パフォーマンス・マネジメント−問題解決のための行動分析学
- 作者: 島宗理
- 出版社/メーカー: 米田出版
- 発売日: 2000/03/01
- メディア: 単行本
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[内容]
行動分析学によるマネージメント。登場人物の会話を通して問題が提起され、それを行動分析学によって解決し、その後に解説が示される。
[感想]
理解しやすいが、なかなか一度読んだだけで身に付けるのは難しい。しかし、個人攻撃の罠や行動の罠は知っているだけで、あとから反省するのには役立ちそう。『この本の内容さえ守ればパフォーマンス向上!』とは言い切らずに『ひとつの方法でしかないですよ』といっているのは好感が持てた。実際、どれだけパフォーマンスマネジメントって企業で導入されてるのかな?あった方がいいと思うけどな。
[概要]
個人攻撃の罠にはまってはならない。
→仕事や人間関係がうまくいかないときは、他人や自分を責めるのではなく、問題解決の方法を考えよう。
ABC分析で、行動随伴性(先行条件と行動、結果の関係)をチェック。
A:先行条件(Antecedent) B:行動(Behavior)
C:結果(Consequence)
問題行動の解決には、現状の鼓動随伴性のABC分析から始める。
上司ができるのはAとCのみ。(チェックリストなど)
1.強化の原理
行動することで、何か良いことが起こったり、悪いことがなくなったりすると、その行動派繰り返される。
行動(B)と結果(C)の間の時間差が短いほど強く働く。
BとCの関係を明確、確実、短時間で!
2.弱化の原理
行動することで、何か悪いことが起こったり、良いことがなくなったりすると、その行動は繰り返されなくなる。
嫌子、好子は目に見えないものをある(満足、道徳心など)。
3.復帰の原理
行動は弱化されないと、元通りに起こりやすくなる。
4.消去の原理
行動は強化されないと、元通りに起こりにくくなる。
5.弁別の原理
行動は、強化の先行条件によって引き起こされ、弱化の先行条件によって抑えられるようになる。
弱化の行動随伴性は、弁別の原理が働いてしまうため、弱い。
やらなくてはならないことが分かっていてもできるとは限らない。
死人テスト
全ての行動の原理は「〜する」という行動にのみ当てはまる。「〜しない」という行動には当てはまらない。
6.派生の原理
好子や嫌子が現れると、その時、そこにいた人やそこにあった物、状況などが好子化したり、嫌子化したりする。
→弱化でマネージメントすると、上司や職場が嫌いになる。
行動=遺伝+歴史+現状
7.部分強化の原理
いつも強化される行動より、たまにしか強化されない行動のほうが消去されにくい。
紋切り型のほめ言葉は意味が無くなる。
8.反発の原理(すげーよく分かる!)
嫌子が出現したり、急に行動が消去されると、反発したり、相手を攻撃する行動が起こりやすくなる。
→相手に選択肢を与えればよい。そして、相手が自分の希望通りに行動したら感謝の気持ちで強化する。
オペラントとレスポンデント
オペラント:生物が環境に働きかける行動(普通の仕事は全部オペラント)
レスポンデント:遺伝的な反射が派生の原理によって、他の刺激により引き起こされるようになったもの
レスポンデントには強化、弱化の原理が働かないので、AB分析をする(下図は例)。
Bには必ず生得的な行動が入る。
レスポンデントを無くすには系統的脱感作法を用いる。
派生した先行条件と新たな行動を直接つなぐ。派生した行動が出てきたらすぐにやめる。
辛いことを忘れたかったら、辛くない程度に思い出したり、見たり聞いたりした方が良い。
課題分析:標的行動を具体的に決める。
9.分化の原理
強化される行動は、強化されない行動に比べ増えていく。弱化される行動は、弱化されない行動に比べて減っていく。
B:行動の仕方が分からないとき
・シェイピング(分化の原理、次第に課題をレベルアップしていく)
・モデリング(お手本)
・フィードバック(具体的な行動説明)
・プロンプト(ヒント)
・フェイディング(ヒントを減らす)
地域社会の様々な問題への対処はほとんど勘や直感に頼ってきた。
うまくいくこともある。しかし問題は、何が問題だったのか、永遠に解明されないことにある。
成功や失敗を積み重ねていくことができない。行動分析学による分析が必要でないか。
パフォーマンスに問題があるとき、原因が行動にあると、最初から決め付けないこと。
行動の罠にはまらないように。
組織はパフォーマンスの向上に繋がらないことを重視することがある。(遅刻の防止、マニュアルが守られないなど)
パフォーマンスフィードバック
行動の成果を具体的に、批判や支持なしに伝える。
→派生の原理によるカウンターコントロールも生じない。
企業のマネージメントで重要なことは、派生の原理を用いて、仕事に関連した刺激や条件が好子になるような環境を作ること。
知識のマネージメント
1.パフォーマンスを改善するための「知識」を行動レパートリーとして具体的に定義
2.学習者が行動レパートリーを習得できるように行動随伴性を整備
プリシジョンティーチング:スピードを重視
できて当たり前のことができないなら、教えるしかない。
悪いマネージメント:成果だけによるマネジメント、嫌子を濫用するマネジメント
良いマネジメント:A(指示)だけ、C(成果)だけでなく、ABC一貫したマネジメント
叱咤激励は明確な目標の元で有効、無条件にほめずに目標達成をほめる。
組織の場合は、組織でABCを一貫させる。
セルフマネジメント
優先目標→達成目標→行動目標
具体的で短期間の目標に締め切りをつける。
うまくいかなければABC分析。
自分で決めた目標を破ることがどれだけ嫌子かにかかっている。