マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


 開始から-6.4kg、目標まであと7.6kg

昨日の夜のラーメンがいけなかったのか、夜中に腹をこわしたようで、便所と仲良くなった(汗)。

朝食はインスタントのピザ。

昼食は釜飯。

夕食は、近所に昨日できたばかりの「オリジン弁当」でおかずを購入してきた。オープンしたてで不慣れな店員、ごったがえす店内。ご飯は家にあったので、弁当のおかずだけと頼むと、フライなどを入れるプラスチックの容器2つにショウガ焼きとカキフライ3つを入れてくれた。イヤな予感は的中し、家で開けるとショウガ焼きのタレがこぼれて大変なことになってた。カキフライ用のソースもついてなかった。やれやれ。

はてなダイエット)。


『CUBE』 閉じられた空間の中での恐怖


かなり観る人を選ぶ映画だとは思うんですが。

立方体の部屋が延々と続く「CUBE空間」に理由もなく(あるのか?)閉じ込められた6人の男女の脱出劇。

若干スプラッタな雰囲気がありますが、低予算で限られたセットの中でよくここまでの空気が作り出せるなと感心させられます。

閉じ込められた空間って、それだけで十分圧迫感があるものなんですが、その心理描写が秀逸です。

映像特典として、「ELEVATED」という短編映画が入っているんですが、これも「エレベーター」という狭い空間だけを舞台にした作品でした。ちょっとエグい部分もあるけど、作品としてはよくまとまっています。


『デスペラード』 ラテン系みな殺し映画

ASIN:B000176O5C
これもまた旧作なんですが(汗)。

実は前から観たい観たいと思っていた作品。予告編だけでも楽しめるんですが。

ギターケースを持った殺し屋「エル・マリアッチ」(アントニオ・バンデラス)が最高です。かっちょ良すぎます。「礼は言ったっけ?」(Did I thank you? --You didn't --I will.)がツボでした。

ユーモアのセンスもたっぷりだし、お約束のハリウッド流ドンパチもかっちょいいです。

個人的には、マリアッチの相棒役のスティーブ・ブシェミがいいです。「スパイ・キッズ2」の恐竜島の科学者などで出てくる人なんですが、一度観ると忘れられない顔してます。大体「インチキ臭い役」が多いんですが、この映画でもやっぱりそんな感じです(笑)。そういえば「スパイ・キッズ」でもアントニオ・バンデラスと共演なんですね。あ、監督もロバート・ロドリゲスだっ(汗)。

ヒロインのサルマ・ハエックもかっちょイイです。この映画では、みんな登場の仕方が面白いんですが、やっぱりラテン系のヒロインはこうでなきゃ! という感じです。

タランティーノがちょい役で出てたりもします。てっきりタランティーノが監督だったっけ? と思っちゃいました(ほんとはロバート・ロドリゲスが監督)。

今年の春に続編が出るそうなので、この機会にと思って観たんですが、面白かったです。


『あずまんが大王 第4巻』 ちよちゃんに感動

あずまんが大王 (4) (Amazon)
いやぁ、すっかり『あずまんが大王』にハマッた一週間でした。

一気に全巻読み通したんですが、めちゃくちゃ面白かったです。ツボにハマリまくり。腹よじれまくり。

そうそう。大阪さん大阪さん弁ですが、あれは神戸弁が混じってますな。「こーへん」(来ない)や「言いよぉ」(言っている)は紛れもなく神戸弁。深いなぁ。小学校までは神戸だったという設定だしなぁ。

