原事実

さて「キリスト教と仏教」に戻ろう。小田垣はここで可逆/不可逆、自力/他力の問題を追究している。まず前者の問題は滝澤克己の「原事実」をめぐる批判として論究されている。「原事実」とは神学的に分節された人間実存の原点を指している。それは「神われらと共にいます」(インマヌエル)という在り方である。私はこれを信仰告白とみるが、滝澤にあっては告白以前に厳然としてある事実、よって「原事実」である。