パフォーマンス・マネジメント−問題解決のための行動分析学

パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学

パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学

[内容]
行動分析学によるマネージメント。登場人物の会話を通して問題が提起され、それを行動分析学によって解決し、その後に解説が示される。

[感想]
理解しやすいが、なかなか一度読んだだけで身に付けるのは難しい。しかし、個人攻撃の罠や行動の罠は知っているだけで、あとから反省するのには役立ちそう。『この本の内容さえ守ればパフォーマンス向上!』とは言い切らずに『ひとつの方法でしかないですよ』といっているのは好感が持てた。実際、どれだけパフォーマンスマネジメントって企業で導入されてるのかな?あった方がいいと思うけどな。

[概要]
個人攻撃の罠にはまってはならない。
    →仕事や人間関係がうまくいかないときは、他人や自分を責めるのではなく、問題解決の方法を考えよう。
       ABC分析で、行動随伴性(先行条件と行動、結果の関係)をチェック。
             A:先行条件(Antecedent)    B:行動(Behavior)    C:結果(Consequence)
       問題行動の解決には、現状の鼓動随伴性のABC分析から始める。
       上司ができるのはAとCのみ。(チェックリストなど)
    


1.強化の原理
行動することで、何か良いことが起こったり、悪いことがなくなったりすると、その行動派繰り返される。
    行動(B)と結果(C)の間の時間差が短いほど強く働く。
    BとCの関係を明確、確実、短時間で!

2.弱化の原理
行動することで、何か悪いことが起こったり、良いことがなくなったりすると、その行動は繰り返されなくなる。

嫌子、好子は目に見えないものをある(満足、道徳心など)。

3.復帰の原理
行動は弱化されないと、元通りに起こりやすくなる。

4.消去の原理
行動は強化されないと、元通りに起こりにくくなる。

5.弁別の原理
行動は、強化の先行条件によって引き起こされ、弱化の先行条件によって抑えられるようになる。
    弱化の行動随伴性は、弁別の原理が働いてしまうため、弱い。

やらなくてはならないことが分かっていてもできるとは限らない。

死人テスト
全ての行動の原理は「〜する」という行動にのみ当てはまる。「〜しない」という行動には当てはまらない。

6.派生の原理
好子や嫌子が現れると、その時、そこにいた人やそこにあった物、状況などが好子化したり、嫌子化したりする。
    →弱化でマネージメントすると、上司や職場が嫌いになる。
   
行動=遺伝+歴史+現状

7.部分強化の原理
いつも強化される行動より、たまにしか強化されない行動のほうが消去されにくい。
    紋切り型のほめ言葉は意味が無くなる。

8.反発の原理(すげーよく分かる!)
嫌子が出現したり、急に行動が消去されると、反発したり、相手を攻撃する行動が起こりやすくなる。
    →相手に選択肢を与えればよい。そして、相手が自分の希望通りに行動したら感謝の気持ちで強化する。

オペラントとレスポンデント
オペラント:生物が環境に働きかける行動(普通の仕事は全部オペラント)
レスポンデント:遺伝的な反射が派生の原理によって、他の刺激により引き起こされるようになったもの
    レスポンデントには強化、弱化の原理が働かないので、AB分析をする(下図は例)。
    Bには必ず生得的な行動が入る。

    レスポンデントを無くすには系統的脱感作法を用いる。
        派生した先行条件と新たな行動を直接つなぐ。派生した行動が出てきたらすぐにやめる。
        辛いことを忘れたかったら、辛くない程度に思い出したり、見たり聞いたりした方が良い。

課題分析:標的行動を具体的に決める。

9.分化の原理
強化される行動は、強化されない行動に比べ増えていく。弱化される行動は、弱化されない行動に比べて減っていく。

B:行動の仕方が分からないとき
    ・シェイピング(分化の原理、次第に課題をレベルアップしていく)
    ・モデリング(お手本)
    ・フィードバック(具体的な行動説明)
    ・プロンプト(ヒント)
    ・フェイディング(ヒントを減らす)

地域社会の様々な問題への対処はほとんど勘や直感に頼ってきた。
うまくいくこともある。しかし問題は、何が問題だったのか、永遠に解明されないことにある。
成功や失敗を積み重ねていくことができない。行動分析学による分析が必要でないか。

パフォーマンスに問題があるとき、原因が行動にあると、最初から決め付けないこと。

行動の罠にはまらないように。
    組織はパフォーマンスの向上に繋がらないことを重視することがある。(遅刻の防止、マニュアルが守られないなど)

パフォーマンスフィードバック
行動の成果を具体的に、批判や支持なしに伝える。
    →派生の原理によるカウンターコントロールも生じない。

企業のマネージメントで重要なことは、派生の原理を用いて、仕事に関連した刺激や条件が好子になるような環境を作ること。

知識のマネージメント
1.パフォーマンスを改善するための「知識」を行動レパートリーとして具体的に定義
2.学習者が行動レパートリーを習得できるように行動随伴性を整備

プリシジョンティーチング:スピードを重視

できて当たり前のことができないなら、教えるしかない。

悪いマネージメント:成果だけによるマネジメント、嫌子を濫用するマネジメント
良いマネジメント:A(指示)だけ、C(成果)だけでなく、ABC一貫したマネジメント
    叱咤激励は明確な目標の元で有効、無条件にほめずに目標達成をほめる。
    組織の場合は、組織でABCを一貫させる。

セルフマネジメント
優先目標→達成目標→行動目標
具体的で短期間の目標に締め切りをつける。
うまくいかなければABC分析。

自分で決めた目標を破ることがどれだけ嫌子かにかかっている。