しかし、ちよちゃんに泣かされるとは思いませんでした。素晴らしい、の一言です。

これは永久保存版にしなくては(笑)。このマンガ、外見で敬遠していた人は騙されたと思って是非手に取って読んでみてください。


『フランダースの犬 vol.13』 泣かせすぎの最終回

ASIN:B00005EDKQ
もう反則ですね、これは。泣かせすぎ。

第11巻の最後「おじいさんへのおみやげ」でおじいさんが亡くなるんですが。ちょうどアロアの誕生日パーティの日に。

ネロは一人で(パトラッシュもいるけど)おじいさんのお墓を作って埋めるんですよね。なので、おじいさんが死んだことを誰も知らなかったりするわけです。

で、会う人会う人、「ジェハンじいさんは?」って聞くわけです。おいおい。そりゃないだろと。そのたびに泣けるっちゅうねん。

第12巻では風車小屋の火事をネロのせいにされて、仕事も干されちゃうんですね。村人もネロと口きかなくなっちゃうし。もうね。いじめかよと。

風車小屋の火事をネロのせいにしたのは例によってコゼツの旦那の使用人ハンスなんですが。コゼツの旦那もそれをきっかけにネロを完全に村から追い出そうとするんですよね。もちろんアロアにもネロと会うなと言うし。

仕事もなくなって、食べるものを買う金もないネロなんですが、木こりのミシェルらのおかげでなんとかコンクールの絵を完成させることができるんですよ。

ミシェルは、ジェハンじいさんが亡くなった後、ネロを引き取って木こりにさせようとするんですが、ネロが渋るんですね。コンクールに出す絵を、おじいさんと暮らした家で完成させたい、と。

ミシェルはネロの気持ちを汲み取って、ネロを村に残してやるわけです。とりあえずの食糧と、少しばかりのお金を置いて。

ネロは、ネロの友人のジョルジュが働きに行ってしまって寂しがっているポールのためにアヒルのクロをポールにあげたりします。また、ミシェルがネロとパトラッシュの食事代として置いておいたお金を、アントワープの教会でルーベンスの展覧会に使ってしまったり(そりゃいかんやろ)。どんどん自分で自分の墓穴を掘っていくネロ。

なんかもう自虐路線まっしぐらでして……。ジェハンじいさんが死に、仕事もなくなり、村人からは火事の犯人扱いで無視されて、自虐的になるのもわかるんですが……。

これは子供向け番組だよなと確認せずにはいられません(汗)。

しかも一生懸命描いた「おじいさんとパトラッシュ」の絵は、コンクールに落選しちゃうし。

ネロは目の前が真っ暗。

コンクールの発表までその家にいさせてください、とミシェルに言っていたネロは、荷物をまとめて家を出る決心をします。

そんな折、コゼツの旦那が2,000フランをアントワープと村の間で落としてしまうという事件が発生。

それをネロとパトラッシュが発見して届けます。アロアの母親が、クリスマスの食事を食べていってくれと言うんですが、ネロは食事も食べず、疲れきって寝てしまったパトラッシュの世話を頼んで出て行きます。

コゼツが帰宅して、なくした2,000フランをネロが持ってきてくれたことを聞いて、「ネロが正直で心やさしい少年だ」ということに初めて気付くんですね。遅いっちゅうねん。

さらに、風車職人のノエルから、風車の火事の原因は油を刺していなかったハンスの責任だと知らされるコゼツ。「おまえはなんということをネロのせいにしたんだ」と憤慨するコゼツ。いやいや、あんたも立派な加害者やがな(汗)。

心配してネロの家に行くと、ヌレットおばさんもミシェルもみんな集まってる状態。そこへ、コンクールの審査員のひとりが、「ネロにはルーベンスの後継ぎになる才能があるので引き取って絵の勉強をさせたい」と言ってくるわけです。

