ドイツの名花散る

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ZDF heute:Die Schauspielerin Christine Kaufmann ist tot. Sie starb in der Nacht zum Dienstag im Alter von 72 Jahren. (3/28)※女優のクリスティーネ・カウフマンが逝去。彼女は火曜日の夜に亡くなっている。享年72歳。

 クリスティーネ・カウフマン出演の映画では、少女時代の作品は残念ながら観ていない。DVDで、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーRainer Werner Fassbinder)監督の『リリー・マルレーン』(1981年)と、ヘルベルト・フェーゼリー(Herbert Vesely )監督の『エゴン・シーレ』(1983年)を観ている。どちらも面白い。手許にレンタル払い下げVHSビデオ、ヴェルナー・シュレーター(Werner Schroeter )監督の『愚か者の日(TAG DER IDIOTEN )』(1991年)もあるが、ひさしぶりに取り出して開けてみたところ何と箱のみで、ビデオがない。収納忘れらしい、参った。

リリー・マルレーン」を唄ってナチスに愛されたビリー(ハンナ・シグラ)は、秘かに反ナチス活動に協力もしていたのに、誤解され恋人ロバート(ジャンカルロ・ジャンニーニ)は、ミリアム(クリスティーネ・カウフマン)と結婚してしまう。戦争が終結し、チューリッヒでのロバートが指揮をする演奏会を訪れたビリーの前に、妻のミリアムが立っていた。ミリアムは、ロバートが真実は誰を愛しているのか知っているのだ。切ない二人の視線の交錯、名場面。 


 エゴン・シーレ(マチュー・カリエール)の画家としての半生を、愛した二人の女性、モデルのバリ(ジェーン・バーキン)と隣家の住人の娘エディット(クリスティーネ・カウフマン)との関わりを中心に描いている。シーレの作品の映像も多く、堪能できる。バーキンとともに、「戦後ドイツ最大の清純派スター」カウフマンのヌードも観られ愉しい。とくに印象的なシーンは、戦争が勃発しシーレが兵役にとられ、短時間の逢瀬で、エディットが中尉との仲を疑われ、あのひとが一方的に自分を好いているだけで、疑われるようなことをする男性ではないと否定するところ。去って行ったバリの名を出してシーレを牽制したり、エディットの可憐さと怖さがよく醸し出されていた。むろんエディットは、出席したパーティーで、中尉の誘惑にみずから乗って官能のひと時を過ごすのである。