売糖歌(アメ売りの歌)について・・・ ken

<写真は『李香蘭の恋人 キネマと戦争』田村志津枝著 筑摩書房刊>

歌の話題で思い出したので書いてみます。
李香蘭が、戦前の李香蘭時代に出演した、たった1本の中国映画がある。
付け加えておくが、戦後になって山口淑子は戦前に軍部の言いなりになって中国を侮辱した映画に出演したことを反省し、「李香蘭は死にました」の言葉を残して、山口淑子に生まれ変わり女優活動をスタートさせたと伝えられている。しかし実は彼女は、その後も李香蘭の名前で香港映画に何本も出ている。


さて1943年に作られた「萬世流芳」に話を戻そう。
これは、アヘン戦争の英雄・林則徐をたたえたものだ。
この映画の中で、李香蘭はアメ売り娘に扮して、阿片窟でアメを売る。
そのときうたう歌が、「売糖歌」だ。


この歌は、「またたくまに中国全土に流行していった」と山口淑子は、自伝に書いている。
これが本当かどうかは、難しいところだ。
が、本人がそう言うなら、そういう見方もあるのだろう。


しかしこの歌も、いま聞くとちょっとおかしい。
まるで女学校のコーラス部の発声練習みたいな箇所がある。


この作品に李香蘭が出演させるのは、甘粕正彦満映理事長が強引な要求を通した結果だということを忘れてはならない。