みんな総出でネロを探す……んですが、結局は御馴染みのあのラストに繋がっていくわけです。

もうね。なんかね。

全てが遅すぎるんですよね。

最終回はほんと、最初から最後まで涙が止まりませんな。なんせどこにも救いがないんですから。

しかし、今更ながらに全てを観たんですが(実はほとんど初めて観た)、やっぱり名作と呼ばれるだけのことはあります。いやぁ、泣いたなぁ。


 第5話「玉川上水入水自殺」

 夏の東京というのはどうもジメジメしていていけない。空気はねっとりと身体にまとわりつくようだし、地面は焼けてジリジリと音を立てている。裸足で歩こうものならアスファルトが溶けて足の裏にねばりついてしまうんじゃなだろうか。
 そんなことを考えながらハルは玉川上水脇の遊歩道を歩いていた。遊歩道沿いに街路樹が繁っているおかげで、直射日光を避けることができた。ハルは夏の日差しが苦手だった。肌は痛くなるし、頭がクラクラする。
 クラクラといえば、クーラーはあまり好きではなかった。できれば日陰の下で、自然の風に吹かれながら本を読んでいたかった。それとも、窓を開け放して扇風機をつけながら部屋でビデオを観るか。
 そういえば、昨日はせっかくビデオショップ・マリオに行ったのに、ビデオを借りてくるのを忘れていた。夏休み期間はキッズアニメが一本百円で借りられるので、「火垂るの墓」でも借りようと思っていたのに。
 でもまぁ、トウシバさんと話ができたからいいか、とハルは思った(などと自分で書くのは恥ずかしいんだけど、まぁ、そう思ったということだ)。
 
 実はぼくと同じように、ハルも前からぼくのことを覚えていてくれたらしい。
 当時のビデオショップ・マリオの店員は、ぼくを含めて四人だった。店長が三十も半ばを過ぎたおじさんで、それ以外はみんな学生バイトだった。
 ぼくも大学生だったけれど、大学にはほとんど行っていなかった。親の仕送りがほとんどなく、学費と生活費稼ぎのために始めたバイトだったのだが、いつの間にか学校に行くよりバイトに行く方が生活の中心になっていた。
 そんなわけで、ハルが学校帰りにビデオショップに立ち寄る時間には、大抵ぼくが店のカウンターで接客していたのだ。
 ハルは、本人曰く「引っ込み思案」で友達はほとんどいなかった。前にも書いたかもしれないけれど。
 実際、ぼくもハルが友達と一緒に歩いているところは見たことがなかったし、例の「ラクダ世界の日」よりも前は、ハルとしゃべったこともなかった。
 ハルに言わせればそれは「しごく当たり前」のことなのだそうな。ハルはときどき、普段話し言葉では言わないような言葉を使って表現する。「それはしごく当たり前のことなのよ」と。「しごく」なんて、ハル以外から聞いたことがない。
 で、と。
 何の話だっけ?
 そうそう。玉川上水の話だ。ここでハルは、「ラクダ世界」におけるもうひとりの重要な人物に出会うことになるのだ。
 
 玉川上水というとやはり太宰治を思い出す。太宰治が入水自殺をしたのが、この玉川上水なのだ。どの辺りだったのかはハルは知らない。きっと深くて暗い場所なのだろうと想像していた。
 今の玉川上水は用水路を大きくしたような川で、コンクリートの土手で固められて、両岸に遊歩道が整備されている。およそ「入水自殺」などという言葉が似合う場所ではない。遊歩道から覗き込めば、街路樹の木漏れ日を反射した比較的澄んだ水面が、土手の下の方にキラキラと見える。こんなところで入水自殺なんてできるのかと思えるくらい浅いようにしか見えない。
 しかし、とハルは考える。
 「入水自殺」とはどういうことなのだろう、と。
 土手から身を投げれば「投身自殺」だろうし、単に溺れただけなら「溺死」だろう。
 わざわざ「入水」と書くからには「水の中に自ら入っていく」ということなのだろうか。この土手を降りていって、わざわざ水の中に顔を突っ込んで死んだのか。
 死因はやっぱり窒息ということになるのかなぁ。でも窒息するまでは自分で水の中に潜ってないとダメなわけで……。そうなると足が底に届くところだったら、意思が強くないと無理かも……。自分だったら「入水自殺」だけは選べないなぁ……。
 そんなことを考えながら、ハルは水面に視線を落としながら歩いていた。
 玉川上水の水面には、夏特有の水草が生い茂っていた。
 その夏草の間に、何かが見えた。向こう岸に近い草むらの中だ。
 ハルは目を見張った。
 人だ。人がいる。
 ハルは遊歩道の手すりに走り寄り、身を乗り出すようにして川を見下ろした。
 そこには、ズボンを膝までまくり上げた大きな男が腰を屈めていた。
 ハルは慌てた。
「あの!」
 ハルの頭の中では「入水自殺」という言葉が巡り、川面にいたその男とその言葉を当然のように結び付けていた。
「あの!」
 ハルはもう一度叫んだ。今度は一段と声を張り上げた。
 すると、男はゆっくりと顔を上げた。ハルの声が届いたようだ。
「じゅ、じゅし、入水……というか! あの! あ、焦らないで!」
 何を言っているのか、自分でもわからなかった。
 焦らないでと言いながら、実際焦っているのはハルの方だった。
 心臓がドキドキした。
 川の中にいた大きな男は、ハルとは違って随分落ち着いていた。きょとんとした顔をしてハルを見上げている。手には、カメラを持っていた。インスタントでもデジカメでもなく、古い大型のカメラだった。
 その顔は、日本人には見えなかった。
 ハルを見上げる瞳は青く、彫りの深い顔立ちをしていた。肩幅が広く、がっしりした体格だ。間違いなく外国人だ。西洋人に見える。
「カメラ」
 男は、ハルに聴こえるように大声で行った。手にしたカメラを高々と上げて振って見せた。
「カメラ!」
 男は繰り返した。関西弁独特のイントネーションだ。
 そして、大股で水を切るようにしてハルのいる岸に向かって川を渡ってきた。ザブンザブンと水が跳ね上がる。
「カメラです。ジョーチャン。カメラ。ニコーンです!」
 そう言いながら、男はコンクリートの土手に手をかけた。大きな手でコンクリートの壁をつかむ。
「勘弁してぇな。カメラで、写真撮ってマンネンで」
 ハルは、土手を登ってくる男をじっと上から見つめていた。
 
