ギブあっぷ!

ギブあっぷ! (HJ文庫)

ギブあっぷ! (HJ文庫)

久々に☆2つ…。

【ストーリー】他人の痛みが実感としてわかってしまう結槻未祐はその能力を隠しながらも高校に入学し、中学から好きだった六堂螢と一緒のクラスになって浮かれていた。しかし、入学式の日に偶然斗神璃亞(とがみりあ)の着替えを覗いてしまい、このことをバラされて欲しくなければ璃亞の活動する「保健部」を手伝うようにと脅迫されてしまう。そして未祐の奴隷生活は始まったのだった…。


ちょっと酷評になってしまったので、続きを読むにしておきます。「これめっちゃ面白いやん!」と思った方は不快に思うかもしれないので注意!









ハッキリ言ってギャグセンスと登場人物が私の感性に合わなかった…。

まず、主人公である結槻未祐の性格というか言動に違和感が強すぎた。
設定では誰もが言われなければ女子に見間違う程の女顔とあるのですが、セリフに違和感がバリバリ。
女顔にコンプレックスを持っていて、少しでも男らしくみせるためという気持ちはわかりますが、どうしてもセリフと描写が設定に対してチグハグに感じてしまいました。

同じような設定では「がく×ぶる」がありますが、あちらの主人公もセリフで男らしく振舞おうとしますが、地の文や態度がその女顔キャラを表しているので違和感がないです。
それに反してこの結槻未祐というキャラは地の文によるフォローがあまりないので、イメージと描写の差が激しい。ぶっちゃけキャラがブレ過ぎているんです。

セリフを抜粋すると

「ははっ」
「…今度笑ったら、お口にチャックよ」
「へぇ可愛いこと言うんだな」

など。

特にきつかったのがこのセリフ

「だったら泣いちまえよ。想いを言葉にできなくて泣くのは、何も赤ん坊だけの特権じゃないから。言葉にならない想いや苦しみは、全部涙に変えちまえ」

悪いけど、ギャップなんてもんじゃない…。言う人物が渋いオッサンや頼れるアニキキャラならまだしも、女顔のキャラのセリフじゃないよ…。
未祐がサブキャラならまだネタとして扱えたかもしれないけど、主人公だとかなり痛いキャラにしか見えないです。


他にも、ギャグパートがギャグになりきれていませんでした…

シリアスになりきれないギャグは結構読んできましたが、ギャグになりきれないシリアスを読んだのは初めてです。
例として、未祐がケガで入院する六堂螢を精神的な部分で慰めた後、クラスで再開した時に螢が言った「話しかけないでくんない?」とその後の冗談は冗談になってないよ!?
作者は多分二人が打ち解けたということを書きたかったのでしょうけど、実際こんな仕打ちを受けたら再起不能になります。しかも言われた相手は片思いの相手ですよ!ショックで学校に来れなくなります!


とにかく、冗談と捉えるにはキツ過ぎるのとセンスが合わないので読んでいても全然笑えなかったです。


ただえっちぃ展開は中々よかったかな。
王道的なサービスシーンの他にも、主人公は一度キレるとSになり、ヒロインに関しては普段は強気だけれど押し切られると言われるがままのMになるというのは珍しくて新鮮でした。

「――どっちが良い?」
「え…?」
問われ、璃亞は思わず聞き返した。
聞いてしまった。
未祐の言うことを。
「オレにスカートを脱がされるのと、自分でめくるのと――どっちが良い?」
璃亞の脳がその言葉の意味を理解するよりも早く。
選ばせてやるよ、と未祐は言った。
「五秒数える間に決めろ。5,4,3――」
突然された一方的な通告。選べるわけがない。璃亞はあせりから、何も考えられなくなってしまう。未祐が提示した、ふたつ以外の選択肢を。
だから正直に、それを受け入れてしまう。

こんな感じ。この分を読んで異様な興奮を覚えたあなた、間違いなくSです!
エロ目的で見たらかなり点数高いと思います。


話の構成はしっかりしているし真剣な恋愛をしているので、主人公のキザなセリフとキツイ冗談が受け入れられればそれなりに楽しめると思いますが、私はどうしても主人公が受け入れられなくてダメでした…。
一応次が出たら買ってみようかと思いますが、それでも違和感が拭えないようだったら売っちゃうかも…


感想リンク
いつも月夜に本と酒さん