【雑草界のルーキー】ナガミヒナゲシ 

以下の写真は、皇居ランの際に撮った写真です。
あなたは、この花を見たことがありませんか?


 
花屋で売ってそうなポップで柔らかなオレンジ色の可愛らしい花。
よく群生して生えていますが、誰かがここに植えたのかな?と
勘違いするくらい野良っぽくない垢抜けた花です。
誰かが植えたにしては、いたるところに生えているため、
私は「この花はなんだ?」とずっと首をかしげていました。
 
実はこの花、誰かが植えたものではなく、立派な雑草です。
名はナガミヒナゲシ
長い実をつけ、ヒナゲシによく似た花を咲かせる草です。
英名Long-headed poppyが直訳され、この名になりました。
ヨーロッパ原産の外来種。ポピーの仲間です。
 
ウィキペディアによると、日本では1961年に東京都世田谷区で初めて確認され、
以降、関東から福岡などにかけて温暖な都市周辺を中心に繁殖中とのことです。
 
私の記憶が確かならば、
数年前には、全く存在に気づかないほど個体数は少なかったように思います。
 
しかし今年。私からすれば気持ち悪いくらいに異常にナガミヒナゲシに出会います。
なんだかこの花達に包囲されているんじゃないかというくらいに、
各地で咲き乱れている印象ですね。
皇居周辺ばかりではなく、
仕事で移動した先でもたくさんのナガミヒナゲシに出会いました。
私の家のコンクリートの隙間部分からも、ナガミヒナゲシが咲いています。
 
コンクリートによってアルカリ化した路傍や植え込みなどにも大繁殖するようです。
まさに都市向けの雑草と言えます。
 
そして、ナガミヒナゲシの大きな特徴は、その猛烈な繁殖力。
花が咲き終わった後、細長い種子の集合体ができるのですが、
これを切り開いて手のひらに中身の種子をこぼすと、ひとやまできるくらいに、
芥子のような種子がびっしりびっしり詰まっています。
(2枚目の写真の奥に、花が咲き終わって種子をつけた個体が写っています)
また、一つ一つの種子の発芽率もとても良いらしいです。

以下、農環研ニュースからの引用です。
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種子は他のケシの仲間と同じように、たいへん小さく、
一粒の大きさは、0.6×0.7mm で、重さは0.13mg 程度です。
一つの実に平均1600粒の種子が内蔵されおり、
一個体から100 個の実をつけることもあるので、
最大で一個体から15万粒の種子が生産されます。
種子の表面にはくぼみがあり、でこぼこしており、
車のタイヤなどにくっつきやすくなっています。
梅雨時に種子ができるので、道路の中央分離帯にできた種子が、
雨で濡れた車のタイヤにくっついて運ばれ、
道路沿いに分布を広げていると思われます。
交差点の信号の付近に特にナガミヒナゲシの群落が見られるのは、
タイヤに着いた種子が信号待ちで落ちるためと思われます。
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(引用ここまで)
自動車のタイヤが、この植物を広めていたのですね。
とっても面白い!
この情報を提供してくださった、コメント欄の「けしつぶ」さんに大感謝です。
 
また、上記農環研ニュースによると、
ナガミヒナゲシの根から出る物質が、
周辺の他の植物の生育を強く阻害する作用を持っているとのこと。
 
私の予感では、毎年4月から5月の時期は、
街はナガミヒナゲシの花にどんどん埋め尽くされていくと思います。
おそらく、雑草界の女王タンポポを超える存在になる可能性すら秘めています。
 
これからどんどん見る機会が増える雑草ですから、
名前くらいは覚えておきましょう。
「この花な〜に?」って子どもに聞かれるくらい目立った存在になるはずです。

 
 
 【以下は、この雑草をネットで調べる人用の検索ヒット用ワードです】
・オレンジ色の花、紅色の花
・4枚の花びら
・群生
・春菊のような葉
・春(4月、5月)