 川から上がってきた彼は、身長二メートルを超える大男だった。
 目は青く、髪は金髪だ。眉毛は細く、生えていないかのように目立たなかった。
 赤白い肌が夏の日差しで焼けていて、見るからに痛そうだった。
「フランク言いまッセ」
 どうやらそれが彼の名前らしかった。
「ええと……。フランクさん……。どうも……」
 ハルは赤くなっていた。どうも初対面の人と話すと赤くなってしまう。
 そして謝るように頭を下げる。ペコリ。
 ハルの目線から見上げると、彼の高い鼻の穴の中が見えた。
 髪の毛は金髪だけど、鼻毛も金髪なんだろうか……ハルはつい関係ないことを考えてしまう。
「写真撮ってマンネン。シンレー写真やろ?」
 サンダル履きにジーンズにTシャツ姿のフランクは、ハルにカメラを見せながら言った。ニコンの一丸レフだった。ずっしりと重い。十年くらいは使い込んでいるようなカメラだ。
「写真、ですか……。私、てっきり……」
「ダザーイ。ダザーイ」
 フランクは明るい声で言った。
「え? ……だ、太宰?」
「そう。ダザーイ。ここでダザーイ、ジスーイした」
 フランクは今度は神妙な顔つきになった。
 そしてカメラをなでた。
「じ、ジスイ? って……入水?」
 フランクの顔がパッと明るくなった。
「そっか。ジスーイ。フランク、写真撮ってマンネン。写真マンね」
 カメラマンのことらしい。
 どうにも変な関西弁だが、フランクは普通の日本語をしゃべっているつもりらしい。
「ダザーイ、ジスーイ、クサーイ」
 そう言って、フランクは大笑いした。腹の底からの大笑いだ。
 何が起こったのかわからないハルは、きょとんとしてフランクを見上げていた。
「ダザーイ、ジスーイ、ジョスーイ……クックック……ダザーイ・ジスーイ・マズーイ……」
 どうやらフランクは自分がウィットに富んだジョークを言っているつもりらしい。立て続けに駄洒落を連発している。が、ハルにはフランクが何を喜んでいるのかさっぱりわからなかった。
 この人、ちょっと苦手かも……そう思ったハルは、話題を変えることにした。
「ええと。フランクさんはどこの人なんですか?」
 ハルが問い掛けると、フランクは笑うのをやめた。
 しかし、目はまだ笑っていた。
「フランク、ミュンヘンから来たやんけ。学生やろ?」
 どうやら自分はミュンヘンから来た学生だということが言いたいようだ。「学生やろ」て。
 もちろん、ハルには通じない。
「……えっと……イッヒ・ビン・シュトゥデント?」
 自分が学生かと聞かれたと思ったハルは、どうも調子が合わせづらいと思いながらそう答えた。
「そっか。学生ね」
 フランクは極めてマイペースに次の質問に移った。
「名前、何ゆうてんねん?」
 ハルの名前を聞いてるらしい。いや「何ゆうてんねん」て言われても。
 もちろん、そんなことにはハルは気付かない。
「……えっと……イッヒ・ハイセ・ハル」
 日本語で聞かれてるのにドイツ語で答えてしまう。でもなんとか会話になってるところが不思議だ。
「おお! そっか。ハルチン! 萌えー!」
 ……。
 誰だ、こいつに日本語教えた奴は。わざとだろ、これは。
「イヤー! イッヒ・ハイセ・ハルチン! ダンケシェーン!」
 やっぱりハルは気付かない。むしろ喜んでる。やれやれ。
 
