マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


『恋に落ちたシェイクスピア』 演劇型映画の典型

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1999年のアカデミー賞7部門受賞作です。

舞台は1593年のロンドン。悩める詩人シェイクスピアを主人公に、『ロミオとジュリエット』を題材とした純愛物でした。

以前テレビで、おすぎと香取慎吾がDVD映画の紹介をやった番組があったんですよ。その中で、納屋が観てない映画の中でおすぎが絶賛していた唯一の映画がこれでした。

シェイクスピア劇というのは、演劇の基本中の基本のようなものなんでしょうね。納屋は全く読んだことも観たこともないんですが。

過剰すぎる修飾詞と回りくどい言い回しで感情を表現するという手法は、映像技術や音響技術の発達した現代では軽んじられがちですが、やはり映画演劇の基本なんですよね。

この作品の中で、シェイクスピアは詩のようなセリフをたくさんしゃべるんですが、確かに胸に響く言葉があるんですよね。

特にそれが恋する相手に向けた愛の言葉ならなおさらなわけで。

映画全体の雰囲気は、『アマデウス』と同じような感じです。

実在の登場人物をモチーフに、『ロミオとジュリエット』という名作がいかに生まれたかというエピソードを丁寧に描き出しています。

そもそもシェイクスピア自身が謎に包まれた人物ですし、『ロミオとジュリエット』の原点は完全に別物(イタリアのマッテオ・バンデッロの『ロメオとジュリエッタ』が原典)なので、全くのフィクションなんですけどね。

そういうことを知ってたとしても、この『ロミオとジュリエット』ができるまでの過程というのはとても楽しかったです。

エリザベス女王役のジュディ・デンチは、ほとんど登場しないのにも拘らずアカデミー助演女優賞取ったんですが、そのシーンは見事でした。

全体的にかなり純愛路線なので、こういうのが苦手な人には勧めませんが、『アマデウス』的な映画が好きな人なら大丈夫だと思います。

個人的には『恋に落ちたシェイクスピア』っていう邦題は失敗だと思うんですけどね。なんか古臭い感じがして。原題通り『シェイクスピア・イン・ラブ』でいいと思います。