セロリ
セロリは、わたしの大好きな食べ物です。
サラダにしても、炒めても、とくにセロリ餃子が。
小さい時、母がセロリの水餃子を作ると、いつもわたしは、お腹がつらくなるほど、たくさん食べます。
ふみはセロリを、一口すら食べないのです。パパも苦手。
なのでわたしは、わざわざセロリを買った、自分のためにだけ調理したりするのは面倒になって、もう、どれくらいセロリを思う存分食べてないのでしょう。
昨日、ふみとお買い物に行って、冷蔵棚に陳列されてるセロリを見て、急に無性に食べたくなりました。
台所で、素早くセロリを洗って、葉っぱを摘み、まな板に置き、いかにも何かの方法で調理しようとしている自分は、包丁を持つ反対の手が、無意識にまな板で横になってる、まだ水が完全に切れてないセロリを持ちあげ、そのまま、パクリ。
わ〜、これだ〜、セロリの香りだわ〜
けどセロリって、こんなに甘味がありましたっけ。
もちろんこの甘いセロリはとてもおいしいけど、本物じゃないというか、近くてもせいぜいセロリの従兄弟?
日本人は、食べ物がおいしいかどうかの基準を、「あま〜い」「やわらか〜い」とのニ点にしてますから。
なんでも甘けれりゃ、柔かけりゃいいんですから。
セロリの魅力とも言えるあの独特な渋味、“改良”され、どこに飛んでしまったんでしょうか。
と思いながらわたしは、パクパクとそのセロリをかじります。
ふと気づくと、ふみは、唖然とした顔でわたしを見ています。
「食べてみない?おいしいよ」
「いい!ママすごいね、やっぱり魔法使いだね」
長いセロリを、シャキシャキと音を立て、そのままかじるママは、普通の人間から程遠く見えたのでしょうか。
「ふふふふ、そうよ、魔法使いだもん」
今日は日曜日だが、珍しくパパはお休み、早いうちに、もううちを出て、ふみと建設中のスカイツリーを見に行きました。
おかげでわたしは、美容院に行ったりして、助かりました。
帰って来たふみがわたしのカットした前髪を見て、「ママ、若くなったね」と。
「あははは、ありがとう」
「なんでありがとうっていうの?言わなくていい!」とふみが。
二人が買ってきたスカイツリーのストラップです。
夕食、ふみのリクエストの大根の蒸し餃子を。
大根餃子、淡泊でありながら、なんともいえない旨味があります。
ふみもパパも大評判。
ウルトラマン、黙々と我が家の台所の窓際に。