『吉田茂 尊皇の政治家』

原彬久 著
岩波新書
ISBN4-00-430971-9
吉田茂の伝記。
あっさりとした普通の伝記、といえば普通の伝記だが、個人的には、さらりとし過ぎていて、突っ込みが足りないようには思った。
あっさりとし過ぎで、毒にも薬にもならないという感じ。著者なりの吉田茂像をもっと強く打ち出すとか、なんらかのテーマを設定するとか、あるいは面白いエピソードを詰め込むとか、一冊の本を世に問う意義というか、もっと単純にいって、コクのようなものがあっても良かったのではないだろうか。
(サブタイトルから見て、一応、尊皇、というのが、著者による吉田茂像の一面ではあるのだろうが、余り有機的な統一感はない)
新書レベルの伝記で良いのならば、一通りの伝記ではあるので、読んでみても、というところなのかもしれないが、特別面白いものでもないと思う。
以下、メモ。
吉田茂は、大久保利通の次男牧野伸顕の長女雪子と結婚して、その閨閥に連なった。
・外務次官時代、ロンドン条約締結を押し進めて、右翼や軍部強硬派から睨まれた。