ダンガンロンパ感想

声優陣豪華だなーという理由でやったんですが、思ってたよりずっと面白かったです。特に世界設定と、物語の関連付けが秀逸だと思いました。


つまるところあの学園というのは、世界への見世物という意味でも社会の縮図となっています。絶望が勝つか、希望が勝つか。そして、そこで試されるものはそれが知りたくないような、あるいは見せたくないような真実であっても、それを知った上で乗り越えていけるかということです。真実を明かすリスクを恐れながら、それでも話そうとした千尋や、仲間に裏切りを疑われながらも仲間のために行動しようとしたさくらなど。そういったキャラクターの心情や、展開が物語。
そして世界設定が、崩壊している世界に踏み出す勇気を持つことが出来るかどうかです。モノクマ、ラスボスが提示する世界は、真実から目を背ければ安楽に穏やかに生きていくことが出来るというものです。霧切さんの選択肢で誤ったものを選んで描かれる可能性のように、他人を信じられなくても閉じた中での幸せを教授することは可能であるとされています。にもかかわらず、あえて厳しい世界に出ていけるのか、出ていきたいと思えるのか。
このように、マクロな世界設定ともうちょいミクロな物語の両輪でできており、この情報が開示されたときは素直に上手いなと思いました。
そういう意味で言うと、マクロな世界が開示された後に2とかやってしまうと縮小再生産にしかならないかなあと思うのですが、まあこれは余談。


うみねこの見たくない、見ない方がよい真実だってあるというのは確かに事実かとは思うのですが、個人的にはそれを受け入れた上でどうするかの方が好きなんですよね。そちらの方が美しい。
前者の方は言ってしまえば世の中の世知辛さみたいな話な訳で。こういった「希望」は実際にはありえないかもしれないけれど、超高校生級の中二病の僕としては真実を知って乗り越えていくダンガンロンパは輝かしいと思ったのでした。


あと、個人的に気に入っているところは、怪しく思える霧切さんを告発するかどうかというところです。うみねこでは明らかにしない方が良い真実だってある、むしろ真実を明らかにすべきではないくらいの描き方でしたが、ここでは真実を求めることを「保留」している。最終的には開示する、知ることになるけれど、無闇に真実だけを重視するわけではないという立場です。うみねこでヱリカに足りなかったのはむしろそこで。真実を武器として使うのではなく、その相手とどう向き合うかということだったはずです。
うみねこで感じた真実を求めることの悪い面の描き方に対する納得のいかなさが、たまたますぐやったダンガンロンパで解消されて我が意を得たりという感じでした。


超高校生級とか処刑シーンとかあの辺のいい意味でも趣味の悪さも含めてすごい楽しみましたよ。