 フランクの怪しい関西弁と、ハルのカタコトのドイツ語と英語(なんでやねん)の会話は、その後もしばらく続いた。
 フランクはミュンヘン出身で、日本の工業大学に留学してきている学生だった。カメラは趣味でやっていて、ほかにもギターや絵も好きなのだそうな。
 太宰治が入水自殺をした玉川上水が近所にあるという話を聞きつけて「心霊写真」(どこでそんな言葉を覚えてくるのか)が撮れるに違いないと確信してわざわざ来たらしい。撮れないっつうの。
 その後、ビデオショップにハルとフランクが来た頃には、ハルとフランクは既に打ち解けた状態だった。会話はちぐはぐながら、意思の疎通はできているようだった。
 ハルはフランクにも呼び名が必要だと考えた。「だってフランクだと紛らわしいもの」というのがハルの主張だ。何と紛らわしいのかは教えてくれなかった。
 結局フランクに与えられた呼び名は「アイビーエム」だった。略して「アイビー」。 理由は「だってドイツ人だし」。IBMはドイツじゃないだろうとかいうのは却下だ。ぼくだってそう言いたい。
「トウシバさん、こちらがアイビーエムさん」
 そう言ってハルはアイビーエムを店に連れてきた。
「ようこそ! トウシバさん」
 アイビーエムくん、いきなり間違ってるって。
「どうも」
 見上げると、確かに大きかった。これならどんな人ごみでも一瞬にして発見できる自信がある。
「トウシバさん、ビデオ貸してる人ね。あんたも好きねー」
 どうやらぼくはとんでもない世界に足を踏み入れたようだった。
 これがハルとアイビーエムと(ついでにぼく)の出会いである。だんだん「ラクダ世界」的になってきた。
 
 そして、ハルの携帯にラクダからのメールが送られてきた。

Subject: ここからの放送は From: ラク
ネーミングセンスについてはラクダの守備範囲じゃない。ハルに任せていたからね。
悪くはないと思う。
まずは第一の関門をクリアしたという感じだ。
少し先行きが明るくなったよ。
でも、ラクダからのメールはしばらく届かなくなると思う。
いろいろと準備で忙しいからね。こればっかりは他人に任せられないんだ。
ラクダにもいろいろとラクダの事情というのがあってね。
申し訳ない。
だが、いつでも君たちを見守っているから安心してくれていい。
これから君たちはいくつかの問題に突き当たることになるだろう。
そしてそれは……、いいかい、君自身が乗り越えなければならない問題なんだ。
トウシバくんでも、アイビーエムくんでもない。ハル自身がね。
そのことをよく覚えておいて欲しい。
 
ではまたラクダ世界の続きをどうぞ。
 
ここからの放送は「ハル」と「トウシバ」、「アイビーエム」の提供でお送りします、か。それもいいだろう。
 
ラクダの意見が聞きたいときは、トウシバに頼んでくれ。彼ならきっと何とかしてくれる。何てったってラクダの相棒だからね。

 その言葉通り、「ラクダ」から「ハル」へのメールは届かなくなった。「しばらく」がどれくらいの期間になるのか、ハルにはわからなかった。もちろん、ぼくにも。
 そのとき、アイビーエムがぼくの頭の上でパチンと手を叩いた。
「トウシバとラクダで、シバラクダ。……クックック……」
 やっぱりとんでもない世界だ。