「ニッポンは素晴らしい」

 また、サルトルか、と思う方もいるだろう。が、また、サルトルである。あしからず。とはいえ、サルトルのこの辺のものを掘り起こすのもおそらくここぐらいだろうとも思う(それはそれである意味絶望的なことでもあるのだが)ので、まあいいだろう。
 今回のサルトルは、1957年のサルトルである。1957年5月*1サルトル主宰の『現代』誌135号に掲載され、その後、論文集『シチュアシオン V』に再録された「みなさんは素晴らしい」という文章である(«Vous êtes formidables», dans Situations, V [«Colonialisme et néocolonialisme»], Gallimard, 1964. /二宮敬訳「みなさんは素晴らしい」『シチュアシオン V』(サルトル全集第31巻)所収、人文書院、1965年*2)。
60年前に書かれたこの文章、正直、「え?これ、今のニッポンのことを書いたんじゃ?!」としか思えない文章である。……いやあんた、サルトルについて書くときそんなことばっかり言ってるね?と思う人もおられることだろう。ええ、まあそうなんじゃが、だってそうなんだから仕方ない! というわけで、もう解説は要らない。たんたんとサルトルの文章を紹介するだけで十分と思われる。

*1:邦訳では3月になっているが、誤り。

*2:『シチュアシオン V』の諸論文の一部は、『植民地の問題』人文書院、2000年に再録されているが、残念ながらこの素晴らしい「みなさんは素晴らしい」は、再録されていない。

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