電波的な彼女
- 作者: 片山憲太郎,山本ヤマト
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/03/25
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 30回
- この商品を含むブログ (88件) を見る
とりあえず、イラストの髪の色について
24ページで、金色に染め直したと言っていますね
一回目に読んだ時は、あれ?黒じゃなかったっけ?と思いましたが
ネタバレはなしの方向で
素晴らしい
五段階評価だったら、問答無用で5つけますね
前の巻は、トリックが弱いとか、電波設定があれだとかそういったことがあったかもしれないですけど
(そういったものが主の物語ではないので、僕としては全く問題ではないのですが
あくまで、ミステリ形式を取った物語なので)
今回はトリックとかも結構上手かったのではないかと
後味がいい物語ではないかもしれないですが、このやりきれなさこそ、この物語たるのだと思います
この作品は
何処までも無慈悲な現実の中、悩み、苦しみながらも前に進もうとする少年の成長物語ではないか
と思います
まちばりあかね☆さんが、シンフォニックレインインプレでそのテーマについて
「矛盾するいくつもの心を抱えて葛藤する若さゆえの純真さと、その在り方そのものの美しさ」
と言っていましたが、主人公柔沢ジュウはまさにそういったキャラ
周りが割り切った「大人」の振る舞いをする中、その考え方を知りつつも納得はせず、屈しようとはしない
そこに待っているのは、何処までも残酷な「現実」なのですが…
そういったテーマ性みたいなものもいいのですが、キャラクターの考え方が非常に好きなんですよ、この小説
例えば、この巻で出てきた新キャラ、円のセリフ
「わたしは、あなたと出会いたくもなかったけれどこうして出会ってしまったからには何か意味があるんでしょうね。
あなたが雨とであったのも、雪姫とであったのも、何か意味があるはずよ。」
「ないね」
「つまんない男。あると思いなさいよ。そうでないと悲しいじゃない。」
こっちのほうが出番が多い新キャラ、雪姫のセリフ
この世界はバカに対しては決して優しくないが、だからこそ、そういうやつは嫌いじゃない
こういう考え方好きなんですよね
上の方は、本当は意味なんてないことを理解はしている
でも、そういった、誰かと出合ったことを大切に思いたい、ということで意味があると思いたいという意味かな、と
下の方のバカっていうのは、利口じゃないという意味のバカで、正しいことをしようとする時、それは得てして損をすることのほうが多い
流される方がずっと楽で賢い
それでも自分が正しいと思うことをするというのは尊いことではないでしょうか
こういったある種の青臭さって、斬って捨てることは簡単だと思いますが、やはり大事な物ではないでしょうかね
僕はそう思います