『ほとんどすべての人のための<神様学>入門』という面白い本を見つけて読みました。

私は、神聖なものに対して畏敬の念を感じつつも、特定の宗派に属することに意味を見出せていない人間です。そんな私にとって、とても共感できる面白い本でした。

「すべての人の心の中に神様がいる。」

これがこの本から私が受け取ったメッセージです。

このメッセージを支える村松さんの温かい人間観に触れ、勇気をもらいました。

本当に人間を純粋な生き物にしようと思うなら単機能でつくればいいのだ。たとえば人間が年がら年中神に祈っていなければいけないのなら、神は最初からお祈り用に設計して生物をつくっただろう。純粋に生産に従事するだけでいいなら、そういう蟻か、ロボットのような生き物を生み出しただろう。いわゆる善行しかしない人間が望ましいなら、そういう生物を生み出すことだって可能だ。

しかし、神が本当にほしいのは、人間の精神活動のエッセンスなのだ。それは人間が自由であることからしか生まれないのだ。

もし、人間が善行をするのが尊いとすれば、それは悪を行うこともできる自由を持っているのに善を選ぶときだけだ。善しか行う能力がないなら、それには価値がない。

人間が矛盾の中で自分の価値を見いだすことが神にとって価値があることなのだ。

『ほとんどすべての人のための<神様学>入門』(村松恒平著 / 洋泉社 /1999)