「本田宗一郎 夢を力に 私の履歴書」本田 宗一郎 (2001) 日経ビジネス人文庫

本田宗一郎夢を力に―私の履歴書 (日経ビジネス人文庫)
順調にいっていた修理業をやめ、どうして商売替えしたかというと、自分の使っていた工員たちがボツボツ独立して店を持つようになったものの、自動車が急に増えるでなし、結局私の商売がたきとなって競争することになる。私はそれがいやだった。(第一部 私の履歴書 p-46)
ホンダのクルマに対する見方が変わる。ひどいレース事故から生還したり、窓から放り投げた芸者が奇跡的に助かったりと、何か「神に守られている」とでも言いたくなるような人物。物事を見る目は極めて現代的で先見的。要するに、人と同じことをすることが生理的に耐えられない、ということなのだろう。そこだけは共通するかもしれない。社会や教育に出来ることは、個性を伸ばすことではなく、個性が伸びるのを妨げないこと、ではないかとふと思う。風通しの悪い社会や組織ではダメだろう。そこでは、伸びる自分を自分で守らなくてはならない。(2010年6月30日読了)