。

6年前。深夜ドラマで小栗君と顔を合わせた。彼は僕の台本を気に入ってくれた。

(武藤さんはフジテレビのヤングシナリオ大賞佳作受賞を受賞してフジテレビ専属の脚本家となる。まだ無名で初めての連ドラの脚本のお仕事が「ハングリー・キッド」という深夜ドラマ。その時。旬君を起用したのは竹内D。その話は下に。。)

しばらくして後、相談があると、渋谷で待ち合わせをし、居酒屋2軒をハシゴした。。

「映画を撮りたい。脚本を書いて欲しい。」。1軒目。。彼が提示した案をことごとく突っぱねた。性転換装置は僕が苦手とするSF的な要素だったし。。ヤクザ。引きこもり。ストリートミュージシャンといった職業でキャラクターを語ることは脚本家にとってはタブーであった。

すると。。小栗君は「今のは全て忘れて下さい。」と。「僕は武藤将吾の本気が見たい。それを映画にしたいんです。」

2軒目では、逆にそのタブー全てに挑戦してみようと思ってる自分がいた

小栗君の回想が1エピソード分の量もあった。これも脚本上はタブー。。何故なら回想が長すぎると本来の物語の疾走感を失う可能性があるから。。

でも。。そんなことは誰が決めたんだ?回想シーンが走っていたら疾走感は途切れないんじゃないか

僕が書きたかったのは青春クライムムービーだった。けれども日本の若者には切羽詰まったものがない。悩んだ末に出た答えが「平和ボケ」を逆手にとること。つまり「罪」を「罪」と感じないことが、最終的にはめぐりめぐって自分のところに来る。
後から自分のしたことはとんでもないことだったと知る。

ノリで学校を爆破した。誰も死ななかったし。。自分達が泥を被ればいい。。彼らはたぶんそう思ってたはず。。

でも結果的には。。それだけじゃ済まない。本当はそのことによって知らない誰かを傷つけもしている。そのことが。。罪の重さが3年後にわかる。それがこの作品のひとつのテーマになると思った。

だからタイトルには「いつか、きっと・・・」その罪がわかる、という意味を込めてるつもり。希望だけじゃない。若者だけが体験する若さも入れたかった。

わからないのが青春。でも気付くことが出来れば、ちゃんと前に進むきっかけになる。

ただ。。20代の僕はそれをハッキリも言いたくなかった。
肌で感じればいい。そんなに蒼くて、強くて、情熱のあるホンは、やはりあの頃にしか書けなかったと思う。。



@@@@@@@竹内Dの話し@@@@@@@@

Q:小栗さんとの出会いが強烈な印象だったとか?

武内D:「FIRE BOYS 〜め組の大吾〜」で結構難しい役をやってもらったんですよ。だから先に会って、役の細かい心情を説明したいとビデオスタジオで会ったんですが、理解力がすごくあって、途中、“みなまで言わなくていいです。”みたいな空気を出してて(笑)。すごいわかってる顔してた。やっぱり現場でも見事に演じてくれましてね。そこで役者として僕は彼に惚れちゃったわけです。

Q:その後『ハングリーキッド』の話が来たんですね。

武内D:10年振りくらいに深夜ドラマ枠の話がきて、ちょうど自分でも連ドラに飽きてた頃でこれはいいと。でも制約がない分、予算も時間もないから、1シーン1カットの勢いで撮ってみようって。 でもそうなると芝居のうまい役者を持ってこないとってことで、小栗君にお願いしたんです。

ただね、彼は二枚目だから。そこは演出する立場では、ある意味面白くない(笑)。

小栗君はうまいけど、速雄のキャラは全然違ったからね。だからリハーサルには時間をかけました。

Q:あの速雄のキャラはすぐハマったんですか?

武内D:いや、最初はすごく苦労したんです。もっともっとはじけて!って感じでしたね。ただ、ある瞬間から、何かを掴んだんですよ。そこからは彼も楽しんで、自分からポンポンアイデアを出してくれた。
そういう作業は本当に楽しいです。やる方はすごく大変だと思うけど(笑)。

でもあの速雄のかわいさは、たぶん小栗君の中で初めて演出できたかなって今も思ってます。撮影の途中から女性スタッフが、速雄がかわいいって母性本能に火をつけちゃったんだけど(笑)、男の俺が見てもわかるものはありますね。

キネマ旬報社出版 「小栗旬 First Stage」(2006年10月発刊より)。。

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この後。。武内Dと旬君はドラマ「電車男」でも一緒です。

もの凄く忙しい2005年の旬君ですが。。武藤さんの脚本で。。武内Dのドラマだから受けたのでしょうね。。。。