外陰がんの種類、症状、診断

外陰がんには、がん細胞の性質によっていくつかの種類があります。扁平上皮がんがもっとも多く、5割以上を占めています。症状としてよくみられるのは外陰部のしこりで、ビー玉や大豆のような感触です。大きさはさまざまで、不正出血を伴う場合や、黒っぽく見えることもあります。

次に多いのは、皮膚の表層にできるパジェット病という皮膚がんの一種です(2割程度)。パジェット病は外陰がんのなかではもっとも進行が遅く浸潤しにくいので、手術で治りやすいがんです。主症状はかゆみを伴う赤い発疹ですが、産婦人科や皮膚科でも慢性湿疹に間違われやすく、ステロイド軟こうで一時的に好転するため、数カ月から数年、診断や治療が遅れることがあるそうです。

外陰は、悪性度が高いホクロのがんといわれるメラノーマ(悪性黒色腫)の好発部位でもあり、5〜10パーセントはこのタイプです。このほか、バルトリン腺がん、その他もみられます。

「外陰部のしこりや黒ずみなどの症状が現れるものには、がん以外にもいろいろな病気があります。毛嚢に感染が起きてセメント質状に固まったエピダーマル・インクルージョンシストや、血管腫、リンパ管腫、性感染症の尖圭コンジローマという病気も多いです。これらの病気と鑑別し、がんかどうか診断するためには、視診、触診、細胞診のほか、組織をミリ単位で少し採取して顕微鏡で調べる生検(バイオプシー)が必要です」

外陰のしこりや湿疹がいつまでも治らないとか症状が強くなってくるときは専門医に相談しましょう。生検は外来でできますが、採取時に局所麻酔を行い、採取後2、3針縫合します。忙しい病院や、外陰がんの経験が少ない産婦人科、皮膚科等では生検まで行わないこともあるので、気になるときは「がんかどうか調べてください」と患者側から申告するとよいそうです。