2014年1月23日 森河良太氏 (終了)

日時: 2014年1月23日(木)11:00〜12:30
場所: 首都大学東京 8号館302号室
講師: 森河良太氏(東京薬科大学
題目: Twitching運動を行うバクテリアの個体動力学モデルとシミュレーション

要旨: 緑膿菌や淋菌、高度好熱菌等のバクテリアの表面には、IV型線毛(Type IV pili)と呼ばれるタンパク質が重合して構成された繊維が多数伸びている。これらの
バクテリアは固い表面を移動する際、線毛を固体表面まで伸長させて先端を吸着させた後、それを縮退させることによって移動することが知られている。この移動はtwitching(攣縮)運動と呼ばれ、前進(クローリング)と急速な旋回(スリングショット)の2つのモードを頻繁に切り替えることが実験観察によって知られている。
本研究では線毛を用いたtwitching運動を行うバクテリア一個体の運動を調べるため、平面基盤上に強く拘束された長楕円体形のバクテリアが粘性流体内で運動する動力学モデルを構築し、シミュレーションを行った。その結果、バクテリア運動における切り替えの特性は、線毛のバネ係数とその縮退速度、そして周囲環境が与える粘性係数から成る一つのパラメータに支配されているであろうことを確認した。