路頭に迷う元派遣労働者に対する一部報道を見て

  • 日曜の朝、朝食を取りつつテレビを回す。日テレは「TheサンデーNEXT」。徳光和夫氏は、派遣村に集まっていた若者にインタビューして、最後には統計の数字を出してきて、求人の数はたくさんあるじゃないかと説教をし始めた。若者たちは、わざわざテレビで「なぜ派遣村までたどり着いたか」を説明しているのだから、「うまくいかなくなった理由」を言うに決まっているじゃないか。その彼らに向かって、ダメな理由を探しているだけじゃないかと説教しようとする徳光氏は、一体何者なんだと思った。自分は高給をもらいながら、「上から目線」のKYをまきちらすダメな役人や政治家のパロディなのかとさえ思った。どうして徳光氏にジャーナリズムめいたことを日テレはさせるんだろうか。彼の真骨頂はデストロイヤーに4の字固めを受け、涙して苦しむ姿ではないか(古いか)。あるいはジャイアンツを骨の髄まで応援する、けなげな姿ではないか。そういえばコメンテーターの某社長も「(派遣村報道で)マスコミは過保護」だと言っていた。この感覚のズレは恐ろしいほどだ。手元に数枚残っていた、その社長が経営する居酒屋チェーン店の500円割引券を、私は破り捨てた。
  • 手抜き工事のマンションに住まわざるをえなくなった住人が大地震を受けて全壊して被災し、避難所にやってきたところへテレビカメラがのこのこやってきて、「君が安易に手抜き工事の家に住むからだ」と説教するのだろうか。私が倫理学を仕事にしているせいなのか、どうしてもこの「被害者批判」が横行する状況には黙っていられなくなる。派遣契約の途中に、突然違法に解雇された人間に、何の過失があるというのだろうか。その若者がどういう生い立ちで派遣で働くことになったのかなど、極論すれば触れる必要もない事じゃないか。緊急的には、大量にあふれた失業者への対応をどうするのかだし、長期的には、この世界規模の不況の中で、国家規模の構えで雇用を創出していくためにどういう税金の使い方をしていけばいいか、それらの点に話は絞られてくる。そして現在の日本政府は何をしようとしていて、それはやるべき対策と言えるのかどうかを検証することだろう。日テレ、フジ、TBSとチャンネルを回していて、そこへ話を絞ったのは、残念ながらTBSの「サンデーモーニング」だけだった。
  • なお、フジは「マネーの虎」に出ていた、一代で成り上がった社長に起業の苦労話をさせていた。感想は特にない。