秋祭り

 近隣の神社で祭り.朝からどんでんどん,どんでんどんと太鼓の音がきこえてきた.屋根に赤い布団を5枚ほど重ねた形の「ふとんだんじり」と呼ばれるだんじりがねりあるき,近所の松帆神社へと向かっていった.家族のなかにこれに興味を惹かれる者がおり,どうしてもついて行きたいと指さしてうったえるのでいっしょについて行った.交通規制などしていない車道をだんじりがゆるゆると進む.そのことが当然のようである.狭い裏道をゆっくりとだんじりが進むときには,だんじりの後ろにちょっとした交通渋滞ができるが,車の人のほとんどは気にしている風ではない.のどかだ.「よかったらちょっと寄ってったってくれや」と頼まれただんじりが老人ホームの庭に寄り道して,だんじりを前後にはげしくゆさぶるパフォーマンスを演じ,入居しているお年寄りたちがつどってそれを楽しそうにながめたりしている光景はとてもあたたかいものであった.だんじりの引き手や担ぎ手の掛け声は「ちょうさじゃちょうさじゃ」と言っているようだ.どういう意味なんだろう.


 松帆神社には懐古堂という小屋があった.中には絵図やら古写真が展示されてあった.絵図をみると,神社のまわりや裏山は,かつてはマツの疎林であったことが伺える.いまは竹林と照葉樹林になっている.
 神社には狛犬ではなく,狛亀があった.ガメラにしか見えない.いや,ガメラにも見えないな.


 神社の参道には12軒ばかりの出店があった.うち,ピンス焼き屋が2軒あり香ばしい香りをまきちらしている.観察していると「焼き方はどないしよ?」との店主からの問いに「ほんなら生焼けで」とか「せっかくやから半熟で」とか言うお客さんばかりで,淡路の人々が生焼けピンス焼きを好んでいることを実感した.ほかに,りんご飴,スーパーボールすくい,さめ釣り(くじ引き),からあげ屋,アイスクリーム屋など.

須磨

 一日中お祭りについて行ってたのではなく,昼間はちょっと須磨まで出かけた.駅前にあるおいしいホットドッグ屋(陽気なデンマーク人のおっちゃんが店主)でひるごはんをたべ,須磨浦公園のロープウェイで山上へ.ここはサシバの渡りのコースなので,タカ柱を目当てにやってきた.天気はばつぐんだったけど,朝のうちにお祭りを見に行って出遅れたのが失敗だったか,サシバはみられなかった.
 が,山頂からの景色はばつぐんで,明石海峡がよくみえた.以前,「神戸の市街地とそれに隣接する六甲山」という主題の写真を撮る必要があって,神戸空港とか六甲アイランドとかいろんなところにロケハンに行って何枚かの写真を得たのだが,須磨鉢伏山の山上は盲点であった.ここから北東をながめると,六甲山から神戸の市街地から海岸線までが一望のもとに見渡せた.午後には順光でよく見えるし.
 須磨マップというパンフレットをもらって,中を見ると,老舗のカメラ屋さんが紹介されていた.このカメラ屋さんは,地元の古写真も売っているそうだ.こんど行ってみようと思う.
 そうか!古写真(または昔から写真を撮っている人)を探すには,ふるくからやってるカメラ屋さんにヒアリングに行くという手があるのだな,とおそまきながら気付いた.