『現代文学史研究』第二三集  内田道雄

落掌したばかりでこれから読もうとしているのだけれど、小特集として「戦後七十年」を組んでいる。
神谷忠孝・東郷克美・山崎一頴・中島国彦等々そうそうたる顔ぶれが並んでいるので購入を勧めるが(1000円)、その中に内田道雄先生の名が入っている。
恩師・越智治雄先生のライバルだった方なので、内田さんなどという呼び方はできない。
在職中は研究室が隣り同士だったことがあったなど、今では夢のよう。
これだけは気になるので拝読したのだが、「ミハイル・ブルガーコフから『津軽海峡冬景色』」という表題で懐かしい時代を自在に楽しませてくれる。
民主党政権の仙石官房長官がかつて東大全共闘だったとは知らなかったし、彼がアンジン(安東仁兵衛)のグループだった(ということは構造改革派?)ということも知らなかった。
駒場にいた頃はアンジン系のサークル「現代社会主義研究会」に参加していたけれど、どのセクトとも距離を取り続けてノンセクトを通したものだが、いずれにしろ時代を喚起させるエッセイだ。
それ以上に嬉しかったのは浅川マキの思い出に紙幅を費やして語ってくれていること。
レコードは数枚持っているけれど(プレイヤーの調子が悪くて聴けない)、ライブには行ってないので羨ましい(行きたかったナ)。
内田先生お得意の「津軽海峡冬景色」のエピソードは自分の目で確かめてもらいたい。

この研究誌の第一の功労者・野中潤さんが「編集後記」に11月の近代文学会国際研究集会の充実ぶりを記していたけれど、なぜ自分が参加しなかったのかハッキリしない。
手帳には記してあるし、イチロー・ファミリーの部活にも重なってないからボケて忘れたとしか思えない。
書評の原稿依頼を抱えていたものの、年金生活者の余裕で急かされていたわけでもなかったし・・・
先ほど会報で確認したら盛りだくさんの発表で魅力的だったので、残念無念!

研究誌の冒頭論文は奇跡の復活を遂げたテンプ先生(大久保典夫氏)で阿川弘之ノートを書いていらっしゃるので、阿川について無知なのでベンキョウかたがた拝読しようと思っているところ。
ボケ進行中の身なので、どうすればあのお年で健筆を揮えるのか、不思議でならない。